神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します! 作:光の道筋
現在着ている服を吸収し、新しくゴスロリファッションを作った。トップスは白いブラウスでレースの装飾やフリルを施している。反対に、コルセットやスカート、ローファーは黒く染め上げた。コルセットには金色のボタンを3つ並べ、高級感を出している。
スカートはくるぶし丈のロングフリルスカートだ。ボリュームたっぷりに膨らみ、立体感がある。その下には白タイツを履いているが、くるぶし付近の隙間でしか見ることはできない。
俺の記憶と同じように生み出せるか心配だったが、それは杞憂に終わった。うん、大満足だ。この体にふさわしい服装になった。
「リズお姉さま素敵です! 可愛い! 可愛いですよ!」
「あら、リーシェ様もお気に召したかしら」
「リズお姉さまが口調までお嬢様になってます! あたしも同じの着たいです!」
「動きづらそう……」
リーシェには大好評だ。思わずお嬢様言葉になってしまった。スーフェリアはこの服を見て顔を顰めている。
確かに動きづらいのだが、体と一体化しているおかげで普通に着るよりはマシだと思う。ゴスロリを着るのは初めてなので推測にすぎないが。
「ここで着替えてもいいですか!?」
「ここで? ここだと着替えを歩行者に見られないか?」
「あっ、そういえばそうでした」
路地裏を抜けると、そこには適度に歩行者がいる。彼らに見られてしまう可能性が無いとはいえなかった。
俺は服を吸収した瞬間にゴスロリを生み出したため、裸を見られたりはしない。しかし、リーシェは人間だ。そんなことはできない。室内で着替える必要があるだろう。
「私が見えないようにしておくからね、だから大丈夫だよ」
「スーフェリアが? どうするんだ?」
「ふふ、使徒の翼を見せてあげよう」
スーフェリアは茶色の大きな布を作る。その布を両手で大きく広げて、歩行者からの視線を遮った。ずいぶん可愛らしい翼だな。おかげでここで着替えても大丈夫そうだ。
「スーフェリアありがとう。リーシェはどうする? ここでも着替えられそうだけど、室内のほうがいいか?」
「スーフェリア様が手伝ってくれましたし、ここでいいですよ。リズお姉さま、お願いします」
「よし、着替えていくか」
リーシェはトップスから脱いでいく。俺はそれに合わせて、ゴスロリを彼女に着せていった。デザインは俺が着ているものとさほど変わらない。スカートを膝丈に変更したくらいだ。
黒のトートバッグも作り、リーシェが元々着ていた服をそこにしまった。リーシェはトートバッグを大事そうに持つ。
「これでリズお姉さまとお揃いですね!」
「ああ、お揃いだな。すごく似合ってるぞ。リーシェの可愛さが何倍にもなってる」
「なっちゃってますか!? リズお姉さまもなっちゃってますよ!」
「そうか、なっちゃってるか。でも、リーシェのほうが可愛いな」
俺たちはお互いに褒め合う。役目を終えた布を吸収し終えたスーフェリアが、俺たちを冷たい視線で見つめていた。
「可愛いのはわかるんだけどさ、それ絶対動きづらいでしよ。ほら、早く行くよ」
「スーフェリア様も着ませんか? 絶対似合いますよ」
テンションが上がっているリーシェはスーフェリアにゴスロリを薦める。薦められたスーフェリアは心の底から嫌そうな顔をしていた。
「着たくないんだけど」
「その服でお友達に会うのですか?」
「服なんて何でもいいでしょ。私はね、本当は全裸で過ごしたいんだよ。我慢してこの服を着てるの」
「その、スーフェリア様のお友達は領主なのですよね? お会いする際の服は何でも良いのですか?」
リーシェにそう言われ、スーフェリアは腕を組んで考え込む。礼儀作法を思い出しているのだろうか。
「大丈夫じゃない? どうせぶん殴るんだからね、礼儀なんて意味無いでしょ」
「そう言えばそうでしたね。忘れてました」
「リズもぶん殴っていいからね。悪魔呼ばわりされたのはあいつのせいなんだから」
俺もすっかり忘れていたが、ここへ来たのは悪魔と呼ばれたことに文句を言うためだったな。スーフェリアの友達兼領主に顔を見せるか、くらいの気持ちでゴスロリに着替えていた。
正直、そんなに怒ってない。あれから日数もそこそこ経っているし、事情を聞くだけで十分だ。
「俺はいいよ。スーフェリアが俺の分もぶん殴ってくれ」
「え? いいの? じゃ、思いっきりやっちゃおうかな」
スーフェリアの思いっきりってどれくらいの威力なんだろう。気になると同時に恐ろしくもある。
「じゃ、行くよ。絶対に着替えないからね」
スーフェリアは早足で路地裏を出ていく。リーシェはゴスロリを着せることを諦め、悲しそうな顔でついていった。俺も2人と共に路地裏を出る。
「友達の家はどこにあるんだ?」
「案内するよ。ついてきてね」
俺たちは活気のある道を歩いていく。ゴスロリを着ている俺とリーシェは周囲の視線を集めた。俺は結構恥ずかしいのだが、リーシェは誇らしそうに進んでいる。
「ここがあいつの家だね」
案内された先には、領主の邸宅に相応しい大きさのお屋敷があった。屋敷は高さ3mほどの白い壁に囲まれている。かろうじて見えた屋敷の天辺も白い石材で建てられていた。
門の前には2人の衛兵が立っている。紺の制服を身にまとい、腰には剣を携えていた。
「ね、ここの領主に会いたいから通してくれる?」
「帰れ。子どもが遊びに来るところではない」
スーフェリアが衛兵に話しかけたが、当然拒絶された。衛兵がこんな子どもを簡単に通すわけがない。
「スーフェリアが会いに来たよって伝えてよ。駄目?」
「駄目だ。大人になってからまた来なさい」
「では、エルフの跡継ぎが面会を望んでいるとお伝え願えますか?」
「エルフ……? 失礼ですが、あなたのお名前は?」
「リーシェと申します。ピュリノスの領主様に一度ご挨拶をしたいのです」
2人の衛兵がお互いに顔を見合わせる。リーシェの言葉の真偽がわからないのだろう。
「……わかりました。伝えてはおきますが、あまり期待しないでください。そこのあなたのお名前は?」
「リズといいます。スーフェリアの親戚です」
「リズ、ですね。少し待っていてください」
衛兵の1人が大きな門の横にある小さな扉に入っていく。そして、すぐに戻ってきた。
「今、係の者に伝言を頼みました。面会できるかどうかは今日中にわかると思いますが、一度帰っても大丈夫ですよ」
「2人ともどうする? ここで待つ?」
「ここで待ってていいんじゃないか? どうせ行くところも無いだろ」
「あたしもそれでいいですよ」
「じゃ、ここで待とうか。私が来たからね、すぐに会ってくれるはずだよ」
待つ間はゴスロリについて話していた。リーシェはこの服を気に入ったらしく、興奮した様子で語っている。スーフェリアは、そもそも服を着ること自体を嫌っていた。
最初出会ったときに全裸だったのはそういう理由だったのか。茶色の服も動きやすさを最優先にしてるらしい。俺としては、もっとオシャレをしてほしい。スーフェリアは可愛いからな。
そんなことを話していたら上空に何者かの気配を感じた。見上げてみると人間がこちらに落下している最中だった。その人間は俺たちの前に両足で着地する。道は衝撃でひび割れてしまった。
落下してきた人間は美しい女性だ。紺色の長髪と瞳を持ち、身長は俺より少し高い。おそらく170cmくらいだろう。
彼女は灰色のダボっとしたスウェットを上下ともに着ていた。人間離れした美貌は怒りで歪んでいる。
「スーフェリア! 今までどこをほっつき歩いていた! どうしてここに──」
「セラフィオス!」
彼女が言い終わらないうちにスーフェリアが動き出す。スーフェリアは一瞬で彼女の目前に迫り、顎に向かって豪快なアッパーを繰り出した。
空から落ちてきた女性は、再び空を舞った。