1.Pygmalion Complex――人形偏愛症――Game Start.
地獄の26連勤が終わり久方ぶりに訪れた休日の朝、俺は風呂場の脱衣所に据えられた洗面台の鏡の前で呆然と手元の小型機械を覗き込んでいた。
「なんだこれ……?」
愛用の電動シェーバーに、黒い水晶のようなものが埋め込まれている。
丁度親指と同じくらいの大きさで、撫でてみるとツルツルとしたガラスに触れるような特有の触感が指先にしっかりと伝わった。
これは明らかに、昨日までは影も形も存在していなかった代物だ。
大きく深呼吸をした俺は、一度スイッチを切って入れ直してみる。
ヴィィィンと低音で振動する電動シェーバーに顔を寄せてじっくりと観察すると、機械内部に仕込まれた白色LEDの光を通して黒い水晶の中に揺らめく紫煙のようなものがくっきりと見えていた。
「どうやら働き過ぎで頭がおかしくなったわけではなさそうだ。一体全体、どうなってやがる」
また電動シェーバーのスイッチを切った俺は、顔を上げて周囲を見渡す。
すると、寝起きのぼんやりとした頭ではまるで気にも留めていなかった違和感が濁流のように次々と押し寄せてきた。
鏡の下にあったはずのコンセントがない。
歯ブラシや洗顔料といった小物類の見た目や配置がまるで違う。
そもそも買った覚えのない白い芋虫のようなキャラクターが散りばめられた柄のパジャマを着ている。
変わっていないのは鏡に映る自身の姿だけかもしれない。
それさえも本当に正しいかどうか、少しずつ分からなくなってきた。
「うーん、俺ってこんなにイケメンだったかな?」
生まれてこのかた25年ずっと過ごしてきた自分の家のはずなのに、まるで他人の家に迷い込んでしまったかのような異常現象に直面してしまい途方に暮れていると、背後から裸足で廊下を歩く足音が聞こえてきた。
間もなく鏡越しに俺の瞳に映ったのは、下着のようなショートパンツにキャミソール姿をした黒髪ショートの美少女だった。
記憶と髪型が違う上に肌がこんがり小麦色に焼けていて一瞬誰かと思い焦ったが、その顔面はまごうことなき我が妹の
「邪魔、どいて。私は毎日が日曜日の兄さんみたいに暇じゃないの」
「あ、悪い」
少し痛いくらいの握力で俺の肩をガシッと掴んで強引に押し退けた妹は、蛇口から流れるお湯でバシャバシャと顔を洗い始めた。
スクゥゥゥル水着の日焼け跡だろうか、褐色と白のコントラストが目に眩しい。
しかしここで一つの疑問が脳裏に浮かぶ。
はて、俺の記憶だと妹は筋金入りのカナヅチだったはずなのだが……。
「春奈、お前もしかして水泳始めたのか?」
尋ねたが返事はない。
顔を洗っている真っ最中なのだから当然だ。
しばらく待っていると、妹はタオルで濡れた顔を拭いてからようやく返事をした。
「それ今更聞くこと? 私はハズレ職業の兄さんと違って優秀なの。少し自慢させて貰うけど、毎週のようにダンジョンに通ってるおかげで【
ドヤ顔でふんぞり返る妹を、俺は
運動を大の苦手としていて、同級生と場末のライブホールでバンド活動をすることだけが趣味だったあの妹がねぇ……。
「なんだ、その
「【
「はいはい、よかったね」
「着替えるから兄さんはさっさと出てって!」
「へーい」
脱衣所から追い出された俺は、電動シェーバーを頬に当ててジョリジョリと細かな髭の塵を廊下の床に撒き散らしながら頭を巡らせる。
「ハズレ職業にダンジョンときたもんだ。絶対これ、ゲームの中の話じゃないんだろうな」
俺の予想は間違っていなかったようで、リビングのテレビ画面に映るニュース番組に想像を裏付ける証拠映像がばっちりと流れていた。
鮮やかな赤と青のメッシュが入った派手な髪色をした女性ニュースキャスターは為替相場に続いて国際魔結晶相場とやらの価格を淡々と読み上げており、こましゃくれた顔のタレント芸人はスタジオで銃刀法違反確実なクソでか刃物をぶん回しながら流行りっぽい武具メーカーの宣伝をしている。
というか平成37年ってどういうことだよ。
時代は令和だぞ。
「ううむ、やはりここは
「あら
突っ立ってテレビを見ている俺に、キッチンで朝食の支度をしていた母が話しかけてきた。
なんだかちょっと顔が若々しい気がするのだが、気のせいだろうか。
そう言えば、妹の顔面偏差値も妙に上がっていたような気がする。
薬局にお肌の再生を促すマジカルスキンケア用品でも売っているのかな。
「おはよう母さん。俺だってたまには早起きすることもあるさ」
「ふうん……。そうそう、あなた最近裏庭の手入れをサボっているでしょ。仕事をしたくないのは分かるけど、養って貰いたいなら家の手伝いくらいきちんとしなさい」
「!?」
ここで改めて自己紹介をしておこう。
俺の名前は
苗字が国民的ゲームの登場人物に似ている為、古い友人達からはハカセの愛称で親しまれていた。
ニックネームがハカセだからといって特に頭がいいわけでもなく、普通にFラン私立大学を卒業してIT系のブラック企業に就職3年目といった具合である。
しかし非常に残念なことに、たった今この世界の俺がニートであることが正式に確定した。
くそう、上司からえげつないパワハラを受けながら血尿を出すような思いで必死に稼いだ3年分の貯金がパーじゃないか。
妹や母の態度を見るに、家庭内ヒエラルキーも最低になっていそうだ。
こうなったら、早急に飯の種を探さなければならないだろう。
やっぱりテンプレ通り命懸けでダンジョンに潜る探索者でもするのがいいのかな?
正直な話をすると、そういうの普通に嫌なんだけど。
俺は運動もロクにしたことがない、どこにでもいるただの社畜戦士だ。
剣と盾を持たされてダンジョンに放り込まれたところですぐに死ぬ気しかしない。
「おはよー、お母さんご飯できてるー?」
腕組みをしてうんうん頭を悩ませながら新たな人生計画を練り直していると、身だしなみを整え終わった妹がリビングにやってきた。
うわ、槍を背負った姫武者みたいな珍妙なコスプレしててお兄ちゃんドン引き。
「おはよう春奈、いま丁度できたところよ。ほら、
「へへへ、母上。もちろん分かっておりますとも」
「妙に卑屈でキモい……」
背中の長物を使った暴力的なツッコミを警戒して「お前の恰好の方がキモい」という親しい相手にしか許されないであろう暴言を飲み込んだ俺は、リビングから地続きのダイニングキッチンに行って朝食の配膳を手伝った。
今日の献立はぶよぶよとした謎肉の炒め物とアサリの味噌汁に生野菜サラダ、そして炊き立てホカホカの銀シャリ。
ところで何の肉だろうこれ。
あんまり突っ込んだことを聞くと不審に思われそうで困る。
「そういえば父さんは?」
「お父さんは夜明け前から釣りに出掛けているわ。たまには家族サービスくらいしてくれても悪くないのに、寝ても覚めてもコレよコレ。本当、仕方ない人ね」
母はしゃもじと茶碗を使って釣り竿のリールをぐるぐる回すジェスチャーをした。
我が父の釣り好きは世界が変わってもそのままのようで、少しだけ安心したようなしないような。
ちなみに俺は小学生の時に無理矢理乗せられた漁船で死ぬほど酔ってお気に入りのカバンに胃の中身をぶち撒けたのが今でも忘れられないトラウマなので、誘われても絶対に付き合うつもりはない。
「そんなんでも好きなんでしょ」
「まあねえ。さ、春奈も待っているから早く朝食にしましょう」
空腹は最高のスパイスとばかりにさっくり朝餉を頂いたが、醬油が偉大な発明品であることを再確認できたことだけが唯一の収穫だった。
これ、スーパーの特売で100グラム30円の芋虫肉なのかぁ……。
―――――
時は1900年4月4日、ノストラダムスの大預言より1世紀近くも早く天より降り注いだ全長444mの石柱群は世界中に混乱の渦を巻き起こした。
のちにダンジョンモノリスと命名されたそのブラックホールが如き漆黒の四角柱に触れた者は、みな一様に職業とそれに付随する
職業を得た者は手をかざした先に恵みの雨を降らせ、致命傷を瞬く間に癒し、意思一つで多彩な属性を持つ魔法の力を使いこなし、人型の偶像から物言わぬ白骨死体さえもどこからともなく召喚して自由自在に操った。
そしてダンジョンモノリスの付近でのみ開くことのできるメニュー画面より奇怪なモンスターのうろつく異空間に侵入することで、モンスター由来の肉や装備が中に閉じ込められたアイテム結晶、更には魔結晶と呼ばれる万能エネルギー資源を入手できることが人伝に広まると、人々は我先にとその異空間――ダンジョンの攻略に乗り出すこととなる。
それから125年が過ぎた現代。
俺の記憶とは微妙に異なる歴史を辿りつつも順当に発展した社会において、探索者という職業は世界経済を支える非常に重要な役割を担っていた。
横浜海上ダンジョンに行くと言って出掛けた妹を玄関先で見送った俺は、自室に戻ってベッドに腰掛けポチポチスマホを弄っていた。
するとどうだろう、興味深い情報が出るわ出るわ。
この世界では14歳になると、世界各地におおよそ30km〜50km間隔で林立する漆黒の巨大モノリスに触れることでランダムな職業を得られるそうだ。
厳密に言うと14年と34日……この世に産声を上げてからきっちり4億4444万4444秒という不吉な数字に作為的な何かを感じずにはいられない。
地球上に現存するダンジョンモノリスの総本数もぴったり4万4444本だったりするし、仕掛け人はよほど4という数字がお好みらしい。
ネットで支持されている有力な説によると、4本指の推定トカゲ型宇宙人が作ったリアルVRゲームなのではないかと考えられているようだ。
今のところ、誰もその宇宙人の存在を直接確認してはいないようだから眉唾物の話だが。
黒幕と目される
その辺りのことは世界中の賢い学者先生がありとあらゆる可能性を念頭に好き放題考察しているだろうから放置するとして、まずは自分の職業を確認するところから始めるとしよう。
手引きによると意志を込めて手の甲にグッと力を入れることでステータスが確認できる乳白色のプレートが浮かび上がってくるらしいので、実際に試してみる。
「お、本当に出てきた。これがDカードか……」
Dカードは思ったよりも脆く、ちょっと力を入れるとパリッと割れて空気に溶けるように消えてしまった。
気を取り直してもう1回出現させ、今度は表面に表示された文字列を読み込む。
大木土博士 人形使いLv10 ステータスポイント:0 スキルポイント:0
筋力:1
魔力:10
敏捷:3
耐久:3
幸運:2
スキル:人形召喚Lv2
装備:ぎりお柄のパジャマ
眷属:木人形壱号Lv10 木人形弐号Lv1
これが俺の現在のステータスらしい。
強いのか弱いのかよく分からないが、多分弱い方だろう。
もしこれで強かったらニートなんてやっていないだろうし。
Dカードに表示される言語は見た人間の母国語になるようで、同サイトには文盲だと絵文字に変わるという小ネタも書かれていた。
それで当人に理解できるかはともかくとして、ユーザーフレンドリーなのはとてもいいことだ。
そこそこユーザーの多そうな職業評価サイト「みるダム」で【人形使い】と入力して検索してみると、この職業についての評価とレビューが出てきた。
「人形を召喚すればするほどパーティー全体の取得経験値が減少するので、レベリング目的の野良パーティーでは
「偶像使いの下位互換。召喚士系統では一番のハズレ職業」
「マンパワーとして使い潰せる人形は家事や介護には便利だったが、近年普及が始まった安価なアンドロイドに駆逐されつつあるので早期の転職を推奨する」
「—―このレビューは不適切な文言を含む為、非表示にされています――」
→「ラブドールに改造した人形を着飾って連れ回している変態ばかりの印象しかない。存在そのものがキモいから死ぬまでダンジョンの中に引きこもっていてくれ」
職業評価は★1~★5までの5段階評価の中で貫禄の星1.9……非常に不評。
これ以下の職業となると魔法の行使に自傷行為が必須な【血操士】とか、敵味方関係なく暴れるスキルしかない【狂戦士】とかになるそうな。
「うーん、もしかして職業ガチャでハズレを引いて学校でイジメられた感じか?」
ダンジョンではごく稀に職業変更が可能な無職のオーブなるアイテムがドロップするようだが、これがまた恐ろしく高くて一つ1000万円くらいする。
うわ、ダンジョン庁オークションで直近3600万円で落札されたとかマジか。
やはりと言っていいか需要に供給がまったく追い付いていないようで、払い下げの正規ルートで購入するにしても年単位で待たないといけないようである。
一般家庭でハズレ職業を引いた子供が将来を悲観するのも分からなくはないな。
就いているだけで犯罪者扱いされる【狂戦士】なんて悲惨そのものだ……と思ったら国から一度だけ無職のオーブを支給されるという逆当たり職業だった。
タダで職業セレクトチケットが貰えるとかそんなのずるっこじゃん。
社会的に不遇な【人形使い】にも無職のオーブプリーズ。
「本棚に置いてあったはずの卒業証書がどこにも見当たらないし、こっちの世界の俺は高校もロクに行って無さそうだな……最悪だ」
ハローワークとかの求人サイトを見ても、学歴不問の仕事にはどれもこれも必須条件に職業とかレベルとか最低ステータスで足切りがある。
試しに【人形使い】でフィルターを掛けてみたが、最低賃金の介護職すらレベル30は必要っぽくてかなりきつい。
なるほど、召喚される人形の知能指数は人形のレベルに比例して上がるのか。
怪我をさせずに要介護老人のケツを拭くのにはそれくらいの安全基準が必要不可
ケツだけに。ガハハ。
座布団全部持っていって。
そういえば、さっきのレビューでもアンドロイドがどうのとか書かれていた。
仮に就職に成功したとしても、近い将来リストラされる未来しか見えてこない。
俺が昨日まで働いていた会社も生成AIの導入で人員削減が行われてブラック業務が加速していたが……なんともまあ厳しいご時世だ。
サラリーマンが難しいなら職歴を活かしてフリーランスのシステムエンジニアでもやろうかと思ったものの、すぐに主要な機械言語がダンジョン由来の魔法文字に置き換わっていることが判明して頭を抱える。
「イチから覚え直しはキツいな。つーかさ、お得意のアルファベットはどうしたんだよアメ公ども。地球人としてのプライドはないのか、プライドは」
グチグチ文句を垂れ流しても現実は変わらず。
つまるところ、中卒でハズレ職業を引いた低レベルの俺が就ける仕事など元より探索者くらいしか存在しないようである。
なお、スマホの連絡先は家族――メッセージアプリのログを読んで海外在住の知らない兄が生えていたことに今更ながら気付いた――以外登録されていなかったのでパーティーメンバー集めは絶望的。
元の世界だと高校の後輩の結婚式に友人代表として呼ばれるくらいには交流があったのに酷くない?
つっても中卒ヒキニートには無理なお話か。
畜生、どうしてこんなことになるまで放っておいたんだこの世界の俺。
「なんかないか、なんか。頼む!」
一縷の望みを賭けてじっくり調べてみるも、分かったのはレベルアップで得られるステータスポイントを魔力に7、耐久に2振り分けていることだけだった。
この辺りは後衛の魔法職に推奨されているセオリー通りらしい。
「やっぱり駄目か。そうそう美味い話もないよな……ん?」
内心諦めかけた俺がなんとなしに持っていたDカードをひっくり返してみたところ、カードの裏側にも似たような文字列が書かれていることに気が付いた。
大木土博士 無職Lv1 ステータスポイント:0 スキルポイント:0
筋力:2
魔力:2
敏捷:2
耐久:2
幸運:2
スキル:転職
装備:ぎりお柄のパジャマ
その発見に、俺は思わずごくりと生唾を飲んだ。
どうやら過去にもシャム双生児――肉体が繋がったまま生まれた双子――などで僅かな前例があるようだ。
効果はそっくりそのまま2つの職業のステータス値が加算されるというもの。
加えて装備のスキル効果や装飾品のステータス補正も全部2倍でお得。
試しに計算してみよう。
レベル50の段階で他の人と比べておおよそ……レベル110相当のステータスになるのか?
「やっぱゆとり世代にはこういうチートがないとやっていけないわな。よっしゃ! 勝ち確あざっす!」
記事にはナチスの人体実験とかクローン実験とか――この世界でも二度の大戦はあったらしい――不穏なワードが散見されるが、他にこれといった選択肢のない俺にとって希望であることには違いない。
後天的に二つ目の職業を得たことが公にバレたら大層面倒なことになるかもしれないが、バレなければ問題ない……よな?
うん、問題ないってことにしよう。
「さてと、後は何の職業にするかだろうな」
スキルの発動を意識して【転職】と呟くと目の前にブォンと乳白色のプレートが浮かび上がった。
ずらーっと並んだ職業一覧を適当に指先でスクロールしてみる。
職業は全部で444種類あるようだ。いくらなんでも多すぎィ!
「うーむ、悩ましい。ひとまず後回しでいいか」
今すぐダンジョンに潜る必要があるわけでもない。
ずっと活字を見ていて目が疲れてきたので、俺は座っていたベッドにごろりと横になって持っていたスマホを枕元に放り出した。
ここ最近は家に居る時も仕事のことが脳みそにずーっとしつこい汚れのようにこびり付いていたから、何も考えずに過ごせるのは本当に久しぶりのことだった。
「そうか、もうあのパワハラクソ上司の顔面を拝まずに済むんだよな……」
学生時代に巻き戻ったかのような錯覚を覚える部屋の中をぼーっと眺める。
本棚に並んだ漫画本の背表紙は元の世界では見たことのないタイトルばかり。
夏のボーナスで買ったハイエンドのゲーミングPCは影も形もなく、壁際には就職直前に買い替えたテーブルの代わりに子供用の古い勉強机が鎮座している。
静かな自室にはカチ、カチ、カチと壁時計の針が動く音だけが響く。
今日はこのまま二度寝でもしてしまおうかなどと考えたものの、まだ試していないことがあったことを思い出してガバッと起き上がった。
「えーと、確か……【人形召喚】壱号、弐号」
センスの欠片もない中学生時代のネーミングに苦笑しつつ、スキルを意識して発動するとスーッと身体から魔力が抜け出す感覚がした。
結構使ったな、最大値の6割くらいか。
床に複雑な魔法陣が浮かび、目の前に2体の木人形が姿を現す。
見た目はのっぺらぼうな人間サイズのマネキン人形といったところ。
特筆すべきは左手にハンドサイズのシャベルを装備し、右手に草刈り鎌を装備していることだろう。
頭には麦わら帽子を被り、首に白いタオルも掛けている。
ちなみにもう1体の木人形……弐号は両手で金属製のじょうろを抱えていた。
彼らのその姿を見た俺は、この人形達がこれまでどのような形で運用されてきたのかが一発で理解できてしまった。
「さっき母さんも言ってたし……久々にやるか、庭仕事」
この後めちゃくちゃ土いじりをした。