神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します!   作:光の道筋

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やっと街に着いた

 大森林の大木と比べると赤ん坊のような木々の間を進んで行く。あくまでも大森林と比べたからで、周囲にあるのは一般的な大きさの樹木だ。

 地面には野営の跡が所々見られる。この辺りには冒険者が頻繁に来るのだろう。

 

 数分ほどグレンたちの後をついていくと、ようやく森を抜けた。

 辺り一面には野原が広がっている。遠くには立派な城壁が見え、距離は2〜3kmほど先だろうか。スーフェリアによると、あの城壁がテンピンという都市らしい。

 

 気分は非常に晴れ晴れとしていた。何せ、この世界に来てから延々と森を歩いていたのだ。開けた視界と心地よい風は心を明るくしてくれる。

 

「おいガキども、こっちだ」

 

 グレンは幌馬車の近くで俺たちを呼んでいる。ここに到着するまでにグレンとラナと会話したことで、彼らの性格もなんとなく把握できていた。

 

 結論から言うと、彼らは子供に優しかった。もちろん、それが演技である可能性もある。リーシェは彼らを警戒してか、道中口を開くことは無かった。

 グレンは口が悪いが俺たちに気を遣っている。ラナは子供扱いしてくるが言動は俺たちを心配してくれていた。

 彼らに裏切られたら間違いなくショックが大きい。

 

 グレンとラナは既に幌馬車に乗り込み始めている。猪を荷台の奥へ積んでいた。

 彼らが幌馬車に乗り込んでから、リーシェはスーフェリアに近づき囁いた。

 

「スーフェリア様、あの人たちを信用するのですか? 裏切ってあたしたちを奴隷商に売るかもしれません」

「そうなったら私とリズで殺すよ。それで良くない?」

「はい、その通りですね。その時はあたしも戦いますよ」

「うん、お願いね」

 

 怖い話をしている。スーフェリアとリーシェのようにドライにならないと、異世界では生き残れないのか。

 それとも、俺の意識が甘すぎるのか。この世界に来たからには、彼らの考え方に合わせないといけない。

 奴隷商というのが存在するのも驚いたが、異世界人との感覚の違いにも驚いた。

 

 幌馬車に乗り込むと、5人並んで座れそうな木製の席が左右向かい合わせで2つ置いてあった。猪は荷台の最奥に鎮座しており、グレンとラナは右側の席に並んで座っている。

 俺たちは左側の席に座った。奥から俺、スーフェリア、リーシェという順番だ。

 

「他に乗るやつがいないなんて運が良かったなぁ! いつもは冒険者が詰め込まれてんだぜ。くっさいんだこれが」

「森に行くときはこの乗合馬車を使うのよ。すぐにテンピンに到着するわ」

 

 すぐに馬車が進み始めた。道路が舗装されていないせいで揺れまくる。

 使徒の体なので無事だが、リーシェのおしりは大丈夫なのか心配だ。

 

「おいガキども、俺らの自己紹介はしたのによぉ、お前らはしてねえじゃねえか」

「ええ、そうね。お姉さんも皆の名前が聞きたいわ」

 

 そういえば名前を言っていなかった。特に隠す意味も無いので自己紹介していく。

 

「俺はリズ。この白い髪の子とは親戚みたいなものだな」

「え、ちゃんと娘だって言ってよ」

「はあ? 白いガキ、お前が親なのかぁ?」

「うん、そうだよ。私の名前はね、スーフェリア。リズの親だよ」

「おいリズ、こいつの言うことは本当なのか?」

「……本当だよ」

 

 グレンはスーフェリアが親だと知って驚いている。ラナは信じていないのか、スーフェリアを生暖かい目で見守っているだけだ。

 

 説明が面倒だったのでスーフェリアを親戚だと言ったが、結局バレてしまった。

 でも、子供のおままごとだと思っているようだし、別に大丈夫か。親戚が親子になったところで何も変わらないだろう。

 

「次はあたしですね。リーシェと申します。リズお姉さまを愛し、スーフェリア様をお慕いしているエルフです」

「よろしくなぁ。俺、エルフを初めて見たぜ」

「リーシェちゃん、よろしくね。お姉さんも初めて見るわ。リズちゃんとスーフェリアちゃんはエルフじゃないみたいだけど、エルフの村には人間もいるのかしら」

「人間もいますよ。エルフと人間は仲良く暮らしています」

 

 俺が見た限りではエルフしかいなかったはずなので、これはリーシェの嘘だろう。

 俺とスーフェリアがリーシェと一緒にいても違和感がないように気を遣ってくれている。

 エルフの村について深く聞かれる前に、話を変えた方がいいな。

 

「ほーん、一度行ってみてえなぁ」

「それで、グレンさんとラナさんはどうしてピュリノスに行くんだ?」

「お姉さんたちはね、ピュリノスのダンジョンに用があるの」

「ダンジョン?」

「ダンジョンは危険な魔物がたくさんいる怖いところよ。リズちゃんたちは近づかないほうがいいわ」

 

 ピュリノスにはダンジョンとやらがあるらしい。

 行きてェ……ダンジョン行きてェ~~……。絶対面白いやつじゃん。冒険者になってダンジョン攻略。男の子が大好きなやつだ。今の俺は可愛い女の子だが。

 

 ピュリノスに行ったら冒険者になろう。お金を稼ぐ手段も欲しかったからちょうどいい。

 

「ピュリノスは港湾都市とかいうやつだからなぁ。海の幸もうめえんだ。酒が進むぞ」

「海の幸!」

 

 ダンジョンだけじゃなくて海もあるのか! これはますます行かなければならなくなったな。

 正直、海の幸は使徒の能力で作れると思う。でも、それは無粋というものだろう。本物が食いてえ。俺は本物が欲しいんだ。

 

「リズ、楽しそうだね」

「ああ! これは絶対にピュリノスに行かないとな。ふっふっふ、全ての海鮮を食べてやるぜ」

「私もいっぱい食べようかな。ずっと森暮らしだったからね」

「あたしも楽しみです! リズお姉さまにあーんってしてあげます!」

「あーんってしまくってくれ。全部食べるぞ」

「はい! しまくります!」

 

 3人でしばらくの間わいわいと盛り上がる。それをグレンとラナが慈愛のこもった目で見ていた。

 振動が徐々に小さくなる。そうして馬車が完全に止まった。

 

「着いたみてえだな。さっさと降りるぞ」

「猪は? 置いていくの? 捨てるなら貰いたいんだけど」

「捨てるわけねえだろ。置いといたら勝手に引き取ってくれんだよ。わかったら降りろ」

 

 スーフェリアのおねだりも気にせず、俺たちは幌馬車から降りる。

 そこにあったのは灰色の城壁。10mほどの立派な城壁は年季が入っており、侵入者を押しのける荘厳さと威厳を感じた。

 

 幌馬車は城壁から少し離れた場所で停まっている。冒険者と思われる人たちが馬車を待っていた。

 御者が猪を馬車から降ろして、他の人に渡し終えるのを冒険者が待っている。

 

「じゃあ、俺とリズで街に入る。旅の準備が終わったら戻ってくるから、いい子で待ってろよぉ」

「え? なんで俺?」

「お前が一番でけえだろ。ラナは子守だ」

 

 そういうことか。単純な話だった。俺も街に入ってみたいから遠慮せずついていこう。

 

「なんで私じゃないの? 私、親なんだけど」

「スーフェリア、ここは俺に任せてくれ。親は子の成長を願うものだろ? 帰ってくるときには、俺は何倍にもパワーアップしてるからさ」

「それならしょうがないね。リズのパワーアップを楽しみにしてるよ」

 

 すぐに噛みついてくるスーフェリアを適当にあしらい、グレンと城門へ向かう。

 城門は中央を馬車が行き来しており、徒歩の者は左右を通るみたいだ。

 

「おうグレンか。その可愛いお嬢様は誰だ? まさかお前、ラナを捨てたのか?」

「ちげえよボケ。変なこと言うんじゃねえよ。この子が森で遭難してたのを保護しただけだ。もう通っていいか?」

「グレンなら大丈夫だろう。あなたも大変でしたね。ゆっくりと休養をお取りください」

「ありがとうございます……。そのお言葉が心に沁みます……」

 

 できる限り儚く見えるように目を伏せながら答える。通してもらうために媚びを売っておこう。

 俺の可愛さのおかげか無事に通ることができた。ここで止められたらスーフェリアにかっこつかないから一安心だ。

 

「お前、俺とあいつで対応がちがくねえか?」

「そんなことないって。グレンさんには本当に感謝してるから」

「そうは見えねえけどなぁ」

 

 門をくぐると、そこでは賑やかに数多くの人が行き交っていた。

 

 門から先は大通りになっており、大通り沿いの店は全て赤レンガで造られている。店の個性を出すためだろうか、それぞれ色鮮やかなのぼり旗が店前でなびいていた。

 道路は灰色の石で綺麗に舗装されている。これなら馬車に乗ったとしても尻が痛くなさそうだ。

 

「まずは冒険者ギルドに行くぞ。ついてこい。はぐれんなよ」

 

 人混みの中をなんとかついていく。ぶつかりそうになることもあるが、俺の顔を見ると退いてくれた。俺が可愛すぎるせいだな。

 

「ここが冒険者ギルドだ」

 

 ここが目的地らしい。剣と盾のマークが描かれている看板が扉の上にあった。冒険者っぽい。

 

 グレンが扉を開けたので続けて室内に入る。正面には受付カウンターがあり、4人の女性がカウンター奥で座っていた。

 

 左側は開けており、丸いテーブルがいくつも置かれている。飲酒してる人もいるので、おそらく酒場だろう。

 右の壁にはいくつもの張り紙がある。何が書いてあるかは文字が読めないのでわからない。

 

 今気づいたが、俺はこの世界の謎言語を話せている。それもあの地下室で起きてすぐにだ。この言葉が母語なんじゃないかと錯覚するくらい馴染んでいる。これも使徒の力か。

 だったら文字が読めてもよくない?

 

 二人でカウンターに向かう。受付のお姉さんは美しい営業スマイルだ。

 

「アルケイボアを討伐した。討伐証明だ」

 

 グレンはリュックから猪の牙らしきものを取り出し、カウンターの上に置いた。お姉さんは満足そうに頷く。

 

「はい、確かに受け取りました。こちらが報酬となります」

 

 2枚の銀貨が差し出される。貨幣価値を知らないので、これが高いのか安いのかすら不明だ。

 

「あと、こいつを冒険者にしてえ。登録してくれねえか」

「ん?」

 

 何故か、俺は冒険者として登録されるらしい。

 

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