神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します!   作:光の道筋

12 / 25
悪魔って誰ですか

 2人の男女は、それぞれデザインの異なる革鎧を装備していた。赤の短髪の男は腰にウエストポーチ、背にはリュックを背負っている。左手の甲に丸盾が取り付けられ、右手は短槍を持っていた。

 茶髪ショートカットの女は赤髪よりも軽装だ。ウエストポーチを装備しているが、それ以外には特に身に着けていなかった。

 2人の外見はどちらも20代後半くらいか。彼らは俺たちを警戒している様子だ。

 

「一番ちっこいのはエルフかぁ? 冒険者じゃなさそうだが、ナニモンだ?」

 

 赤髪が尋ねてくる。何と答えようか。この人たちも俺たちを悪魔呼ばわりしてくるかもしれないから、回答は慎重にしないといけない。

 スーフェリアも警戒しているように見える。以前は、善意で助けようとしたら襲われたからな。どのように話し始めようか迷っているみたいだ。

 

「あー、私たちはね、エルフの村から逃げてきたんだよ。遭難者ってのは合ってるね」

「エルフの村から……? 森の奥にあるって噂は聞いたことがあるが、何があったんだ?」

「悪魔ってやつにね、襲われたんだよ」

「悪魔……? そいつは魔獣なのか?」

 

 悪魔に襲われたことにして、この人たちから情報を集めようって魂胆か。

 10年前に大災厄を齎した悪魔、たしか大男はそう言っていた。その正体はスーフェリアの友達らしいが、もっと詳しい情報が欲しい。

 人違いで何度も襲われたくはない。

 

 しかし、この様子では知らなそうだな。悪魔は一般的には知られていないのだろうか。

 

「え、えっとね。私はか弱いからさ、逃げるだけで悪魔を見てないんだよね。リーシェは見たよね? どうだった?」

 

 こいつ、焦ったからって最悪のバトンパスしやがった。

 リーシェには悪魔と呼ばれたことを伝えていない。今も、何故スーフェリアがこんな話をしているのか理解できていないはずだ。

 せめて俺に話を振ってほしかった。

 

「え!? い、いやー、悪魔ですね。あの、悪魔ですよね。その、あの時は逃げるのに精いっぱいで。怖くて記憶が混濁しちゃって。魔獣なのかは、わかりません」

「そうか……悪いことを聞いたな」

 

 リーシェはしどろもどろになりながらも頑張って答えた。

 ごめんな、無茶ぶりしちゃって。後で詳しく説明してあげよう。それと、お詫びに何かお願いを聞いてあげようかな。

 スーフェリアは叱ろう。

 

「ラナは悪魔ってのを知ってるか?」

「……聖教国出身の冒険者がなんか言ってた気がするわ。聖教国の街を破壊したとか、まだ討伐できてないとか。人型らしいから魔獣というより魔物かも」

 

 茶髪の女はラナという名前らしい。ラナは悪魔について聞いたことがあるみたいだ。

 

「あいつか……」

 

 スーフェリアが俺にしか聞こえないくらいの小さな声で呟く。どうやら今の証言だけで犯人の目星がついたみたいだ。

 

「んな奴本当にいんのかよ」

「さあ、どうかしら。それよりも、この子たちの保護のほうが先よ」

「ああ、その通りだな。おいガキども、行く当てがあんのか? 無かったら俺らがテンピンに連れてくからよぉ」

 

 ありがたい申し出だ。今の俺たちは身分の保証が無い不審者だから、街に入れるのか怪しい。

 この人たちに保護してもらえば街には入れるだろう。

 

「ねえ、ちょっと作戦会議してもいい?」

「はあ? 俺らを疑ってんのかよ」

「うん。だって知らない人だし」

「そういえば自己紹介してねえなぁ。俺たちは『荒野の風』ってパーティ名のBランク冒険者だ。俺はグレン。こいつはラナ。これでいいか」

 

 グレンという男はぶっきらぼうに自己紹介した。二人とも冒険者らしい。

 冒険者って職業は憧れちゃうな。いつか俺もやってみようか。俺、スーフェリア、リーシェの三人でパーティを組むのも悪くない。

 

「うん。じゃ、作戦会議するね」

「おいガキ、自己紹介しただろうが」

「だって作戦会議したいし」

「チッ、もう好きにしろ。さっさと終わらせろよ」

 

 グレンは頭を掻きながら言い放つ。ラナはニコニコと眺めているだけだ。

 俺たちは彼らから少し離れ、円陣を組んでしゃがみこんだ。

 

「あの、悪魔って何ですか? あたし何のことか分からなくて」

「ごめんな。俺が説明するから」

 

 悪魔呼ばわりされて襲撃されたことを簡単に説明する。リーシェはその話を聞いて憤慨した。

 

「リズお姉さまとスーフェリア様を悪魔と呼ぶだなんて許せません! 神の使徒じゃないですか!」

「そうなの。こんな可愛い神の使徒なのにね。悪魔だなんて酷くない?」

「酷いです! お二方はこんなに可愛らしいのに! 許せませんね!」

 

 スーフェリアとリーシェが盛り上がっている。この会話、絶対グレンとラナに聞こえちゃってるだろ。作戦会議とはなんだったのか。

 

「でさ、その悪魔の心当たりがあるんだよね」

「悪魔って実在するのですか?」

「悪魔はいないよ。私の友達がね、聖教国に悪魔だと思われてるみたい」

「その友達って、もしかして神の使徒か?」

「そうだよ。よくわかったね」

 

 悪魔は神の使徒だった。

 スーフェリアの友達らしいから何となく察してはいたが、本当にそうだとは思わなかった。聖教国で街を破壊するほど暴れたのか。神の使徒の力なら可能だろう。

 

「それでね、そいつのところに行かない? ぶん殴ってやろうよ」

「いいですね。ぶん殴りましょう。その馬鹿はテンピンにいるのですか?」

「いや、テンピンにはいないね。この国のピュリノスって街でね、領主やってるよ」

 

 なんで神の使徒が領主やってるんだよ。それにここってカイキ帝国だろ。なんで帝国の領主が聖教国で暴れてんだよ。

 色々と疑問はあったが、全て飲み込んだ。話が進まなくなってしまう。

 

「……じゃあ、ピュリノスを目指すってことでいいな?」

「うん」

「はい、あたしもそれで構いません」

 

 俺たちは立ち上がり、グレンとラナの元へ戻る。

 彼らは暇だったのだろう。狩った猪の処理を行っていた。

 

「おうガキども、作戦会議は終わったか。こっちもちょうど後処理が終わったところだぜ」

「作戦は決まった? お姉さんに話してほしいな」

 

 ラナという女は、こちらを子供扱いして話しかけてくる。スーフェリアは中学生くらい、リーシェは小学生くらいの身長だから仕方ない。

 

 でも、俺はスーフェリアより頭一つ分大きいぞ? そんなに子供っぽい容姿なのだろうか。早くこの顔を鏡で見たい。

 

「私たちはね、ピュリノスに行くよ」

「ピュリノスか! それはいい! 俺らも行く予定だったんだ! ラナ、予定はちょっと早まるが、連れて行ってやろうぜ!」

「もちろんいいわよ。君たちの旅費はお姉さんたちが出すからね。もう大丈夫だよ」

 

 この人たちは聖人かもしれない。俺たちのために旅費まで払ってくれるとは。

 俺だったら絶対払っていない。近くの街に送り届けるだけで終わるだろう。

 

「いいの? そこまでしなくても大丈夫だよ」

「ガキが遠慮なんかすんな! テンピンから行けばすぐだからいいんだよ! おい! さっさと行くぞ! まずはテンピンだ!」

「乗合馬車が近くにあるの。一緒に行きましょ」

 

 彼らと共に乗合馬車へと進む。これからの目標は、ピュリノスの領主に会って文句を言ってやることだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。