神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します! 作:光の道筋
翌朝、俺は両手に美少女で目が覚めた。
右には機能停止したロボットのように姿勢よく寝ているスーフェリア。美術館に彫刻として飾られていても不思議ではない美しさだ。
左には俺を抱き枕にして絡みついているリーシェ。既に起きていたようで俺と目が合った。
「リズお姉さま、おはようございます」
「お、おはよう、リーシェ」
リーシェは恥ずかしそうに顔を赤らめながら、腰を俺に擦りつけていた。この子のスキンシップは距離が近すぎる気がする。
彼女にとっては親元を離れて初の野宿だ。寂しかったが故の行動だと信じよう。
うん、きっとそうに違いない。
「リズお姉さまと出会えたことが夢じゃなくて安心しました。ああ、寝起きのお姉さまも素敵な匂いです。ずっと嗅いでたい……」
俺の腕にくっつき、匂いを嗅ぎながらそんなことを言う。
うーん、もう信じられなくなってきたぞ。でも、俺にエルフの村の匂いが染みついている可能性があるからな。そう思っておこう。
「おはようのキス、失礼しますね」
リーシェは俺に覆いかぶさり、そのまま俺の口に舌をねじこんできた。
もうレズ確定でいいよな? さすがにそういう目で見てないと、起床即ベロチューなんてしないよな?
リーシェは金髪碧眼ロリレズエルフだったのか。エルフの性教育はどうなっている。
俺は色々と諦め、リーシェのされるがままになっている。
いや、キスが嫌なわけじゃないんだよ。この子はいい子だし可愛いし、キス気持ちいいし。
でもなぁ、リーシェの父親であるエルフの長のことを考えるとなぁ。
あんなに号泣して見送る姿を見ちゃったんだ。ちょっとだけ申し訳なくなる。スーフェリアはもう忘れてそうだけど。
一分ほど貪むさぼられ、ようやく解放された。目の前のロリレズエルフは妖艶に微笑み、自身の唇に付いた唾液を舐めとっている。
「ふう、今日もよろしくお願いしますね。リズお姉さま♡」
「……こちらこそ、よろしく」
「ん、んあ、もう、朝……?」
右側ではスーフェリアが両腕を伸ばして唸っていた。俺たちがうるさくしたせいで起こしてしまったらしい。
「スーフェリア、おはよう」
「スーフェリア様、おはようございます」
「ああ、うん、おはよう……」
スーフェリアの白髪がひどい寝ぐせになっている。元々少しだけくるくるしていた綺麗な髪が、今はぼっさっぼさの酷い有様だ。
俺の白髪は触ってみた限りではそこまで酷くない。少し髪が跳ねている程度だった。リーシェの金髪も俺と同様だ。
「スーフェリア様、寝ぐせが酷いです。あたしが髪を整えましょうか?」
「いいっていいって……私に気を遣わなくていいよ」
「いや、直してもらったほうがいいぞ。すごい頭になってる」
「……そんなに酷い? ならお願いしようかな」
「任せてください。では、三人一緒に整えちゃいましょう」
リーシェは俺の体に乗ったまま、布団を俺たちの足のほうへ投げた。
「お体を起こしてください。パパっと終わらせちゃいましょう」
俺たちは言われるがままに体を起こす。リーシェは俺の太ももの上だ。スーフェリアはまだ眠そうにしている。
リーシェは先程までの性に乱れた姿が嘘のように真面目な顔をしていた。
スーフェリアに対してはエルフを救ってくれた恩人として接しているのだろう。俺はエルフの村で活躍していないため、接し方がスーフェリアと違うのは仕方がない。
「はい、いきますよ。ほいっ」
その瞬間、俺の顔が水に包まれる。
なんだこれ!? 思わず顔を触るが、その時には水がきれいさっぱり無くなっていた。
「な、なんだ今の! 水が! 何があった!?」
「あたしの魔法です。びっくりさせちゃいましたね。事前に言うのを忘れてました」
「魔法!? リーシェは魔法が使えるのか!? 凄いな!」
「えへ、そうですか? あたし、なんかやっちゃいました?」
「こんなの初めて見た! リーシェ凄いんだな!」
「えへ、えへへへへ。リズお姉さまに褒められると嬉しいです」
リーシェを見ると、彼女も顔と髪も濡れている。真面目な顔が崩れており、頬に両手を当てて表情はニヤニヤと緩んでいる。体もくねくねしていて嬉しそうだ。
服とベッドを触ってみるが、全く濡れていない。濡れているのは顔と髪だけだ。これが魔法の力なのか。
「リーシェって魔法使えたんだ。で、これ何の意味があるの?」
笑顔のリーシェとは反対に、スーフェリアは無表情で濡れている。寝起きに水をぶっかけられて機嫌が悪くなってしまった。
「寝ぐせを取るためです。これから温風をかけて乾かしていきますからね。そのまま座っていてください。いきますよ。ほいっ」
可愛い掛け声と共に、温かい風が三人に吹いてくる。ドライヤーと全く同じだ。うるさくない分、魔法のほうが良い。スーフェリアも心地よさそうだ。
数分で髪が乾き終わった。魔法の力ってすげー!
「寝ぐせ、直ってる?」
「直ってますよスーフェリア様。綺麗な髪です」
「ありがとね、わざわざやってくれて」
「俺もありがたいよ。スーフェリアと二人だけだったら、こんなことできないからな」
「えへへへへ、お二方のお世話があたしの使命ですから。これからはどんどんあたしを頼ってくれていいですよ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
リーシェは誇らしそうに胸を張っている。
エルフの村を出発してから、俺とスーフェリアの歩く速度についてこれなかったからな。自分を足手まといだと感じていたのかもしれない。それに気づけなかったのは俺の落ち度だ。
でも、リーシェだけにできることがあるとわかった。これで自信をつけてくれるんじゃないか。
自分を足手まといだなんて思ったままでいてほしくない。
「じゃ、出発しよっか。皆で歩きながら朝ごはん食べよう」
「はい、それで大丈夫です。行きましょうか」
善は急げ、ということなのだろうか。髪を整えてすぐに出発した。
もちろんログハウスは俺が吸収している。リサイクルしていこう。
俺たちはハンバーガーを食べながら森の中を進んで行く。スーフェリアもハンバーガーを作れるようになったみたいだ。これでハンバーガーをたかられずにすむ。
リーシェの疲労具合に合わせ、昨日よりも多めに休憩時間を取る。今までリーシェが背負っていたリュックは、俺が代わりに背負っている。できる限りリーシェの負担を減らしたい。
ちなみに、中身は数日分の水と食料、それとナイフだけだった。リュックを背負っても、使徒の体では重さを感じない。
長閑な雰囲気の中、和気あいあいと進む。
ふと、真上から何者かの視線を感じた。反射的に真上を見ると、全長5mほどを超える黒い大蜘蛛が、巣に張り付きながらこちらを見ている。
赤い複眼と目が合った瞬間、大蜘蛛は俺たちの上から襲い掛かってきた。