チートがチートじゃない世界に転生したらしい 作:よしほ
どうしてこの世界にはヤン坊マー坊天気予報がないのか。あれってでかい農耕機の宣伝してたくね? ……は!? ヤン坊マー坊天気予報を知らんだと!? 転生前世界日本のテレビの天気予報だよ! あれ!? もしかして古い!? 私がアラフィフ転生者だから!? え!? 七年経ってるからアラ還じゃないのかって!? 違う、私は永遠のアラフィフ!
あ、天気予報の話じゃなくて農耕機の話だった。
田植えマシンがないこの世界では、手で苗を植えねばならなかった。農場の使用人がいっぱい助っ人に来てくれて、何とか水田に苗を植えることが出来た。その時にはもう、私はへばって地面に転がっていた。一度は体験してみたかったけど、マジ一度でいいわ……。自分が七歳で身体が小さいというのもあるけど、堪え性のない私には向かない! 次は吸引からの放出で植えてくれるわ!
でも植わった苗が風になびいてるのを見ると感慨深い。手伝ってくれた使用人たちも水田を眺めて、おおー、とか言ってたし、メアリーは喜んでた。メアリーは田舎でずっと米を作ってたらしいから、多分、米メインの農家だったのかな。でも米はあんまし売れなかったらしい。どっちかといえば自分たちの生活のために作ってたっぽい。
メアリーの家は小さい集落にあったという。そこから外に売り歩くには難しい地形だったぽい。山が多くて越えるのが大変だったって言ってた。辺りに街道が整備されてなくて、移動手段が徒歩しかないってなると……確かに売り歩くのは難しいよね。私が島の外で見た漁村でも輸送が難しそうだったし。
島の外で見た港町では見た限りでは外から買い付けに来てる人はいなかった。だからどこかに売り歩かなきゃならないらしかったけども、生魚ってそんなには保たないと思う。氷魔法も冷蔵庫も冷凍庫もないし。魚の塩漬けと干物ならある程度はいけるだろうけど、どっちかっていうとあの港町では塩メインの商売してるのかなと思った。商品を船で大陸の奥に運べるような地形じゃなかったみたいだし。荷物を持って歩いて行くのは限界があるみたいなこと、メイプルとテオが言ってたしなあ。やはし一瞬で運べる転移魔法ツヨイ。
そう考えるとやっぱり転生前世界日本って地理的に輸送には適してたんじゃなかろーか。周りが水だから船で運べるし。東海道とか歩くことも出来たぽいけど、荷運びなら船の方が速い気がする。歩いて旅をする、みたいな昔を描いたアニメとか漫画とかあったけど、それなりに大変だったんじゃないかと思う。
って、はっ! 話が逸れまくった。
田んぼの世話はメアリーと数人の使用人が引き受けてくれた。土の管理とか水の管理はメアリーが知ってるから大丈夫。特にここでは魔石で土とか水を温めたり冷やしたり出来るから、育てるのは少し楽かなと思う。そのことを教えたらメアリーも超喜んでたから間違いない。そっか。厨房に入って間もないから、農地とかでどんな風に魔石を使ってるのか知らなかったのかも。厨房で使ってるのは主に火と水だからなあ……。あそこだと火力が高すぎるから、農地で使うってイメージがなかったんだろう。
それに自在に水を作れるわけだから、干ばつとかもない。結界魔法が使えれば暴風とかはそれで防ぐというのがセオリーみたいだけど、ここには結界の魔法を使える人はいない。テオも遮音結界くらいならいけるけど、全てを遮断するような結界は作れないらしい。そんなもん使えたら、空からの攻撃に多少は耐えそうだしなあ……。
なので力技で風をたたき返す、という方法をとるらしい。……たたき返す……それってアレか。風には風を、みたいな? それとも氷の壁とかで防ぐとかか? どっちにしろ確かに力技だね!
そんな話をしながらみんなで田んぼの近くでおにぎりを食べたりもしている。使用人が一緒にテーブルにつけないのなら、地べたに座ればいいじゃない! と、私がワガママを押し通した結果である。ふふふ。次からもこれで行こう。ちなみに地面の上にはピクニックシートみたいのを敷いている。ビニールは難しかったから、両面ツルツルの帆布を強引に作った。船の帆というのはあるらしいから、帆布は驚かれなかったけど、ツルツルはびっくりされた。使用人の中に家族が船乗りだったという人がいたから。まあ、いつもの私の荒技ということで納得されてしまったが。荒技ってなんだよ、荒技って。
少しずつ苗が育っていくのをたまに見る以外、私の生活はスパルタ……もとい、ハードスケジュールに戻った。精米を増幅、放出するという納品……違う、作業……でいいか。そういうのが増えたから、さらにハードになった。ってか、私は七歳! 昼寝の時間すらないってどゆこと!? ちなみに食品管理をしているエミリアとはより仲良くなった。厨房で米粉の使い方を教えたせいか、いつの間にかポン・デ・リ○グみたいなドーナツが作られるようになったからかも知んない。誰が考えたんだよ、それ。転生前世界日本では食べたことあるけど、あれって某社独自開発だった希ガス。
よし。米はゲット出来た。次は大豆からの豆腐とかいいんじゃない? そんなことを思っていた矢先、厨房のスティーブンから新しい食材の提供をねだられた。ねだるっていうか、ちらちら見られたというか? あのさー! 研究熱心なのはいいけども! 何かもう、私ってお嬢様じゃなくない!? ハードスケジュールの合間に新食材作れって!?
まあ、頑張りますけど! 自分の食事のために!