チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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暗い穴の底から

 転移魔法で辿り着いたとこが真っ暗闇でビビり散らかした、元アラフィフ主婦の転生者、斉藤奈美恵です。隣にいたメイプルの服をつかんでほっとしました。ってか、隣のメイプルが急に消えたらホラーだと思います。怖い。

 

 魔法の光をテオが出したのですぐに視界が明るくなった。って、ここナニ。ゴツゴツした岩で出来て……えっ、洞窟? お約束では洞窟内は光ってるものでは!? あっ、でも某作品のひかりごけは怖いから嫌かも。転生前世界にそーいう作品のがあってだな。その作品はちょっとアレな事件を元に書かれたモノだってことは、私もふわっとだけど知ってる。ネタ元の方をニュースで見たっていうか。でもラノベとかに出てくるヒカリゴケは植物の方、だよね? 多分。コケって光るのかな。そっちは私にも判らん。

 

 むしろ石が光ってくれてもいいんだけども。これまたどこぞの作品にも色々出てきた気がするね! バ□スな感じの! そっち系の石ならファンタジー感があっていいかも! でもここは光る石がないぽいね! というか転移していきなり暗闇だったから、光る石はないんだけども! 何かが自力で光れないのはどーかと! 虫系は苦手なのでそれ以外で! ホタルイカは光る気がするけど、あれは海じゃないと……。

 

 あっ、しまった。また話が逸れた。

 いかんね。アラフィフにもなると話が逸れまく……私は永遠のアラフィフ!

 

「ここって洞窟?」

 

 一応、訊いてみる。すると二人が同時に頷く。

 

「この奥に扉があります」

「っす!」

 

 そういえば転生前世界日本のラノベかアニメで、洞窟の奥とかに急に出てくるドアっていうか、異世界の色々なトコにドアが出てくる話があったなあ。洞窟だけじゃなくて、原っぱとか森の中とか色んなところにドアが出てきて、私のとこにも出てくんないかなと思ったことがある。だって、家でご飯作らなくていいって楽じゃん!

 

「それってどこの異世界な食堂かね」

「は? 食堂? ですか? いえ。違いますが」

 

 メイプルに即座に否定されて私は空笑いした。デスヨネー。ついつい口をついて出てしまっただけで、本気で訊いたつもりはなかった。

 

「それにしても珍しく1度で転移出来ましたね」

 

 メイプルが感心したように頷く。するとテオが叫ぶような声を上げた。

 

「俺、どんだけ信用ないっすか!?」

「いや。3度も山のてっぺんに放り出されてみ? 信用する方が無理くね?」

 

 テオの言い分に今度は私が即座に言い返す。別にテオをいじる気はないよ? でもテオって突っ込まれても仕方ないところが多すぎるんだよ!

 

 テオが作った魔法の光が私たちの動きに合わせてふよふよとついてくる。……これも謎なんだよなあ。何で光が動くのかと。魔法を使った人に合わせて動く……もしかして、転生前世界で言えばラジコン!? なのか!? でもテオはコントローラーとか持ってないんだよね。はっ! ひょっとしたら見えないコントローラーとかリモコンがあるのでは!? 魔法的な!

 

 そんなことを考えてた私はうっかり足を滑らせて転けそうになった。すると傍にいたメイプルが私をすぐに支えてくれる。絶対に転ばせないという意志を感じるくらいに動きが速い。でも表情が全く変わらない。メイプルが慌ててないのが逆に不気味だ。

 

 あっ! メイプルが私が妙な動きをするから困るって言ってたのって、こういうのとは違うのか! 転けそうになるのは子供なら普通だ! 転生前世界日本の息子娘が小さい頃はそうだったし! 小さい頃の子育てしてた時がかなり前だったから、すっかり忘れてたよ!

 

 支えてくれたメイプルが私の足元を確認してから顔を上げる。こういうところはしっかり侍女なんだよなあ。

 

「リディア様、大丈夫ですか?」

「あ、うん。ごめん」

「謝られるようなことではないです。滑りやすいので」

 

 メイプルが何でもないことのように言う。その瞬間、先を歩いていたテオがすっころんだ。さっきまで平然としていたメイプルが呆れた顔になる。

 

「……何してるんですか、テオさん」

「いや! 俺もびっくりしてるから! ここ、穴が空いてるっす! 気を付けないと落ちるっす!」

 

 転んだ体勢のまま、テオが喚く。私とメイプルは顔を見合わせてテオにゆっくりと近づいた。テオは穴の端っこに手と足をかけてぷるぷるしている。その下には大きな穴が空いていた。やっほー、とか言ったら中で響きそうなほど、穴は深い。こんな縦穴があるのか……。

 

「あ、それは罠ですよ」

「は!?」

 

 メイプルが言うことにテオが慌てた声を上げる。私も思わず、何で!? と言ってしまった。メイプルが不思議そうにテオと私を見る。

 

「ですから、侵入者を排除するための罠です」

「判るけど! 落とし穴とか、先に言ってもらわないと怖いじゃん!」

「そうっすよ! 殺す気っすか!?」

 

 私とテオの叫びが重なる。しかもテオは穴に落ちないように頑張ってるから必死だ。仕方ない、という顔をしてメイプルがテオの腕をつかんで持ち上げ、傍に下ろす。OH...。メイプルって腕力もあるな……。テオはショックだったのかその場にへたり込んでしまった。

 

「先に言ってくださいっす!」

「罠がちゃんと機能しているかどうか確かめたくて」

 

 楽しげに言うメイプルを見て、私はぼそっと呟いた。

 

「メイプルヤバい」

「ホントっすよ! 俺だけ落ちそうになったからいいっすけど!」

 

 テオと二人で言い合ってたらメイプルがけろっとした顔で言う。

 

「え? リディア様は私がお守りしますので問題ないです」

「俺はーーーーー!?」

「テオさんは自己防衛でお願いします」

 

 メイプルがいじめっ子に見えたけど、多分これ、仕返しだ……。何度も山のてっぺんに放り出されてキレてるんだと思う。忘れた頃に報復するとか、どんだけ鬼畜か。




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体調不良なので数日更新を休みます
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