「……諏訪」
「おー、活躍見てたぞ。ポイントは増やせたか?」
個室から出てきた招木は諏訪を見つけて、不自然に目を逸らした。だが質問を無視することはできずこくりと小さく頷く。
「スコーピオンがメインだったけど、バイパーでも少しは撃破したからね。今日だけでかなり稼げた」
メイン・サブ両方で攻撃用トリガーを使う場合、とどめを刺した方のトリガーに7割、反対側のトリガーに3割でポイントが振り分けられる。
今回の招木はスコーピオンをメインにしたため、本命のバイパーには3割しか入らないのがネックだった。
しかし射手のポジションに固執するより勝率は格段に上がり、大物からも大量に点を毟り取れた。
とりわけ風間を落とせたのは奇跡であり、まさに幸運そのものだった。
「やったじゃねぇか」
「うん……」
招木の返事は煮え切らない。悪事がバレて、でも相手が触れてこないから一方的に気まずさを感じているような雰囲気だった。
諏訪は何も言っていないのに招木は自分の行いに罪悪感を覚えている。それが答えだった。
二人は無言のまま活気あふれる対戦ブースから遠ざかる。目的もなく歩いていたが、招木がふと「飲み物が飲みたいから寄ってもいい?」と言った。
それならラウンジが目的地になるかと思ったが、招木が選んだのはいつぞやの休憩スペースだ。
「コーヒー?」
「おまえ飲めないだろ」
「飲めないわけじゃない。好みではないだけ」
招木は自販機で勝手にコーヒーを一本購入すると、取り出し口から二本の缶コーヒーを取り出して諏訪に手渡した。そのまま自分の分を口に含むなり、苦そうに盛大に顔を顰める。
「っは、だからやめとけっつったのによ」
諏訪が小さく笑う。手にした当たりの缶コーヒーをゴクゴクと一気に飲み干すと、空になったそれをゴミ箱へ放り投げた。続けて新たに水を購入し、冷えたペットボトルを招木へ手渡す。
首を傾げる招木の手にあった飲みかけを代わりに回収し、諏訪は躊躇いもなくそこに口をつけた。
「んで、何か話したいことでもあるのか」
「……諏訪は、怒らないの?」
水のペットボトルを両手で抱えながら、招木は視線を落として小さく尋ねた。
諏訪は缶コーヒーの苦味に少しだけ眉を寄せ、ふんと鼻を鳴らす。
「怒る? 何をだよ。さっきのバトルロイヤルで点を稼ぎまくったことか? それともスコーピオン振り回して暴れたことか?」
「……両方」
「怒るわけねーだろ。ルール違反したわけでもねぇし、マスタークラスを目指すって言ったのはお前だ。狙い通り結果出せたんなら、胸張っとけばいいだろ」
その言葉は軽かったが、招木は胸をギュッと締め付けられるような心地がした。
諏訪が初めてくれた言葉を思い出した。『幸運体質だかラッキーガールだか知らねーけど、おまえはただ持ってるもん誇りゃいーんだよ』という宝物。
彼は招木の手の中にあるものをフラットに肯定する。その姿勢はずっと変わらなかった。
そんな人がどんな気持ちで自分の行為を見ていたのかを想像して、謝らなければと直感的に思う。
「ごめん」
「何で謝るんだよ」
「勝手なことをしたから」
「勝手なことって?」
「スコーピオンで戦った。射手としてじゃなくて、攻撃手みたいに」
「……」
「諏訪も加古も、私を攻撃手にはしなかったのに」
諏訪隊を結成して方針を話し合った時。加古に弟子入りしてどんなふうに成長したいか相談した時。
そのどちらでも、二人は招木に点を取れとは言わなかった。射手として動くように伝えた。囮やサポートに回らせて、ガツガツ攻撃するような立場に置かなかった。
諏訪が低く問いかける。
「気づいたか」
「うん。私を一人にしないためだったんだ」
招木の声が揺れる。ペットボトルを持つ手に不自然に力がこもり、ぺき、と音を立てた。
「私のSEは味方を無視して発動する。諏訪隊で連携の特訓をしたばかりの頃もそうだったよね」
「あったな。俺も堤もバイパーで穴だらけになってた」
「何度も特訓して味方を巻き込まないよう上達したけど、本来はサポート向きのSEじゃないんだ。事実、自分の役目を攻撃手と認識した今日の戦いじゃ結果を出せた。一人で動けば周りに合わせなくていいし、誰かの決め手を待たなくていい。危なくなっても、自分だけが避ければいい」
出水に完敗した後、招木は提案された。攻撃手が向いてるんじゃねーの、という内容だった。
これにより招木はかつての自分が望んだ通り、出水に殺されたのだ。今の招木は射手でも攻撃手でもない宙ぶらりんな存在だった。
「周りを全部捨てて自分勝手に暴れるのが、一番点が取れるんだって、分かってしまった」
それが今日、証明された。その事実に招木は打ちのめされている。
自分は射手ではなく攻撃手が適性だったこと。SEにより自分の願望が叶わないことがまたもや決定づけられたこと。
それ以上に、諏訪や加古がずっと自分を守ってくれていたことに気づいたこと。守ってくれていたのに、それを破った自分が嫌だったこと。
その全てが後悔となって招木を襲う。彼女の表情が陰りを帯びる。
「だけど、そうすれば私は周りを見なくなる。誰とも一緒に戦えなくなる。連携しようとも思わなくなる。……孤独になるだろうね」
諏訪はチビチビと缶コーヒーを飲みながら耳を傾けている。そして孤独になるだろうという招木の言葉を心の中で否定した。
確かに以前の招木ならそうだった。自分で考えることはできるが、周りがちゃんと見えていない頃の招木であれば、最適解を選ぶだけだ。それで一人になってもきっと気づかない。
しかし今の招木は違う。諏訪や加古の想いに気づき、破ってしまったことを悔いている。攻撃手として動いたことを後悔している。人の気持ちをわかろうとしている。自分を大事にしてくれる存在のことを、ちゃんと見ている。
だから諏訪は招木が攻撃手のように大暴れしていても見ているだけだった。
「だから射手としての役割を与えてくれたんだよね」
「ああ。つっても、おまえが自分で考えて実行したことだ。俺は何もしてねーよ」
「そんなことはないよ。私が周りのこともちゃんと見て動けるように、ずっと意識するように言ってくれていたんだから」
招木は諏訪や加古との会話を思い出していた。
『味方が落ちれば戦況は不利になる。自分の利益にはならない。じゃあ自分のために味方を守る。……そういう考え方があれば、幸運がうまいこと働くかもな』
『一人で勝つんじゃなくて、チームで勝たなきゃ』
射手は全体から一歩引いて戦局をコントロールするポジションだ。強制的に周囲を観察する癖がつく。だから招木の頭から味方の存在が消えることはなかった。
二人は招木の意識が当人にのみ向くことがないよう伝えてくれていた。招木が孤独にならないよう支えてくれていた。守ってくれていた。
その事実に胸が温かくなる。大切なものだと自覚し、失いたくないと強く感じた。
招木が個人での攻撃力を意識し始めたのは最近のことだ。それも一度は加古に却下されている。その時はまだ危ないと判断したのだろう。
そしてマスタークラス到達のために個人ポイントにこだわる姿を見せた時、諏訪の態度は自然だった。信じてくれているからだと思う。
であれば応えてみせたかった。
「ありがとう。私を離さないでいてくれて。ずっとそばにいてくれて」
招木はペットボトルの側面に浮いた水滴を指先で静かになぞる。
「ボーダーに来るまでは孤独が当たり前で何とも思っていなかったのに。今は皆と一緒にいることが普通になって、独りが怖くなった」
「……ああ」
「大事な人を守りたいよ。独りはもう嫌だ」
招木はスコーピオンを外すことを決意した。
セットしていれば以前のランク戦で誤作動を引き起こしたように、幸運体質によってスコーピオンを使う選択を選ばされてしまう。そうなればまた単独で突っ込むようになるかもしれない。
攻撃手的な立ち回りで動いた途端、SEがさらに体に馴染んだような気がした。だから遠ざけるべきだと判断した。招木自身の直感である。
今の彼女はスコーピオンを使おうが攻撃手に適性があったと判明しようが、射手として戦うことを誓っていた。
諏訪や加古の想いを背負いたい。そして諏訪隊で培ってきたものを失いたくないからだった。
「おめーは独りじゃねーよ。俺も、ウチの部隊の奴らもいる。師匠に弟子もどきに友達に……色んな奴らに囲まれてんだろ」
「うん」
「そいつらのためにおまえは戦うんだな」
「うん」
「最高じゃねーか」
「!」
諏訪がニッと笑って招木の背中を叩く。その衝撃にビクッと一歩踏み出して、そして招木は穏やかに目元を和らげた。諏訪に肯定されてとても嬉しかったのだ。
「うん。ありがとう。……諏訪」
「ん?」
「好きだよ」
「はっ!?」
「君のことが好きだな、と思った」
「……、……おう。ありがとな」
「うん」
目をまっすぐに見つめて好意を伝えられたので告白かと一瞬思ってしまった諏訪だったが、招木に限ってそれはないとすぐに理解し、メキッと歪んだ手の中の缶を隠すように慌てて飲んだ。
ただまあ、前から知っていたことだが、めちゃくちゃ招木に慕われているなと改めてわからされただけだった。
まあ、悪い気はしない。むしろ、とにやける顔を必死に平静に保つ。
『招木、おまえそれやめろ』
『それ?』
『……おれにだけ近いの』
『どうして?』
初めて出会ったばかりの頃、ごく短い間だけ、諏訪は招木に付き纏われた。
周囲に恋人かと勘違いされるくらい接近された。学校や本部で不自然なほど招木と会う回数が急増した。
本人に聞けば『私の運がいいから』とだけ返された。今思えば『諏訪と会うことがラッキーだから』という意味だったのだろう。
嫌と言うくらい招木の顔を見た諏訪は、はっきりと招木の紛らわしい接触を拒否した。招木は『わかった』とだけ返答した。
今もそれは続いている。じゃれあいはあるし仲間としての接触はあるが、恋人みたいな距離感はない。
「撤回……、いや、いやいや、それしたら何か終わる気がする」
背筋に薄寒いものが走った気がして、諏訪はブルっと全身を震えさせると、誤魔化すみたいにコーヒーをあおった。
だから招木の顔がとても幸せそうに緩んでいたのを見逃した。
─────────
「スコーピオン外すの?」
「うん。考えたら、スコーピオンで稼いだ得点でバイパーのマスタークラスに到達したとして、そんな自分を誇りに思えないなと思って」
「へー。かっこいいじゃん。代わりに別のトリガー入れとく?」
「そうだね」
招木は小佐野にトリガー構成を変更するよう頼んだ。攻撃手としての自分を封印し、射手として再始動すると決めていたからだ。
出水に一度は絶たれた道だが、消えてしまったのならまたやり直せばいいと考えた。
それに那須との約束もある。ここで射手のポジションから外れる選択肢はなかった。
「マネキってたまにこういうことあるよね」
「定期的に構成を変えるからね」
「すわさんとかつつみんに報告しなくていいの?」
「後でしに行くよ。ああ、諏訪は今日いないんだっけ。じゃあ堤が先かな」
招木は小佐野の顔をじっと見る。彼女がさっきから舐めている棒付きのキャンディが気になっていた。
「それ、飴? 美味しい?」
「まーね。欲しい?」
「うん」
小佐野はデスクの引き出しから一個取り出すと袋を外し、招木の口に飴を突っ込んだ。招木がコロコロと口内で転がす。
「引き出しの中、飴でいっぱいだったね。そんなに好きだった? 焼きうどんが好きなのは知っているけど」
「コナミからもらった。胸が大きくなるらしい」
「そんなのがあるの?」
「まーパチモンだろうけどね。大量にあるから招木も欲しかったら食べていいよ」
「ありがとう。いただくよ」
「あ、思い出した。次の休み皆で夏の新作買いに行こうよ。男二人は荷物持ちでさ」
「いいね。おサノに服を選んでもらえるの、とても助かるし」
「初めてマネキと遊んだ時私服ダサすぎて爆笑したもんね。懐(なつ)〜」
招木は個人戦に時間を割きポイントを積みたい気持ちがあるだろうが、自分の誘いならば断るわけがない。という小佐野の読み通り、招木は一瞬で快諾した。
彼女が根を詰めているのを心配して、外に連れ出すことにしたのだ。本部住みだからって学校以外ずっとここにいるし。
「じゃ、後でまた連絡するね」
「ありがとう。待っているよ」
招木はトリガー変更を終え、今度は堤を探しに行った。彼が行きそうな場所に心当たりのあるのでわざわざ電話するまでもないと本部内を歩き、ラウンジにて堤と加古が話しているのを発見する。
「堤、加古、お疲れ様。何をしているの?」
「おう、お疲れ。加古ちゃんが炒飯を作ってくれたから、昼飯にいただこうと思って」
「今日のは自信作よ。招木ちゃんもいかが?」
「ごめんね。とても食べたいけど嵐山とランチの約束をしているんだ」
「あら。また? とても仲良しなのね」
加古は頬に手を当てて微笑む。
「でも彼、猪突猛進というか……まっすぐ過ぎるわ。たまには引くことを覚えなくちゃ。ねぇ、堤くん」
嵐山が招木に押せ押せ全開でいることは知っているが、それじゃこの子の関心は変わらない。加古が堤に同意を求めるが。
「招木が乗ってこないってことは外れか? いや、だから言って殺人炒飯だとは限らない。オレは行く。今日こそ当たりを引くんだ」
と引く姿勢を一歩も見せず押せ押せ全開でいた。
加古は炒飯作りが趣味で、生み出される炒飯には当たりと外れがある。当たりは本場の料理人顔負けの絶品だが、外れは例外なく死んでしまう。抑えきれない好奇心が堤を何度も殺していた。
ちなみに招木が回避した炒飯で絶品だったことは一度もない。それでも堤は期待するのをやめられない。生粋のギャンブラーだからである。
「って、何か用事だったのか?」
「ああ、そうだね。ではまず加古から」
「私?」
加古に出会ったら話そうと思っていたことを招木は伝えた。
今まで孤独にならないように守ってくれていたことを感謝すると、彼女は一度驚いた顔で固まった後、表情を蕩けさせて招木を抱きしめた。
「招木ちゃんなら気づいてくれるってわかってたわ」
招木は加古が満足するまで抱きしめられ続けた。しかし一向に離されないので、加古の両腕の中にいるまま堤に顔を向ける。
「堤」
「えっそのまま話すのか」
「私はスコーピオンを外すことにした。射手としてやり直そうと思う」
「あ、ああ……? いいんじゃないか? おまえがやりたいと言うのならそれで」
堤の返答はシンプルだった。招木の意志を尊重しつつ適度な距離感がある。全幅の信頼を表出させるのではなく、フラットだし雑だ。諏訪の対応とも似ている。
「あとで作戦室で話し合うだろうが、招木がスコーピオンを外すとなればウチのコンセプトも少し変わるな」
「そうだね。今までは私のSEとスコーピオンの突発的な迎撃力で、近接戦を強引にしのいでた部分があった。それがなくなって純粋な射手・銃手三人体制になれば、相手の攻撃手に詰められた時の脆さは前より目立つようになる」
トリガー構成を変えるのは自分だ。となれば変更後に想定される弱みを解決する方法を見つけ出さなければならない。
まだ本格的に試行錯誤はしていないが、真っ先に考えつくことを発言すれば、堤が頷いた。
「おまえが足止めしてオレと諏訪さんで蜂の巣にするのが基本の形だが、相手がゴリゴリの近接だったり、複数で一気に間合いを詰めてこられたら流石に手数が足りなくなる」
これまでのランク戦を思い出せば、確かにそういう場面もあった。そこを無理やりどうにかしていたのが招木のSEだったが、スコーピオンを構成から外すとなれば、根本的に足りなくなる。
それを改善する案を堤はさらっと口にした。
「まあ、諏訪さんとも前々から話してはいたんだよ。ウチもそろそろ四人目を探してもいい頃合いかもなって」
「四人目……新しい戦闘員?」
「ああ。前衛で身体を張って敵を止めてくれる攻撃手が一枚いれば、オレら三人の中距離射撃がもっと活きる。おまえの囮としての嫌らしさも、相手からすればさらに厄介になるだろ」
「なるほど。諏訪隊に、新しい仲間が」
招木が真っ先に思い浮かべたのは、敵を捨て身で阻む攻撃手を自分のSEで誤って射撃してしまう光景だった
銃手で多少相手と距離を取る諏訪と堤ですらバイパーに巻き込んでいたのに、標的と密接する攻撃手であればさらに大惨事になりそうだ。
しかし招木はそれを克服した。諏訪と堤を巻き込まないよう何度も訓練し弾トリガーの習熟度を高めた。
であれば新しい仲間が増えたら、また同じことをするだけだ。愚直に、何度でも。今までやってきたことと同じ。
招木の頭の上で加古がくすくすと喉を鳴らす。
「ふふ、いいんじゃないかしら。三人で綺麗に連携するのも素敵だけど、新しい風を入れるのも部隊の成長には必要よ。……堤くん、誰か目星をつけてる子でもいるのかしら?」
「どうだろうな。本格的に探しているわけではないから。ただ、この間のバトルロイヤルでいいなと思う奴はいたよ」
堤と加古と別れた招木は、先の言葉を考える。
自分がスコーピオンを捨てて「完全な射手」として生きることを選んだからこそ、今度はその前線で体を張ってくれる存在が必要になる。
それは招木にとって、自分が捨てた「近接の道」を代わりに背負ってくれる、新しい仲間を迎える準備でもあった。
楽しみだなと思う。最近は色んな場面で人間関係が動いていることを実感した。
旧知との関係の再定義。新しい出会いの予感。
ボーダーで大事にしたいものが増えていく招木は、そのしがらみに胸が温かくなるようだった。
「だからこそマスタークラス到達を諦めるわけにはいかない」
攻撃手のように強引に点を稼ぐことができても、それは自分が誇れる姿ではない。
単騎ではそこまで強くなくとも、自分には別の武器があると出水が教えてくれていた。邪魔立て、時間稼ぎ、囮に撹乱。それが招木の役割だと証明してくれた。
自分の強みを正しく貫くことが、個人戦での即効性あるポイント稼ぎに向いていないことも理解している。奈良坂の指摘も出水の言葉も、きっと全て正しい。
けれど、だからといって諦める理由にはならなかった。
「那須や加古、応援してくれる隊の皆に、結果で示したい」
期待に応えたい。自分に託された想いに報いたい。
残り少ないフリーの時期、招木は自由時間を個人戦に捧げた。ランク戦が開幕してからも対戦ブースに通い続けた。
少しでも得点に繋がる戦略を探った。技術の練度を高めた。負ける可能性を徹底的に排除し、ポイントを集めることに執着した。
しかし気持ちが変化したところで物事が上手くいくとは限らない。単騎での撃破力が急激に伸びるはずがない。
幸運体質というSEがあっても、運がいいからと相手を簡単に倒すことはできなかった。
「バイパー、7318」
パネルに浮かぶ自分のポイント数を招木が読み上げる。
今期中にバイパーでマスタークラスに到達することはなかった。
招木は自分がした約束を破ったのである。
招木の中で諏訪や諏訪隊の存在がどんどん大きくなっています。いい調子ですね。