神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します! 作:光の道筋
神の使徒になった。全裸の美少女が2人いた
目を覚ました瞬間、世界が草に覆われていた。
天井一面が草木となっている。生い茂った天井は、我が家とは思えなかった。
ここはどこだろうか。昨夜は自宅のベッドで寝たはずだ。しかし、今は草の上で仰向けになっている。背中から柔らかい草の感触があった。
もしかして、愛する我が自宅が一晩で緑に飲み込まれたのか?
「え!? う、動い……え!? なんで!?」
突然の声に驚き、視線を向ける。そこには目を見開いたまま立ち尽くす全裸の少女がいた。
……なぜ全裸なんだ?
身長は150㎝ほどだろうか。雪のように白い髪は肩まで伸び、ふわりとしたパーマがかかっている。肌も透き通るように白く、瞳は灰色だ。
そして、恐ろしいほど整った顔立ちをしていた。読者モデルでも通用しそうな可愛さだ。
そんな少女が、何故このジャングルのような部屋で、しかも全裸のまま俺を見つめているのか。
「ここは……?」
思わず問いかけた瞬間、自分の声に驚いた。妙に高く、まるで少女のような声だったからだ。
こんな声だったか? いや、違う。これは俺の声ではない。
「喋った! 喋った喋った!」
少女はまるで幽霊でも見たかのように驚いている。
そんなに大騒ぎするほどのことか? まさか、俺は死にかけていたのか?
でも、この部屋は病院とは思えなかった。野戦病院という雰囲気でもない。
「君は……? ここはどこなんだ……?」
「え! 怖いんだけど! なんで動いてるの!?」
「質問に答えてくれよ……」
少女は明らかに動揺している。それでも俺がじっと見つめていると、ようやく口を開いた。
「会話できるんだね……えっと、まずここはね、私の家」
家? これが?
部屋中が草に覆われ、まるで小さなジャングルだ。とても家とは思えない。そして何より、俺はなぜこの少女の家で寝ていたのか。
疑問が増えるばかりだ。少女はゆっくりと俺に近づき、じっと目を覗き込んでくる。
「すごく困惑してるみたいだけど、私もね、私の作った体が勝手に動いてびっくりしてるんだよ」
「……私の作った体って、何」
「ん? その体のことだけど。ちょっと見てみてよ。すんごい可愛いから」
彼女はそう言うと、寝ている俺の両手を思いっきり引っ張って強引に体を起こさせた。
そこに見えたのは美しい双丘、一糸纏わぬ女性の肉体だった。
白髪は腰ほどまで伸びており見事なストレートだ。肌も同じように白く、シミの一つもない。
そう、俺の今の体だ。俺の体なのだろう。俺は男のはずなんだが、なんだこれは。夢でも見ているのか。
「なんなんだよこれ……」
「え!? 可愛さと美しさがすんごいでしょ!? どう!? いいでしょ!?」
「確かにすんごい綺麗な体だ……」
「そうでしょそうでしょ!」
少女は俺の両手を掴んだまま、満面の笑みで飛び上がっている。この体が褒められて嬉しそうだ。
いや、そうじゃない。問題はそこじゃない。
何故、俺はこの体になっている? 何かの人体実験か? だが、こんな不衛生な部屋でそんな研究が行われるとは考えにくい。
──わからない。何もかも。
「なあ、もう少し詳しく、この状況について教えてくれないか? もうなにがなんだかわからん」
「いいよ! 私はね、神の使徒ってやつなの。それでもう一つ体を作ってみたら、いきなり動いて今の状況ってわけ」
「……神の使徒?」
「そう、神の使徒。私は戦争を止めるために現世へ派遣されてね。可愛く優しい、その上超強い使徒なのであります」
そう言って、少女は芝居がかった優雅な礼をする。その仕草が妙に堂に入っていて、少しムカつく。
だが、どうやら彼女の言葉は冗談ではなさそうだ。俺は——本当に神の使徒になってしまったのか?
……いや、そんなの関係ない。まずはここを出よう。自宅に帰らなければ。
「そうか。俺は家に帰るからな。頑張って戦争を止めてくれ。で、ここは日本か? 海外だと金もパスポートも無いからちょっと困るんだが……」
「帰らないでほしいんだけど。そもそもここが家だからね。あと、ニホン? それは地名なのかな? それとも町の名前? 小さい町とか村の名前は憶えてなくて、ごめんね」
「え?」
俺は言葉を失った。
——日本を、知らない?
まさか、そんなことがあるのか?
この少女は、アメリカやロシアのような大国しか知らないのか? だが、それにしては——
「じゃ、じゃあ、ロシアと中国、あとアメリカは知ってるか? 全部国名だ」
「知らない。初めて聞く国だね」
「……神の使徒にとって、国なんて小さいもんは憶えていないってことか?」
「いやいや、そんなに傲慢じゃないって。大きい国はちゃんと憶えてるよ。カイキ帝国とかシテン聖教国とか」
どこだよ、それ。ここは地球の未来か? 過去か? あるいは、地球ではない別の惑星なのか?
……どれも荒唐無稽な話だ。笑えてくる。もう考えるのは止めよう。頭がおかしくなってくるし、正解がわかるわけでもない。
「でさ、ちょっとお願いがあってね。帰らないで聞いてほしいんだけど。あとここが家だし」
「ああ、そうだな。ここが家だな。なんでもお願いしてくれ」
「なんでもお願いしたいんだけどね、まず一個だけ。私のね、旅についてきてくれないかな?」
少女は膝をつき、俺と目線を合わせ、胸の前で両手を組む。その灰色の瞳に吸い込まれそうになる。
瞳に映った俺の顔は少女に瓜二つだが、少しだけ俺の顔のほうが大人びているようにみえた。
「いいよ。ついていくよ。ついていかないと、どうしたらいいのか分からないから」
「本当!? ありがとう! ふふ、これまでは一人だったからね。楽しくなるぞ~」
少女は満面の笑みを浮かべた。その表情があまりにも嬉しそうで、俺までつられてしまう。
まだ分からないことばかりだが、少女と旅しながら情報を集めていけばいいだろう。
「まあ、よろしくな。えっと……」
「スーフェリア。私のね、名前はスーフェリアだよ。こっちこそよろしくね」
「スーフェリア。これからよろしく」
俺とスーフェリアは互いに全裸のまま、固く握手を交わした。