神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します! 作:光の道筋
地面が揺れる。爆発の影響か、自然現象かは分からない。昨日の地震よりも大きな揺れだった。
「次は君だ!」
今度は俺に向かって光が伸びてきた。白い光が地を走るが、来ると分かっていれば避けられる。俺は素早く転がり、光から逃れた。直後、元いた場所で大きな爆発が起こる。危ない。あんなものを食らったら間違いなく死ぬぞ。
クソ、どうする。俺とスカレアの攻撃は結界に阻まれて届かない。反対に、バルバは攻撃し放題だ。まずい。本当にまずい。とにかく近づいて結界を破らないと。
「妾を舐めるな!」
「なッ! 生きているのか!」
爆散したスカレアは既に再生を終えていた。今度は太い木の根を結界に巻き付け、締め上げようとしている。しかし、結界の周囲で光が迸り、爆発して木の根を吹き飛ばした。あの光は自由自在なのか。
「貴様ッ! その攻撃を止めろ! 地殻を刺激するな! 噴火してしまう!」
「チカク!? 何だそれ!? 何の話だ!」
「このクソボケがッ! 何も知らん馬鹿は死ねッ!」
「僕は副団長なんだ! 殺されるわけにはいかない!」
スカレアは激昂し、爆発で体を削られながらも攻撃を継続していた。バルバは俺とスカレアに交互に光を放ち、次々と爆発を引き起こしてくる。地震はなおも続き、収まる気配は皆無だ。
俺は結界に近づけない。爆発を避けているだけだ。なんとかしないと。でも、どうすればいい。
突如、バルバが首を大きく傾けた。さっきまで頭のあった位置に白い線が飛んでくる。その線は結界に防がれていない。白い線はバルバに向かって移動する。彼はまるで体操選手のように飛び跳ねて避けた。
あの白い線は見覚えがある。線の出所を見ると、そこにはリーシェがいた。やはり、白い線は何度も見たことのあるウォーターカッター魔法だ。
「あたしも戦います!」
「魔法使いか! まずは君からだ!」
光がリーシェへと伸びていく。俺は反射的にリーシェの元へと駆けていた。この爆発は使徒の身体能力が高いから避けられているだけで、ただのエルフであるリーシェには避けられないだろう。もし直撃したら死んでしまう。
俺の足よりも光の方が僅かに速い。このまま走っていては間に合わなかった。俺は右手から蔓を伸ばす。その蔓をリーシェの体に絡め、思いっきり引っ張った。彼女をお姫様抱っこすると同時に、大爆発が起こる。間一髪で助けられた。
「大丈夫か!?」
「ありがとうございます! 大丈夫です!」
「結界は魔法を通すみたいだ! リーシェも攻撃してくれ!」
「はい! 任せてください!」
「クソッ! 殺せないか! なら変えるだけだ!」
バルバは悔しそうな声を上げた。リーシェはそんな彼にウォーターカッター魔法を放つ。魔法が結界とバルバを貫く──ことはなかった。魔法は何故か結界に防がれる。
「は!?」
「まだまだいきます!」
リーシェは何度も魔法を放つが、全て結界に遮られてしまう。一方、スカレアの攻撃は結界を無視して通り抜けている。バルバは根を避け、剣で切り裂き、爆発させて凌いでいた。結界は物理か魔法かのどちらかしか防げないのか? それなら好都合だ。このままリーシェが魔法を放ち続け、スカレアに攻めてもらおう。
スカレアの猛攻撃は止まらない。だが、バルバは巧みに攻撃を捌き、的確に反撃していた。スカレアは焦り、被弾を無視して体を再生しながら暴れている。このままではまずい。いつかは死んでしまう。
「スカレア! 落ち着け!」
スカレアに呼びかけるが、彼女には届かなかった。もう人型のスカレアは残っていない。そこには暴れ狂う何本もの太い根しかいなかった。
スカレアがどのくらい再生できるか分からない。俺はどうする? 助けに行った方がいいのか? 今ならば、バルバに直接攻撃することだってできるだろう。近距離で放電すれば回避も不可能だ。
しかし、スカレアを助けに行けばリーシェが危ない。リーシェ1人では光から逃れられず、爆発してしまう。爆発する前にバルバを殺せばいいのか? でも、そんなことができるのか? 近づいたら物理を防ぐ結界に変えてくるんじゃないのか?
俺はリーシェにも、スカレアにも死んでほしくない。俺はどうすればいい。ここにスーフェリアがいれば……いや、そんなことを考えても意味は無い。現状で最善を尽くすんだ。
……スーフェリアならどうする。彼女がやっていたこと。そうだ、ダンジョンでは肉体を伸ばして、そこから腕を生やしていた。
俺にも同じことができるはずだ。俺はスーフェリアと同じ、神の使徒なんだから。まずは再生の在庫を増やさないと。そうすれば、やれることが格段に増える。
「リーシェ! 周りの木を切ってくれ!」
「はい! わかりました!」
リーシェはウォーターカッター魔法を放ち、木を10本ほど切ってくれた。切り終わるとバルバへの攻撃へとすぐさま戻る。
俺は背中に何本かの細い触手を生やし、切断された木へと伸ばして吸収する。次に、足から白い泥を作り出し、地面を這わせてバルバの元へと向かわせた。最後に、白い泥から手を作り出してバルバの足を狙う。
「クソッ! 邪魔だ!」
バルバは俺の手から逃れるために大きく飛んで後退する。その隙をスカレアは見逃さない。
彼女はバルバに根を叩きつける。根は結界に防がれるが、それならばリーシェの魔法が通る。ウォーターカッター魔法がバルバの腕を貫いた。いける。これならいけるぞ。
「クソッ! クソクソッ! 1対3なんて卑怯だぞ!」
卑怯でも構わない。今はどんな手を使っても勝つ。それからも俺たちの攻撃は続いていく。バルバは俺とスカレアの攻撃は確実に防ぎ、リーシェの魔法は多少食らっても良しとしているようだ。爆発と結界でなんとか凌ごうとしているが、彼は徐々に負傷していった。
俺が足を掴むか、スカレアが叩き潰せば、それだけで勝利が確定する。もしくはリーシェがバルバの急所を貫いても勝ちだ。慌てずにじっくりと、真綿で首を絞めるようにじわじわと攻めていこう。
「あぁ! クソ! 全力だ! 辺り一面吹き飛ばしてやる!」
バルバは剣を地面に突き刺し、そこから放射状に光が広がっていく。その範囲はこれまでとは比べ物にならない。やばい。これが爆発する前に逃げないと、俺とリーシェは即死してしまう。逃げようとした瞬間、背後から轟音が聞こえた。その音と同時に、足元に広がっていた光が消える。さらに、地面は激しく揺れ、空気が騒めく。
俺は衝動的に轟音が鳴り響いた方向を見る。そこには、大きな灰色の塊が立ち上り、頂上からは真紅に輝く溶岩が流れている火山があった。大噴火だ。俺は呆然としたまま火山を見つめてしまった。
次回、噴火によって状況が大きく動きます。
スカレアは噴火した火山を見て何を思うのでしょうか。