神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します!   作:光の道筋

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第4章 悪魔討伐
悪魔に擬態する方法


 悪魔のふりをして殺されるってどういうことだ? 以前、スーフェリアは使徒でも死ぬことはあると言っていた。殺されたら元も子もないと思うのだが。

 

「悪魔として殺されたのならば、聖教国は悪魔探しを止めると思うのじゃ」

「スカレア、どういう意味? 私はさ、死にたくないし、皆にも死んでほしくないんだけど」

「死ぬわけではない! あくまで殺されるふりじゃ!」

「危なくないですか? あたしも皆さんに死んでほしくないです」

「絶対に大丈夫じゃ! 今からそのやり方を見せてやる!」

 

 スカレアは指先から木の根を生やし、テーブルの上まで伸ばした。そして、根の先端から小さな人形が作り出される。身長10cmほどのスカレアだ。白のワンピースを着ている小さなスカレアは根に繋がったまま踊り始めた。

 

「おお、可愛いな!」

「そうじゃろ! 妾は可愛いじゃろ!」

「スーちゃんの方が可愛いけどね。そんなことより、こうやって悪魔のふりをするってこと?」

「そうじゃ! スーフェリアより可愛い妾が考えた最高の案じゃ! 作った悪魔が殺されても本体は死なないからのぅ!」

「いいね。私もやってみよ」

 

 スーフェリアもスカレアと同じように指先から根を生やし、小さな人形を作り出した。

 現れたのは、不気味ながらもかっこいい悪魔だった。全身は脈動する黒い膿で覆われ、二足歩行の体に四本の腕が生えている。鋭い爪がいかにも悪魔らしい。

 

 頭部はウナギのような触手で構成され、背中には二対の羽が生えていた。その姿はまるで、クトゥルフ神話に登場しそうな異形の存在だ。スーフェリア作の悪魔はスカレア作の人形と同じ踊りを始めた。

 

「おお、かっこいいな!」

「おい! なんじゃこの気持ち悪いのは! 可愛い妾の隣で踊らせるな!」

「え、かっこいいでしょ。この子も一緒に踊りたいって言ってるよ」

「スーちゃん……これは……」

「ん? どうしたの?」

 

 セラフィオスは小さな悪魔を見てドン引きしていた。まぁ、そうだよな。引いてしまう気持ちは理解できる。

 多分、黒い膿が良くない。俺も初めてサザエの黒い部分を見てしまったときは驚いた。ウンコみたいな見た目だし、食いたくなかった。今のセラフィオスもそんな気持ちなのかもしれない。

 

「いや、大したことはないんだけど……これがスーちゃんの考えた悪魔なんだよね?」

「そうだよ。かっこいいでしょ」

「……うん、そうだね。かっこいいよ」

「おいセラフィオス! スーフェリアを甘やかすな! 正直に感想を言うのじゃ!」

「正直な感想だよ! わたしは生まれてから一度も嘘を言ったことがないよ!」

「人間を騙して領主を続けてるじゃろが!」

「嘘はついてないから! ただ真実を言ってないだけだから!」

 

 セラフィオスは顔の前で腕をぶんぶんと振り、慌てたように否定してみせた。彼女はスーフェリアに甘いのか。でも、満足そうな表情で悪魔を眺めているスーフェリアを見たら、セラフィオスでなくても貶したりはできないだろう。

 そもそもかっこいいしな。俺も制作する悪魔のデザインを考えておこうかな。

 

「リーシェはどうじゃ! この化け物を見てどう思うのじゃ!」

「え!? あたしですか!? えーと、そうですね、あたしもかっこいいと思います。スーフェリア様のセンスは素晴らしいです」

「だよね。私もそう思う」

「ここにもスーフェリアに甘い奴がいたのじゃ! それは本当に貴様の意見なのか!? 言わされてないか!?」

「い、いや、そんなことないですよ。心の底から思ってますよ」

 

 本当に心の底から思っているのだろうか。リーシェがスーフェリアとレスバした時はボロクソに言っていた気がする。確か、頭に薬草を塗った方がいいとか、センスが最下層だとか。あのレスバは嘘だったと信じたい。

 

「リズは! リズはどうじゃ! 貴様が最後の希望じゃ!」

「すっごいかっこいいだろ。俺もそんな感じの悪魔にするか」

「終わった……ここにはクソボケに甘い奴しかおらん……妾が頑張るしかないのか……」

 

 スカレアは俺の返答を聞いて項垂れている。率直な感想を言っただけで、俺はスーフェリアを甘やかしていないはずだ。

 男の子はこういう悪魔が大好きだからな。今は女の子だが。

 

「甘いというか私のセンスが優れてるだけだからね。リズは私の真似するの? 別に構わないよ」

「……真似はやめるか。別系統の悪魔にしようかな」

「そうしなよ。色んなの見たいし」

 

 確かに、様々な外見の悪魔がいたら面白そうだ。せっかく作るのに、ただの模倣ではつまらない。

 俺だけのオリジナリティあふれる悪魔を生み出してやるか。ふふ、なんだかワクワクしてきたな。

 

「はぁ、あまり気持ち悪い奴は作ってほしくないのぅ。とにかく、明日から4人でダンジョンに入るのじゃ。そこで討伐隊を待ち構えるとしよう」

「え? 4人? その中にわたしは入ってる? 入ってるよね?」

「あ? 入っとるわけなかろう。セラフィオスには仕事があるじゃろうが。ここで待っとけ」

「え……わたしも行きたい……」

 

 セラフィオスは餌を欲する子犬のような眼でスカレアを見ていた。一方、スカレアはそんな彼女を鬱陶しそうにしている。俺はセラフィオスと一緒に行きたい。だけど、仕事を放り出して来いとは言えなかった。

 領主の仕事は膨大だろうし、討伐隊が来るまで何日かかるかも分からない。もし長引けば、セラフィオスの部下にも迷惑がかかってしまう。

 

「俺もセラフィオスと一緒に行きたいな。でも、仕事は大丈夫なのか?」

「……全然大丈夫じゃない。だけど外部の人と会う予定は無いから、なんとかなる筈」

「あたしもセラフィオス様と一緒がいいです。なんとかならないんですかね」

「誰かにさ、相談してくればいいじゃん。ちょっとお休みくださいってお願いしてきなよ」

「スーちゃんの言う通りだね。誰かに相談してくるよ」

 

 スーフェリアの提案を聞いて、セラフィオスは部屋から出ていった。以前、セラフィオスと一緒にダンジョンに潜る約束をしたからな。全員でダンジョンに行けるのが一番良い。休暇を貰えることを祈ろう。

 

「おい、スーフェリア。その気持ち悪いのをさっさと消せ。いつまで踊らせておるのじゃ」

「いやいや、気持ち悪くないから。すんごいかっこいいでしょ」

「かっこよくなどないわ。なんじゃこいつは。どういう生物なんじゃ」

「私が考えた最強の魔物だよ。強そうでしょ」

「まぁ、強そうじゃが……」

 

 スーフェリアは最強の魔物を手に取り、細部の調整を始めた。暇だし、俺も悪魔を作る練習をするか。指先からテーブルの上まで根を伸ばす。そして、先端から白い消しゴムのようなものを作り出した。そこから段々と人型に変えていく。

 

「あの、あたしもダンジョンに行っていいんですか? あたしは使徒ではありませんが」

「行ってもいいじゃろ。1人で留守番は寂しかろう」

「そうですね。寂しいです」

「リーシェには魔法でさ、道を塞いでもらおうよ。一本道にしたら討伐隊も迷わないし、悪魔を見つけやすくなるよね」

「リーシェはそんなこともできるのか! 偉いのぅ。いい子じゃのう」

「えへ、えへへ、あたし、そんな凄いですかね?」

 

 リーシェは頭を掻きながら照れている。その姿は子どもにしか見えない。本当に成人しているのだろうか。

 

 3人が会話している間も、俺は作り出した白い人形を動かしている。人形に目や耳を付けると、ちゃんと視覚と聴覚を確保できた。でも、視覚は難しい。本体が目を開けたままだと視界が二重になって気持ち悪くなる。

 人形で見るときは目を瞑っておいたほうがいいな。目を瞑れば人形視点でも問題ない。

 

「リズ、この白いのが悪魔? なんかシンプルすぎない?」

「これは練習だから。本番はもっとかっこいいのにするから」

「そう? 討伐隊を怖がらせるような見た目にしようね」

「行ってもいいって!」

 

 突如、扉が開け放たれてセラフィオスが叫んだ。左手で大きな袋を持っている。部屋から出たときには持っていなかったものだ。

 

「おお! 休暇がもらえたのか! よかったな!」

「そうなの! セラフィオス様にもお休みが必要でしょうって言ってくれて! わたしにも休暇がもらえたの!」

「それはよかったのぅ。それで、その袋はなんじゃ。何を持ってきた」

「あ、そうだね。今説明するよ」

 

 セラフィオスは扉を閉めて入室する。それから大きな袋をテーブルの上に置き、中から高級そうなランタンを取り出した。

 

「えーと、まずランタンだね。ダンジョン内は暗いからね。暗いとリーシェちゃんが見えないでしょ」

「あ、そういえばそうですね。ありがとうございます」

「残りは魔石だね。これは使徒の皆に必要だからね」

「なんで必要なの? 何かに使うの?」

「スーちゃん! よくぞ聞いてくれました! これを体内に埋め込むとね、水晶で見られても人間と同じになるんだよ!」

 

 袋の中には輝く石が大量に入っていた。その色は赤や黄、灰や青など様々だ。というか魔石ってなんだ。なんでそれを埋め込むと人間と同じになるんだ。この世界に来て日が浅い俺には分からないことだらけだった。

 

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