アティ先生に召喚されて戻ってきたらなんか色々変わった銀ちゃん。 作:ルール
新作です。
きまぐれ投稿となります。
何もかも失った戦いの果て。
何もできずに生き残り、死に損なった。
革命も商売も復讐も抱けぬ空の心。
空の腹だけ抱えて辿り着いた墓地で、お人好しのバーさんに命を救われた。
何にもやることがねえ、何にもしたくねえ。
だからなんでもやる【万事屋】を開いた。
テメェでやりたいことがねぇから、誰かに頼まれたことをやろうと思った。
そんな矢先だ、アイツに召喚されたのは。
馬鹿みてえにお人好しで天然でどこか抜けてるくせに変なとこで頑固なアイツに。
帰る術もなかった俺はとりあえずそのままついてって、なし崩し的な勢いでアイツのやることなすことに付き合った。
色んなヤツと出会った。
色んなヤツと戦った。
色んなヤツと笑った。
色んなヤツと喧嘩した。
忘れられた島で、俺はアイツと仲間達と過ごしたんだ。
一生忘れらんねえ、その時を。
過去と願いに囚われた奴らを解き放った。
立場と責任に縛られた軍人を打ち負かした。
欲望と野望の権化を叩き出した。
諦めた馬鹿をぶん殴った。
狂った意思を粉砕して、
何もかも背負ったお人好しを見送った。
何もかも終えて、教え子の嬢ちゃんの入学を見届けた。
そして、俺は送還を選んだ。
島に居たい。
皆と居たい。
アイツと居たい。
そんな気持ちは、想いは、願いはあったけど。
皆が前を向いたのに、俺がやらねえのはダセェだろ?
今度こそ真剣に向き合うために、俺は江戸に帰ることを選んだんだ。
アイツは笑って受け入れてくれた。
一筋の涙を零しながら。
いつかまた会おう。
そう、誓い合って。
「銀ちゃーーん!
寝てるあるかー?寝たら死ぬアルヨー」
「神楽ちゃんいやそんな雪山じゃないんだから、江戸の街にある店の中で椅子に座ったまま寝ても死にはしないよ。昨日はお登勢さんとお店手伝ってたから銀さん疲れてるんだよ」
「うるせーよダ眼鏡、私は銀ちゃんに構って欲しいネ、お前はお呼びじゃねーんだヨ」
「理由が勝手すぎんだよ!!つーか誰がダ眼鏡だ大食いチャイナが!!」
「やんのかオメー!!定春、かみつくヨ!」
「いやそれ反則・・・・・・ギャアアア!!」
江戸の街、スナックお登勢の二階にある住居兼店舗である万事屋でチャイナ服の少女にして夜兎族の神楽と、その魂の輝きに惹かれて働きだした志村新八がいつものように言い争いをしていた。
「うるせーな、昼寝もできやしねー。
新八、今日は仕事ねーよな」
その騒ぎに懐かしい夢を見ていた店主の坂田銀時が目を覚ました。
「ないですね、だから休んでて大丈夫ですよ銀さん」
「え?コイツ仕事ないのに来てたの?ワーカーホリックじゃねププププ」
「喧嘩売ってる?ねえ喧嘩売ってる神楽ちゃん」
万事屋に定期的な仕事はあまりない。
ゆえに店にずっと居る必要はないのだが、志村新八はヒマな時も万事屋に来てはせっせと家事労働をしていた。
ぶっちゃけ銀時が新八に払う給料はそれらの家事に対する報酬だったりする。
「ほら喧嘩はよしなさい、喧嘩するとアルディラ姐さんがドリトルをぶちかますよ痛いよロレイラルの機械兵器は」
「誰ですがアルディラ姐さん」
「何ヨ、ロレイラルの機械兵器て」
銀時はかつて散々ぶち込まれたあのドリルを思い出しながらそう言った。あのランクアップしていくカスタマイズぶりは思い出すだけで震えが走るのだ。
「そういえば銀ちゃん、なんで泣いてるね。イヤな夢でも見たアルか?」
「え?」
「涙が垂れてますよ銀さん」
そう指摘されてはじめて頬を流れる涙に気づいた。なんか痒いなと慌てて拭う。
「アレか、パチンコで負けた夢でもアルか?」
「それでは泣かないでしょ神楽ちゃん」
「いや銀さんパチンコはやらねえよ、何が出るかなプライスゲッターで懲りたから。やるならお馬さんか船の方」
「だから何ヨそれ。自分だけ知ってることを当たり前みたく言われると腹立つんだヨ天パ」
「それは申し訳ないけど。天パ関係ねーだろ!」
「確かに天パは関係ないですよね。でも賭け事はしてんじゃないですか」
会話をしてると脱線しがちになるのが彼等の会話の特徴かもしれない。
「でも、ま。話してもいいか。
一つ言っとくが、聞いても信じがたい話だかんな」
「前置きはいいからササと話すヨロシ」
「銀さんが前から話す謎な固有名詞のことですよね」
志村新八、神楽、そして定春が万事屋に関わりだしてからまだ大して時間はたっていない。
しかし店主である坂田銀時が溢す人名や召喚術、リィンバウムなどの単語が気になっていたのだ。
「いいか?本っっっ当に信じられない話だからな」
しかしこの宇宙への道が開け、街に天人という異星人が闊歩するような世界であってもそれは信じ難い話なのである。
「俺は昔、異世界リィンバウムに召喚されたんだ」
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沈黙が万事屋を満たす。
しばし時は流れ、銀時の頬に汗が垂れ、寝ていた定春がくあと欠伸をした所で二人は反応する。
「どうやって行ったんですかっ!?
僕も行けますかっ!?
どんなファンタジーだったんですかっ!?」
「サモン・サーヴァントあるか?
印つけられたアルか?
何だールブになったアル?」
「あ、意外と食いつくのね。
そして銀さんはゼロの使い魔じゃないから、平賀銀時じゃないからね」
皆大好き異世界ファンタジーに反応する二人を見ながら、銀時はあの日の始まりを語りだす。
あの衝撃の、運命の出会いを。
「万事屋を始めたばかりの頃だ。
銀さんは仕事もなく白米に砂糖をぶっかけて飢えを凌いでいたんだ」
「ご飯には卵だヨ」
「塩や醤油ではなく砂糖なあたり銀さんらしいですよね」
米に砂糖。
無いわけではないが、直接かける者はあまりいないだろう。
「宇治銀時丼を食べたい。
そんな思いを堪えて耐えた日々。
しかし仕事はなく、ついに米も砂糖も尽きて、バーさんに頭下げてなんか食わせてもらおうと考えていた矢先だ、眼の前に光り輝く召喚陣が現れてな。
腹減って力のはいらない銀さんはそこに引き摺り込まれたんだよ」
「まさかの強制」
「クラス転移モノならよくあることヨ」
お約束といえばお約束な展開。
その先で待っていたものは。
「飛ばされた先はどっかの浜辺でな。
そこに火の玉みてぇなのを庇うガキンチョとその前で折れた剣を握りしめて、ゼリーだかヘドロみてえなモンスターに立ち向かう女が居たんだ」
「「おお!!」」
「どっちの味方するなんて明白だろう?銀さんはカリオストロの城のルパン三世みたく颯爽と助けたのさ」
「なんか凄い主人公ぽいな銀さん」
「もっとちゃらんぽらんで駄目なのがお前だろ銀時ィィ!!」
「なんで銀さん駄目だしされてんの?
んで最後の力で木刀を振り切ったら、空腹で倒れた」
「締まらない男ネ」
「銀さんらしいけどね」
懐かしい出会い。
木刀を振り切りゼリー達を蹴散らして倒れた俺にアティは駆け寄ろうとした。
だが俺はそれを手で制して、ガキンチョの、ベルフラウを優先しろと言ったんだ。
「あれがアイツラの先生生徒関係の始まりだったなあ」
抱き合う二人。
その姿に自分はきっと、松陽先生に手を引かれた時を思い出していたんだ。
「ベルフラウは女の子だったから良かったが、男の子だったらアウトだった」
アティのことだ、間違いなく初恋を奪っていただろう。
「それで銀さん、それからどうなったんですか?」
「このままだと突然拉致られて木刀振るってつめたくなったことしかわからないヨ」
「いや銀さん死んでないから。
この後に死ぬけど」
その後は気絶したまま夜が明けて、目を覚ましたらアティに膝枕されていて眼の前の立派な双子山を拝んだ銀さんはそのまま鼻血をだしてまた気絶したんだよなあ。
そういう異性に無防備なトコがアティにはあった。学生時代は大変だったと後になってアズリア(人の腹に紫電絶華ぶちかますヤツ)が愚痴たれてたな。
「そもそもどういう状況だったんですか?」
「なんで召喚されたヨ?魔王退治アルか?」
「ん?ああ御主人、銀さんを召喚したアティだが家庭教師でな。
新しい生徒と一緒に船で移動中に海賊に襲われ、なんとか切り抜けたら嵐に巻き込まれ島に漂着したんだよ」
「遭難者が遭難者を召喚したんかいっ!!」
「犠牲者増やしただけネ」
まあそんな感じだったなあの時は。
「それからは・・・・・・まあ色々あって世界救って呑んだくれの占いに従って銀さんは帰ってきたんだ」
「「端折り過ぎィィィィ!!」」
「うるせーな仕方ねーだろ。
フルで語ったらどんだけかかると思ってやがる。全十七話はかかる大冒険だぞ。全部一気は無理だっつの」
いや本当に大変だった。
楽しい日々でもあったがな。
「フンッ」
すると突然不機嫌になった神楽が銀時の頬をバシンと張る。
「なんでっ?なんでブツのお前っ!?」
「うっさいヨ天パ、過去を懐かしんでフッと笑うなコノヤロー」
「それは嫉妬だよ神楽ちゃん」
なんか面白くない神楽はプンスカと不機嫌になる。
「でも銀さん、その世界で得た力とか使えたりするんですか?」
新八は召喚術などの方に興味があるようだ。
「契約したサモンナイト石があれば使えるけど、置いてったからなあ。いやまあ誓約の儀式をやればいけるけどよ」
誓約の儀式。
召喚士しか召喚術を使えぬ聖王国とは違い、帝国ではその技術を一般に開放していた。
だからアティに習った銀時も使えなくはないのだが。
「洞爺湖は外れしかでないんだよなあ」
誓約の儀式は外れも多い。
五種のサモンナイト石全て試しても召喚獣はおろかアイテムすら出ないものもザラである。
「お、あれならなんかでるかもな」
銀時は引き出しからフレームに保管された一枚の写真を取り出した。
自分を中央にその右にはアティ、左にはファリエル、膝の上にはベルフラウが乗り、その周りに仲間たちが集う思い出の写真を。
「おーー、なんか勢揃いって感じですね」
「統一感ない集団ヨ、皆良い笑顔だけど」
その写真から伝わる温かさに新八と神楽はホウと息をついた。
「あとは、サモンナイト石サモンナイト石。
ん?」
押入れに行こうとする銀時。
その時引き出しの中からコロンと金色のサモンナイト石が転がりでた。
「金色?そんなサモンナイト石あったか?」
サモンナイト石は五種、機界ロレイラルは黒、鬼妖界シルターンは赤、霊界サプレスは紫、幻獣界メイトルパは緑、名もなき世界が透明である。
色が違うので宝石か何かかと思ったが、宿る魔力とそんなもんあったら売り払ってることからサモンナイト石だと確信する。
「まいっか、どうせ外れだし」
誓約の儀式外れ率を思い出し、銀時は召喚術を発動する。
銀時の魔力と意思が、金色のサモンナイト石、リィンバウムのサモンナイト石に反応し境界を越えて世界を結ぶ。
その瞬間、彼女はソレを感じた。
いつだって支えてくれた大好きだったあの人の気配を。結ばれた縁から彼の存在を感じたのだ。
「アティ!!何か強大な魔力反応がっ!!」
異変に気づいた島の守護者達が彼女の元に駆けつける。
そこには召喚陣の前に立つ彼女が居た。
「皆・・・・・・・・・行ってきます!!」
「アレ?この位置は自分もでありますか?」
そうして、蒼き剣の賢者アティはリィンバウムを越えて坂田銀時の元へ召喚されたのであった。
側にいたヴァルゼルドも一緒に。
「抜け駆けーーー!!」
光が消えた其処には、兄による気遣いで肉体を得た幽霊少女の叫びが響いたという。
「「「ん?」」」
どーせ外れだろ。
そう考えていた銀時だが何やら様子がおかしい。これは宝箱くるかと期待をしだしたところで・・・・・・・・・、ボブンッ、グシャメキャッ、という音が鳴った。
「え・・・・・・、お前・・・・・・」
煙が晴れたそこには床に腰をついた姿一人の女性が居た(巻き込まれた機械兵士は頭から床にめり込んでいる)。
「えへへっ、来ちゃいました」
心から嬉しそうな笑み。
それを見た銀時もまた溢れる感情に胸がいっぱいとなり、
「思ってたより早い再会だった。
こっちはまだ何も片付いてねーのによ」
彼女のその手を取るのである。
「なら今度は私がギントキを助けるよ。アナタがそうしてくれたように」
こうして界を越えて出会った二人は再会した。
かつてそうしたように、共に歩くために。
これは、万事屋・坂田銀時が蒼き剣の賢者・アティと共に江戸を歩む物語。
「(会えて嬉しいでありますが助けて欲しいであります銀時殿)」
補足・説明。
この物語は、銀魂の主人公坂田銀時がサモンナイト3に召喚されて本編を終えて江戸の街に戻って暮らしてるところから始まります。
銀魂本編はまだ2巻くらいで、定春が先にでてますが近藤さんとはまだ会ってません。
原作銀魂より若干真面目で、女性とラブコメしちゃう系の銀さんを書きたいなあと考えています。
坂田銀時。
銀魂主人公、サモンナイト3を制覇した白夜叉。アレコレ掻き回したので、原作とは違う箇所がいくつかある。
その一つが機会兵士ヴァルゼルド。
彼は彼のまま仲間として生きています。
アティ。
サモンナイト3のプレイヤーキャラにしてシリーズ屈指の人気キャラ。
お人好し天然お姉さん先生巨乳眼鏡ケモミミ、とあらゆる属性を網羅した最強ヒロイン。
彼女のルートがないことに絶望するプレイヤーは多い。
なおいつも支えてくれていた坂田銀時に惹かれているが、彼女の天然ぶりを知る銀時はその誘惑に壁に頭を叩きつけて耐えている。
ヴァルゼルド。
側に居たら巻き込まれた勝ち組。
島の住民の嫉妬を集めている状況。
その人格はバグだが中々愉快な性格。