神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します!   作:光の道筋

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「俺はリズだ。セラフィオスじゃない。ついこないだ使徒になったばっかりの新人だ」

「セラフィオス、貴様がスーフェリアに甘いのは知っておる。こいつの為にそんなことをせんでよい。さっさと元の姿に戻れ」

「……本当にセラフィオスじゃないんだ」

「しつこいぞ。スーフェリアを甘やかすな。何度も言わすでないわ」

 

 スカレアは俺のことをセラフィオスだと思い込んでいる。確かに、セラフィオスならスーフェリアに頼まれたことは何でもやってしまいそうだ。彼女の性格は昔から変わっていないのだろうか。

 

「ふんっ!」

「ぐはっ!」

 

 スーフェリアが、目にも止まらぬ速さでスカレアの腹を殴った。スカレアは吹き飛ばされ、壁に激しく叩きつけられる。鈍い衝撃音とともに、家全体がきしんだ。

 

「スーフェリア!?」

「スーフェリア様!? いきなりどうしたんですか!?」

「だってリズはセラフィオスじゃないし」

「貴様! すぐ暴力に走るのは変わってないのじゃな!」

「いやいや、私はね、暴力とか好きじゃないから」

「黙れ! このクソボケが!」

 

 スカレアは地団駄を踏み、眉を吊り上げて怒っている。対してスーフェリアは、どこ吹く風とばかりに聞き流していた。

 

「な、なあ、取り敢えず話を聞いてくれないか?」

「……そうじゃな。妾はクソボケとは違う。人として会話してやろう」

「私も人として会話するけど」

「貴様は黙ってろ!」

「そんなに怒らないでよ……」

 

 スカレアは囲炉裏の前まで移動し、その場に座り込んだ。火打石を手に取って何度か打ち鳴らすと、囲炉裏にぱっと火が灯った。

 

「まぁ、スーフェリアはどうでもよい。話を聞いてやる。貴様の正体はなんじゃ」

「俺は元々異世界の人間だったんだ。いつの間にかスーフェリアの作った体になって、この世界にいたんだ」

「妾を馬鹿にしておるのか?」

「してないって! 本当だから!」

「……鍋の支度をする。続けろ」

「あ、手伝いますよ」

「有難い。では、甕から水を汲んで鍋に入れてくれ」

「わかりました」

「俺も手伝うよ」

「貴様は座って話してろ。スーフェリアもじゃ」

 

 リーシェとスカレアが立ち上がって鍋の支度を始める。俺とスーフェリアは囲炉裏の周りに座って待機だ。

 

「おいクソボケ、こいつの言っていることは本当か?」

「本当だよ。真実しか口にしてないね」

「そうか。異世界の人間とは信じられんな。何故母様の姿になってるんじゃ」

「母様の姿って何だ? 俺はスカレアの母の姿なのか?」

「む? 貴様は何も知らないのか?」

「俺が使徒になった時からこの姿だったんだ。スーフェリアが可愛くて美しい体を作ったって言ってたな」

「おい、どういうことじゃ」

 

 スカレアは鍋に野菜と魚を入れながらスーフェリアを睨んでいた。スーフェリアは正面からその視線を受け止めている。

 

「そのまんまだけど。私が一番可愛くて美しいと思う体を作ってたんだよ」

「作ってたのも意味分からんが、それが何故動いておる」

「それは私にも分からないね。体を作ったら異世界の人間が入ってきたんだよ」

「……貴様にも分からんのか」

「なあ、俺の質問に答えてほしいんだけど。母様の姿って何なんだ」

「ちょっと待て。鍋を持っていく」

 

 スカレアは鍋を囲炉裏の上にある鉤に引っ掛けた。鍋は魚と山菜が入っている寄せ鍋だ。スカレアとリーシェも囲炉裏の周りに座った。リーシェが取り皿とスプーンを配ってくれている。

 

「美味しそうですね」

「そうじゃろう。妾の鍋は世界一美味いからのぅ」

「美味そうだけど、早く教えてくれよ」

「貴様が妾たちの母の姿になっておる、それだけの話じゃ。スーフェリア、何故教えなかったのじゃ」

「…………お母さんの話はしたくないし」

 

 スーフェリアは悲しそうに目を伏せていた。使徒にも母がいたことに驚きだが、スーフェリアが母の体を作っていた理由にも疑問が残る。一体どういうことなんだ。

 

「セラフィオスにも会ったのじゃろ? あいつは何も言わなかったのか?」

「セラフィオスはね、私とリズの顔が似ている理由を聞いただけだったよ」

「あぁ、あいつは優しいからのぅ。母様の話をして悲しませたくなかったのじゃな。妾はそこまで貴様に甘くないから話すが」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。1個ずつ、俺の質問に答えてくれないか? スカレアとスーフェリアに聞きたいことが沢山ある」

「何でも聞くがよい。鍋を食べながら話すとしよう」

 

 スカレアは鍋から取り皿によそう。俺とリーシェもそれに続いた。海鮮たっぷりの塩鍋は出汁がよく出ていて美味しい。だけど、今は鍋に集中していられない。質問しなければ。

 

「使徒にも母親がいるのか? その人も使徒なのか?」

「妾たち使徒は、皆が同じ母から産まれておるのじゃ。それと、母様は使徒ではない。神じゃ」

「……神?」

「そうじゃ。神の使徒だということは流石に聞いておるじゃろ? 神が使徒を産んでおるのじゃ」

「つまり、俺は神の姿ということか?」

「その通りじゃ。妾は数十万年ぶりにその姿を見たのぅ。意外と顔を覚えてるもんじゃな」

 

 神。俺は神の姿なのか。全然実感が湧かない。この姿はてっきりスーフェリアの理想の顔だと思っていた。まだ疑問は残る。スーフェリアが神の体を作っていた理由を知りたい。

 

「スーフェリア、何で神の体を作ってたんだ? この体が神の姿だって何で教えてくれなかったんだ」

「……言うの恥ずかしいんだけど」

「さっさと言え、この精神異常者が。母様そっくりの人形を作ってるなんてドン引きじゃ」

「精神異常者なんかじゃないからね。私は正常だから」

「正常なら理由を言っても何ともないじゃろ」

「そうだけど……はぁ、分かったよ。言えばいいんでしょ」

 

 スーフェリアは手に持っていた取り皿を置いた。観念して話し始めるようだ。

 

「私はね、もう一度お母さんに会いたかったんだよ」

「お母さんに? もう会えないのか?」

「うん、会えないよ」

「使徒が現世に降りたら、二度と神のもとに戻れないのじゃ。スーフェリアが母様大好きなことは有名じゃからな。早く親離れするのじゃ」

「スカレアはお母さんに会いたくないの?」

「現世に来てすぐの頃は会いたかったのぅ。じゃが、今は1人を満喫しておる。もうそんな気持ちは無いのじゃ」

「そう……」

「母様の体を作ったところで会える訳がなかろう。こいつはたまたま動いたが、所詮偽物じゃ」

「うん、そうだね……」

 

 スーフェリアは寂しそうに顔を俯かせている。母に会うために、あの地下室でこの体を作っていたのか。それなのに母ではなくて俺になってしまった。俺がこの体になってしまってスーフェリアに申し訳なくなってしまう。俺は神でも母でもなく、ただの他人だ。

 

「……ま! 切り替えていくのじゃ! リズといったな! 貴様はスーフェリアのことが好きじゃろ!? そうじゃろ!?」

「あ、あぁ。勿論大好きだ」

「リーシェもスーフェリアが好きじゃろ!?」

「はい、大好きです」

「妾もセラフィオスもスーフェリアが好きじゃ! 貴様を愛してくれる人がこんなにいるんじゃ! 今を楽しめ!」

「うん……皆ありがとね。私も大好き」

「今は妾の美味すぎる鍋を食べるぞ! 妾の鍋を食べれば気分も明るくなる!」

「そうだな! スーフェリアも食べよう! この鍋、すごく美味しいぞ!」

「スーフェリア様! このお魚美味しいですよ! いっぱい食べてください!」

「うん、食べる」

 

 スカレアは暗く沈んだ空気を和らげようとしてくれた。俺もスーフェリアにはずっと明るくいてほしい。彼女には笑顔が一番似合うから。

 鍋を食べ終わった後は4人で左の部屋に入った。ここは寝室らしい。布団が1枚置かれている。スカレアが追加の布団を3枚作り、皆で寝た。

 翌朝、スーフェリアはいつもの調子に戻っていた。しかしスカレアは、スーフェリアに厳しい言葉を投げかけてしまったことを気にしているのか、昨日より優しく接していた。

 

「スーフェリア! 今日は遊ぶぞ! 妾が楽しませてやるのじゃ」

「え? 何すんの?」

「釣りじゃ! 今日は釣りをしまくるぞ! リズとリーシェもそれで良いな!」

「俺も釣りしたいな。楽しそうだ」

「あたしもやってみたいです!」

「スーフェリアも釣りに行くじゃろ!?」

「うん、皆が行くなら私も行くよ」

「よし! 決まりじゃ!」

 

 スカレアの提案で予定が決まった。今日は釣りをする日だ。スーフェリアに楽しんでもらおう。




スーフェリアはお母さんのことが大好きらしいです。
次回、釣りします。悪魔呼ばわりされてることについても話します。
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