神の使徒にTS転生したので、最強美少女と旅します!   作:光の道筋

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ロリエルフ(レズ)

「スーフェリア様、心より感謝申し上げます。この御恩、決して忘れることはございません」

「ふふ、あれくらいお安い御用だよ。それよりもそんなかしこまった喋り方じゃなくて、もっと砕けた口調でいいよ?」

「いえ……救世主様にそのようなことは……」

「お願い」

「はい……善処します……」

 

 新築の木材の匂いが心地よい部屋の中、成人から中学生の身長に戻ったスーフェリアとエルフの長が会話している。

 

 エルフの長は、長い金髪が輝いているたれ目の碧眼イケメンだった。

 長が着ている白い服は絹糸で作成されているようで、嫌みにならない程度の高級感が滲み出ている。

 

 反対に、俺たちの服は相変らず茶色い農民スタイルだ。もう体の一部と化していて気付かなかったが、この爽やかイケメンと対面して己の姿を恥じた。

 スーフェリアはこの茶色くぼろい服が気に入っているらしい。

 

 スーフェリアは大量の食糧を作った後、讃えられたのが余程嬉しかったようで勝手にエルフたちの家を作っていった。

 

 エルフは大木にツリーハウスを建てる文化らしく、地上から数mほどの高さにあるツリーハウス同士は吊り橋で渡れるようになっている。

 

 エルフの家は大火で焼けてしまったため、エルフの民全員分の家を建てたスーフェリアは食糧の件と相まってエルフに崇拝されていた。

 

 ちなみに、俺はスーフェリアの従者だと思われているらしい。心外である。

 

 現在は、今後について話したいということで、エルフの長の家に招待されたところだ。

 応接室にて、俺とスーフェリアは隣り合って革製のソファに座り。木製のテーブルを挟んだ反対側にはエルフの長がソファに座っていた。

 これらの家具もスーフェリアが作ったものだ。

 

「で、相談したいことがあるみたいだけど、何かな?」

「はい、スーフェリア様には返しきれないほどの恩があります。しかし、受けた恩を返しきれなければ先祖に顔向けができません」

「うん、その気持ちは嬉しいけどさ、今はそれどころじゃないでしょ。生活、皆で安定させなきゃ」

 

 おお、スーフェリアがまともなことを言っている。この調子なら悪魔と呼ばれなくなるかもしれない。

 

 彼女の言う通り、当面の食糧と住居がなんとか賄えただけなのでエルフの民は全員が忙しい。

 スーフェリアに多大な恩があるといっても、その恩を返すのは大分先のことになりそうだ。

 

「はい、そのことは理解しています。ですので、スーフェリア様に恩を返すにはどうすればいいのか、村人たちに相談したのです。そしたらですね、その、立候補した者がいたのですが、はい」

 

 あれ、なんか急に歯切れが悪くなったぞ。立候補って言葉に不安しか感じない。スーフェリアも怪訝そうな顔をしている。

 

「立候補って、なんの?」

「スーフェリア様の従者への立候補です」

「いらないね」

 

 即答だった。あまりの速さに長も苦笑している。

 立候補した人は俺のことを従者だと思い込んでるから、スーフェリアの従者になろうとしたのかな。

 彼女と俺の顔は非常に似ているのに血縁者とは思わないのだろうか。

 

「ちょっと待ってください!」

 

 扉が勢いよく開け放たれ、応接室にいる俺と長の目が扉へ向けられる。そこにいたのはエルフの少女だった。

 

 たれ目で碧眼のぱっちりお目目。ふわふわとした長い金髪が背中を覆っていた。

 白い絹の服は輝く金髪に似合っている。小さくて可愛い。スーフェリアよりも身長が低いかもしれない。

 

 ……まあ、扉の向こうで聞き耳を立てていたのは気づいてたけどね。

 俺が気づくくらいだから、当然スーフェリアも気づいていただろう。長は目を見開いているので気づいていなかったかもしれない。

 

「ヴェリシェール! スーフェリア様の前だぞ! 控えなさい!」

「いいえお父様! あたしにも関係ある話です! なぜあたしが立候補者だと言わないのですか!」

 

 ヴェリシェールと呼ばれた少女は長の娘で立候補者だった。長は娘が従者になるのを嫌がっていたのか。

 

 そりゃあ、娘が怪しさ満載の自称神の使徒に仕えるなんて嫌だよな。俺だって嫌だ。

 スーフェリアは長の娘には興味が無いのか、服のごみを取っている。早く着替えさせたい。

 

「スーフェリア様は従者を必要としていない。わかったら下がれ」

「なら従者じゃなくてもいいです! とにかくあたしを連れて行ってください! 必ずお役に立ちます!」

 

 長は額に手を当てて深い溜息を吐いている。娘の暴走を抑えられないようだ。苦労しているな。

 

 スーフェリアは全く興味が無いらしく、服のごみ取りに熱中している。この状況でお前が参加しなかったら収集つかないだろ。

 

 これって俺がやらないといけないのか? 今日あったばかりの人の家庭問題に口挟みたくねえよ。

 うん、無理やりスーフェリアを会話に参加させよう。

 

「スーフェリア、彼女がスーフェリアについていきたいって言ってるんだけど、どうだ?」

「え? いらないって。私とね、リズの素敵な旅じゃん。ん? リズはついてきてほしいとか、そういう話だった?」

「いや、俺もどうでもいい……」

「そんなこと言わないでください!」

 

 少女が俺が座っている横まで来て頬を膨らませている。どうしてもスーフェリアについていきたいみたいだ。

 

 長を横目に見ると、その表情は焦っているようにも見えるし、怖がっているようにも見える複雑な顔をしていた。

 娘の失礼な発言に戦々恐々としているのだろうか。

 

「えーと、君はなんでスーフェリアについていきたいのかな」

「よくぞ聞いてくれましたリズお姉さま!」

 

 リズお姉さま? 俺、この女の子と初対面のはずなんだけど、グイグイ距離詰めてくるタイプの子なのかな。それとも、これがエルフの文化なのか。

 

「あたしはですね! もちろん大恩あるスーフェリア様のお役に立って恩を返したいと思っています! でもですね! リズお姉さまと共に働きたいのです! この気持ちが一番です!」

 

 彼女はものすごい勢いで話し続ける。 

 

「迷える同胞へ語り掛ける姿もとっても凛々しかったです! エルフへの慈しみ! 内面も素晴らしく美しいです! だからスーフェリア様とリズお姉さまについていこうと決めたのです! 二度とこの村には戻らないつもりです! あたしを! つれていって! くれないでしょうか!」

 

 鬼気迫った表情で言い終わると、関節の可動域限界まで下げた深い礼をしてきた。

 

 ……えーと、つまり、スーフェリアに恩はあるけども、それよりも俺と一緒にいたいということか。

 

 長は娘に従者をさせたくないわけじゃなくて、娘のこの姿を見せたくなかったのかもしれない。

 スーフェリアが気難しい性格だったら怒っちゃう可能性があるからな。でも、怒らないだろうな。

 そう思いスーフェリアに顔を向けると、案の定満面の笑みだった。

 

「ね、顔上げてよ」

「はい!」

 

 少女が顔を上げる。その顔は強張っており、頬には冷や汗が流れていた。

 

「ふふ、リズ、可愛いよね」

「はい! 可愛いです!」

「私とね、リズの旅についていきたいんだっけ」

「はい! ついていきたいです!」

「いいよ」

「え?」

「ついてきて、いいよ」

 

 少女は許可が出るとは思っていなかったのか、呆然としている。長は目を見開いており、幽霊でも現れたかのような顔でスーフェリアを見ている。

 

 二人はスーフェリアの変わりようが信じられないようだ。

 だが、俺にはわかる。俺の外見、つまり、スーフェリアの作品を褒めてくれたのが嬉しいのだろう。

 

「じゃ、さっそく行こっか」

 

「ス、スーフェリア様。何故、ヴェリシェールに許可を下さったのでしょうか。その理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」

 

 長が慌てた様子でスーフェリアに尋ねる。少女も気になっているようで、真剣な眼差しを注いでいる。

 

「この子がリズの内面を褒めてくれたからね。あ、外見を褒めてくれたのも嬉しいよ」

 

 意外だ。スーフェリアはこの顔だけが好きだと思っていたが、俺という中身にも興味があったとは知らなかった。

 スーフェリアと視線が合うと、俺にウインクしてきた。可愛らしい。

 

「ふふ、これからよろしくね」

「は、はい! よろしくお願いします!」

 

 スーフェリアが差し出した右手を少女が慌てて握り返す。俺とスーフェリアの二人だけだった旅が、三人に増えた。

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