二宮隊が遠征選抜から外された。
招木はそれを鳩原との通話中、開口一番に報告された。
「そう。残念だね」
招木が淡々と口にする。予想通りの結果だったから驚きはなく、鳩原の返事も似た色をしていた。
「それじゃあ次のシーズンでまた受ければいい」
『……次ですか?』
「試験を受けるのに回数制限はないからね」
遠征選抜を通るまで繰り返せばいい、と招木は無責任に言う。
招木も期限中にマスタークラスまで到達できなかった経験がある。期待に応えられなかった不甲斐なさや支えてくれた人への申し訳なさに、とても苦しい思いをした。
けれどそれでもやり遂げた。挑戦し、反省点を見つけ、特訓して、自分の弱点や得点の伸び悩みを改善するべく努力した。
鳩原の問題の本質とは全く違うのに、招木はとにかく彼女を元気づけたくてそのようなことを話した。
「一位を獲得すればまた上層部にかけ合う? どうやら二宮は本気らしい」
『あの人はいつも本気ですよ』
「出水に弟子入りしたってね」
二宮が出水に弟子入りしたことは一瞬でボーダー内に広まった。頭を下げて、あの二宮が、というのが噂を爆速的に広める要因だった。
その話を聞いた時、招木が意外に思うことはなかった。彼が二宮隊を大切にしているのはわかっていたことだし、二宮のプライドは目的を達成することにあるのだろう。
二宮は鳩原に危害を加えた招木を随分と警戒している。結構前のことなのに警戒心は微塵も揺らがない。そのような部分からも彼が部隊のために動く人間であることを、招木は実体験として知っているのだ。
「ボーダートップのトリオン量を持つ射手一位にそんなことをされたら、他の射手は黙っていられないね。加古が知ったら興味津々になるだろうな」
『招木さんもですか?』
「うーん。どうかな。出水が何を教えているかは気になるけど、あの二人の戦法は私じゃ参考にできないんだ。学べるものを盗んで自分の指導に生かせたらいいと思うけど」
加古の弟子だった招木は現在、那須に指導をしている。射手は他のポジションに比べて人が少なく、隊員同士の繋がりもそこまで強くない。狙撃手のように合同訓練がないからである。
だから招木を中心に繋がっている射手女子はとても珍しい例だった。射手の男子陣は、他にアドバイスを求めることはあれど師弟関係まで結んでいない。
だから今回の件で出水が二宮を弟子にしたのは青天の霹靂だった。
出水はもとから面倒見のいい男ではあったが、彼が弟子入りを認めるだけの覚悟を二宮が示したということだろう。
「何にせよ、二宮隊は再スタートする。鳩原も一緒に進めばいい」
二宮は今以上に強くなる気だし、犬飼もそれにならう。もしかしたら辻は女性への苦手意識を改善するかもしれない。氷見もオペレーターの技術を高めていくと想像する。
であれば鳩原も同じことだ。隊としての目的が"A級一位"ならそれを達成するために腕を磨いていく。
時間はかかるが、チームとして同じものを見据えているのなら何の問題もない。そう考えて招木は声をかける。
しかし数秒経っても返事がないので、相手の名前を呼んだ。
『招木さんは、あたしがいつか人を撃てるようになると思いますか?』
「!」
唐突な問いに招木が息を呑む。
鳩原が人を撃てるかどうか。その結論はずっと前から出ていた。
B級ランク戦で鳩原に誤射され、二宮隊のトレーニングルームで無理やり拳銃を握らせた時。
鉛弾で相手を狙撃できるか実験した時。
二宮隊のA級ランク戦で鳩原が歌川を誤って撃ち、吐いて、寝込んだ時。
招木の部屋で彼女が悪夢にうなされていた時。
鳩原がごめんなさい、と何度も謝っていた時。
その度に痛感した。抗えない禁忌があるのだと思い知らされた。
招木は決然とした面持ちで、
「君は一生人を撃てない」
と断言した。
招木は鳩原に絶望を与え、追い詰める役割を持っているからだった。ここで曖昧に希望的観測を伝えることは、招木に追い込まれるとわかっていても頼ってきた鳩原に不義理だと考えている。
加えて、人を撃てないと確信しているのは事実だ。
招木が嵐山と深く関わり、家族愛への拒絶を強めているように。鳩原の禁忌は、抗っても抗っても変えることができない。
そしてそれは鳩原も同感だろう。
『あたしも同じことを考えています』
弱々しい声で鳩原はそう返した。
鳩原が遠征選抜に受かるには、人を狙撃できるようになることが絶対条件だ。しかし何度も実験を繰り返してそれが不可能であるとわかっている。
二宮はそれを踏まえた上でA級一位を獲り、上層部に遠征参加を認めさせる気らしかった。
それでも上は検討するだけで、確約してはもらえない。
「とりあえず狙撃技術の向上は……今の時点でトップだけど、続けてもらうとして。スパイダーや他のトリガーの活用方法を探っていくかな」
『鉛弾の代わりに入れたトリガーですね。補助やトラップ的な扱いができるように、と』
「うん。君はトリオンに余裕があるから、グラスホッパーを入れて機動型狙撃手として偵察を兼ねてる隠岐のように、別の役割を持ってもいいと思う。もちろん二宮隊の方針次第だけど。トラップに関しては私も詳しくないから、冬島に話を聞いておくね」
招木は那須隊にランク戦や部隊の方針について相談されることが多かったため、自然とそのようなことを口にした。
二宮隊の作戦や軸について二宮は招木に口出しされたくないだろうが、あくまで鳩原を"人が撃てないまま"有用な人材としてアピールするためのアドバイスだった。
自分でもスパイダーなどを実験したことがあるが、熟練度が足りず、幸運を招くためのトリガーとしか扱えなかった。やたらと足に引っかかって転んで相手の攻撃を回避するだけで終了したので、実践的に教えるには当分時間がかかる。
その代わり招木は人に話に聞きに行くことに躊躇いがない。全く知らないトラップについては本職に尋ねようと思う。今までもそうやって強くなってきたから、同じことをするだけだ。
「鳩原が望むならいくらでも手助けするよ。次はいつ会える?」
『えっと……』
鳩原が困ったように言葉を詰まらせた。招木側から次を求めることはなかったから、それに戸惑っているのだろうか。
あくまで招木が手を差し伸べるのは、鳩原がヘルプを出してからと決まっていた。接触禁止令があるから、それを破るには相手からのSOSが必要だと考えている。
しかし今はそれどころではない。鳩原のために招木は自分から動かなければならなかった。
そうしなければならないと、これまでの関わりから強く感じていた。
『……ごめんなさい、わかりません』
「そう。じゃあ、予定が決まったら教えてね」
『……はい。……あの、招木さん』
「うん?」
電話の向こうから鳩原に名を呼ばれ、招木が「何かな」と言葉を重ねる。
『ずっと、ありがとうございました』
「急に改まって、どうしたの」
『いえ、その。……ごめんなさい……』
鳩原は最後まで謝り続けていた。それから通話を終えた招木は沈黙して暗くなった画面を見つめている。
彼女がそこまで気にするようなことを、招木はしていない。むしろ謝るのなら招木の方だった。
鳩原のトラウマを刺激して、恐怖を植え付けて、追い詰めて、そんな相手の部屋に数日泊まらせた。弱っている姿をそばで見ていた。
嫌われるようなことばかりしているし、好かれる行動はしていない。
それなのに鳩原は招木に感謝し、頼ろうとしてくれる。今回で言えば何度も謝ってきた。
「変なの」
ぽつりと言って、早速行動に移る。まずは冬島を探しに行こう。
─────────
5月2日。招木は買い出しのために街に出ていた。明日から月見、藤丸、橘高と高校卒業&大学進学おめでとうの会で東京旅行に行くのだ。
その準備をしていたら足りないものがあったので、購入するために本部を出て市街地を歩いている。
明日から数日間のお休みをもらう影響でここ暫くは忙しかった。今日は朝まで諏訪隊としての防衛任務に出ており、それから生身の体に切り替わったものの、気疲れがある。
さっさと買い出しを済ませて旅行の支度をし、早く休んでしまおう。
そんな気持ちで歩いていると。
「!」
ふと、招木は立ち止まって身を翻した。
その視界にはよく晴れた空と市街地の真ん中に建てられた巨大な施設───ボーダー本部がある。本部を中心に警戒区域が広がっていて、朝まで招木もそこで防衛任務を果たしていた。今は別の隊がパトロールしているだろう。
なんてことない、三門市の日常風景。この後は天気予報で雨が降るらしいから、それまでに帰るつもりだが。
「……!」
突如、招木の足が地面を蹴り、弾かれたように駆け出した。アスファルトを心地よいリズムで靴底が叩く。身体が前へ前へと押し出されるようにして、招木は訳もわからないまま走っていた。
鍛えてきたおかげで、全力疾走を続けてもすぐには息が上がらない。木崎によって体に叩き込まれてきた正しい呼吸やフォームを維持し続けている。
景色が目まぐるしく後方へ流れていく。
数年前の彼女であればとうに体力切れで倒れ伏しているだろうに、今の招木には体力があるので、全力で走ったままついには警戒区域を区切る有刺鉄線が見える場所まで辿り着いていた。
正隊員だろうとここから先にプライベートで立ち入ることは許されていない。しかし、招木が足を止めることはなかった。
「痛っ」
有刺鉄線を強く握り、軽々と飛び越えて、私服のまま警戒区域へと侵入する。
その際、鉄線の結び目を掴み、鋭く引っかけたせいで手のひらが傷つき、出血したが、拭うこともしなかった。
警戒区域に入っても招木の体は止まらない。ある一点を目指すように破壊された住宅地を駆け抜ける。
その頃には全身から汗が吹き出していて、呼吸が乱れていた。トリオン体になれば汗をかくこともなく、屋根を伝い走ってもっと早く楽に辿り着けるだろうに、生身の体を酷使した。
肺が焼けるような息苦しさを無視して走った先。
「はとはら、」
招木は遠くから鳩原の姿を見つけた。
家が取り壊され平らになった更地が続くそこに、鳩原が立っている。二宮隊の隊服を着て、バッグワームを発動させていた。
傍らにいる三人も、同じようにその姿を隠している。距離があるせいでほか三人の顔立ちはよく見えなかった。少なくとも二宮隊ではない。
けれど鳩原の姿は遠目でもわかった。本部で人目のあるところでは、招木は鳩原に話しかけることができず、いつも遠くから見ていたから。見慣れた背中を、見間違えるはずもなかった。
「鳩原!」
空気を求めて口を開くたび、喉の奥がひりひりと痛む。それでも招木が声を上げると、聞こえるはずもないのに鳩原が首を巡らせた。
目が合った、と招木は感じた。鳩原の口が「招木さん」と名前を呼ぶように動いたと感じた。
すると鳩原が招木に気づいたことをアピールするみたいに手を上げた。
「っ、」
その瞬間、ゥウ───……とボーダー基地から警報音が鳴る。
バチバチ、と黒い球体が鳩原の背後で広がっていく。辺りが薄暗くなる。門が発生したのだ。
「あっ!」
このままでは門から近界民が現れ、彼らが襲われてしまう。危ない、と叫ぼうとした。
しかし招木の目に信じられない光景が映った。
なんと鳩原のそばに立っていた三人が、その闇の中へと踏み込んでいったのだ。バッグワームに紛れる姿が門へ消えていく。
そして一人残った鳩原が、こちらに向かって手を振った。幼子がするような仕草で、バイバイと招木にさよならをする。
「まさか、」
驚愕に目を開く招木の視界で、ついに鳩原も門の中に取り込まれていった。
門が閉じていく。黒い闇が急速に縮んでいき、最後には縦に伸びる稲妻を走らせ、跡形もなく消えた。
叫ぶ暇もなかった。身振り手振りで時間を稼ぐことも。招木はただその光景を、フラフラに走りながら見ていることしかできなかった。
招木がそこに辿り着く頃には、空はすっかり元通りの晴れ模様となっていた。
「ひゅ、……、ぁ、はぁっ、は……」
ついさっきまで鳩原が立っていた場所につくと、ようやく体の動きが止まる。招木はその場に折れるようにして膝に手をついた。
途端にじんわりと片手に痛みを感じたが、それすらどうでもよかった。それ以上に全身が疲労を訴えている。
脚が急に鉛のように重くなり、四肢が痙攣する。肩が激しく上下し、心臓がうるさいほどに脈打っている。
額から顎を伝って滴り落ちた汗が、アスファルトに次々と小さな染みを作った。
「はーっ、はーっ、……」
噴き出す汗が髪を湿らせ、服の色を変えていた。暫く息を整え、体を休めると、次第に思考する余裕が生まれてくる。
招木はたった今見た光景を思い出し、ギリと歯噛みした。
「どうして」
───鳩原が門の向こう側へと姿を消した。
近界民に攫われたりしたわけでもない。自分の意思であちら側へと去って行った。
しかも三人の同行者がいる。遠くからしか見えなかったので確証はないが、彼らは招木が顔を覚えているような正隊員ではないだろう。
訓練生、あるいは民間人。その三人と一緒に鳩原は近界へと……密航した。
どうして、どうして、と無意味な疑問が頭を埋め尽くす。
「あのとき、私が一生撃てないと言ったから?」
鼻筋に垂れる汗が鬱陶しくて、袖で乱暴に拭う。髪もグシャグシャに乱れたまま招木は深く後悔していた。
どうすればよかった。何が正解だったろう。
招木は鳩原を追い詰める選択ばかりしていた。それが自分の役割だと思っていた。そうしなければ鳩原の目的は達成されないと考えたから。
しかし鳩原の禁忌が変わることはなかった。じゃあ自分のやったことは無駄だったのか? ただ鳩原の心に負担をかけ、決断させてしまうほど精神を削っただけだったのか?
最後に電話した時、鳩原はずっと謝っていた。
彼女はいつからこのことを計画していたのだろう。どんな気持ちで次を求める招木と会話したのだろう。
「二宮隊は、絵馬は、知らないだろうな」
きっと鳩原は誰にも知らせていない。内密に密航を済ませるつもりだったに違いない。
そこまで考えてから、招木はふと、自分が大変な立場にいるのではと気づいた。
現場にいることがバレたら招木も関与を疑われる。共に向こう側へ行っていなくとも、協力者と認定されるかもしれない。そうすれば招木には厳重な処罰が下される。
それだけで済むならいいが、諏訪隊にも何らかの影響が出ないか、それを招木は不安に思った。
「!」
考え事をしていた矢先、招木が突然、背後を振り返った。何かを拒絶するように腕を振るう。切迫した動きだった。
そこには何もいない。けれど招木はそうせずにはいられなかった。空振りになり、膝に手をついた時に血が滲んで汚れた手のひらを見つめる。
すぐに思い至った。
「風間隊ね」
「そうだ」
「ぐ、」
呟いた途端、招木は見えない何者かに腕を掴まれた。引かれるままに身体が傾き、踏ん張る間もなく地面へと引き倒される。
次の瞬間には背中を押さえつけられ、身動きが取れなくなっていた。
カメレオンを解除し、姿を現した風間が招木を拘束したまま冷静に問う。
「招木。なぜおまえがここにいる」
つい先ほど、防衛任務中だった風間隊に緊急指令が下された。
警戒区域内にて発生した門の中に、複数名のトリガー反応が消えた。一名は二宮隊所属の鳩原。残る三名は正体不明、恐らく民間人のものと推測される。
つまりトリオン能力を持つ外部の協力者が鳩原と同行したことになる。
民間人にトリガーを横流しすることは、記憶封印措置も適用になる最高レベルの違反行為だ。
よって本部は即座に風間隊を差し向けた。
本部のシステムからトリガーホルダーの現在位置を追跡できるため、現場に残った一名の存在は明らかだった。
彼女が事件の協力者である可能性が高いため、捕縛し、事情聴取をしなければならない。
「俺たちには違反者を捕縛する命令が下っている。おまえは協力者か、違うのか。言え」
風間は断罪人の声を発した。とてつもない圧が彼から放たれている。掴まれた腕に力が入り、その痛みに招木が顔を小さく歪めた。
「いいえ」
「それは協力者ではないということか」
「そうだよ」
「ではなぜ現場にいる。生身だろう。トリオン体にもならず、ここで何をしていた」
招木は何も答えない。汗だくになって乱れた前髪の隙間から制圧者を見上げるだけである。
そのままの姿勢で数秒が経過した。風間の背後には、じっとりと睨むような菊地原と困惑した表情の歌川がいる。
無言で招木の返事を待っているが、暫く待っても口を開く様子はなく、風間は「……よくわかった」と低く言った。
「諏訪隊所属、招木芽依。おまえを重要参考人とし、拘束して本部に連行する」
上からの命令通り、招木は捕縛されることになった。重苦しい空気の中、彼女は拘束具を手首にかけられ強引に立たされる。
「あ」
歌川が声を上げる。招木の片手と片膝に血が付着しているのを発見したからだ。風間もそれに気付き、指摘する。
「怪我させたか」
「ううん。これは私が勝手に怪我したやつだから。膝のは汚してしまっただけ」
気にしないで、と静かに続ける招木の首筋に汗の跡が光っている。頬や額に髪が張り付いており、怪我をした上に、拘束時に地面に倒されたから全身が汚れていた。
そんな姿に目を伏せた歌川が、一度トリガー解除をして私服姿になると、ポケットからハンカチを取り出し、もう一度換装体になる。
「ハンカチ、……」
どうぞ、と言おうとして、歌川は招木が拘束されていて拭けないことに気づき、浮かびかけた憂いを押し隠し「手を拭きましょうか」と提案する。
「いいの? ありがとう。汗をかいていたから、顔も拭いてもらえると助かるな」
「わかりました。失礼します」
歌川に血や汗、汚れを拭かれる招木を蔑むような目で見ているのが菊地原だ。
菊地原はずっと招木のことが嫌いだし、今回の件についてまったく知らないが協力者ではないかと疑っている。少なくとも招木と鳩原に繋がりがあることを、随分前から耳のいい菊地原は知っていた。
しかし、今一番気がかりなのはそれではない。現場にいる理由を風間に尋ねられたとき、招木の心音に変化があった。これが菊地原の頭を占拠している。
『菊地原。おまえは事情聴取に同席しろとの指示だ』
『了解』
本部から寄越された命令を内部通話で風間が言伝し、菊地原が返答する。
面倒くさいことになった、と不快感を露わにした。
「行くぞ」
汗や汚れを拭いてもらい、髪を整えられ、多少マシな出立ちになった招木は、今度は自分の足で歩いていく。
警戒区域に入るときはSEに強制されていたのに、今の彼女は自由の身だった。手首を拘束され、連行中ではあるが、体は自分の意志で動かせる。
この後は天気予報の通りになるらしい。さっきまでの青空を覆うように、灰色の雲がゆっくりと流れてきていた。
そんな景色をぼんやり見ながら「また旅行に行くことができなかったな。あとで三人に謝らないと」と招木は思う。
連行先はボーダー本部。
招木にとって、あたたかで、大切で、帰るべき居場所。それが今や、ひどく無機質で冷たく見えた。
描写を優先してしまい、生身で手に持ったものはトリガー起動すると消えるのか考えることを放棄しました。
木崎とのトレーニングがなければ、途中でバテて密航現場に辿り着くことはありませんでした。何がどう未来に影響するかわかりませんね。