【改稿版】お兄ちゃんができました   作:ちびっこ

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新しいクラスです。

 草壁の説明がわかりやすかったため、ヒナは無事に職員室に着いた。

 

 ヒナはドキドキしながらノックをし、職員室に居た先生に声をかける。が、「雪宮ヒナ」と名乗った途端、態度が変わる。

 

「!? お、おかけになってお待ちください!!」

 

 先生に頭を下げられ、ヒナは疑問に思いながら指定されたソファーに座る。そのまま大人しく座っているつもりだったが、先生がヒナを怯えるように見るので思わず声をかける。

 

「あ、あの」

「はい! なんでしょうか!!」

 

 あまりの迫力に圧倒された。スカートを握り締め、ヒナは泣かないように必死に耐える。そんなヒナの態度に疑問に思った先生は、気付けば確認していた。

 

「風紀委員の紹介、ですよね?」

「……紹介?」

 

 先生の言葉が弱まったので、なんとかヒナは答えることができた。もっとも疑問に思った単語を口に出すことしか出来なかったが。

 

「転校手続きが風紀委員からの紹介だったので……」

 

 ヒナは首を傾げた。が、すぐに雲雀が風紀委員だったことを思い出す。そして先生の態度から『紹介』というのは特別な意味があるとヒナは考えた。

 

「違うと思う。ヒナの代わりに転校の手続きをしてくれたの」

 

 雲雀と草壁から『紹介』という言葉を聞いていない。特別な意味があるなら、応接室で説明していたはずだ。

 

「では、あなたは風紀委員と関係ない……?」

 

 関係あるのは兄の雲雀であって、ヒナは関係ない。だから頷く。

 

「うん」

 

 ヒナの言葉に先生が大きな息を吐き出した。それをきっかけに職員室自体の空気も良くなった気がする。

 

「もう1人転校生がいるんだ。その子が来れば担任の先生が説明するね」

 

 優しく声をかけられ、ヒナは笑顔で頷いたのだった。

 

 

 

 

 一難去ってまた一難。

 

 ヒナはもう1人の転校生……獄寺に怯えていた。会ってすぐに舌打ちされ睨まれたのだ。

 

 会ってすぐなので、ヒナが何かしたとは思えない。そのためヒナは転校生は怖い人と認識したのである。それでもせっかく同じ日に転校してきたのだ。ヒナは仲良くなりたかった。

 

「い、イタリアに住んでたんだよね……?」

 

 ヒナは頑張った。決して速いと言えない頭の回転だが、なんとか共通の話題を選び声をかけたのだ。

 

「……ああ」

 

 そっけない返事だったが、返してくれたことにヒナは喜んだ。説明が終わり、教室へ向かってる途中で時間が残されていない。そのため勢いよく声をかける。

 

「ヒナもイタリアに住んでいたんだ! 一緒なの!」

「……ちっ、てめぇも呼ばれたのか」

 

 ヒナは首を傾げた。何のことを言ってるのだろう。心当たりがないか考えていると、先生の言葉で思考を止める。……否、止まらざる終えなかった。

 

「ここが教室だ。1人ずつ紹介するからな。先に獄寺君からだ」

「紹介……!?」

 

 ヒナは今の状況をすっかり忘れていたのだ。何も考えていなかったヒナは、無駄にその場をグルグルまわる。

 

「もう1人、転校生を紹介する」

 

 先生の声が聞こえ、ヒナはさらにグルグルまわる。緊張はピークのようだ。

 

「ど、どうして!!」

 

 大きな声が聞こえ、ヒナは動きが止まった。ヒナは手続きをしたのは昨日である。獄寺が転校してくるのは知っていたのかもしれない。急に決まった自身は受け入れてもらえるか、不安になったのだ。

 

「昨日急に決まったんだ。入ってきなさい。……ん? 聞こえなかったのか?」

 

 動けず固まっていたヒナだったが、先生が廊下に顔を出したことにより観念し歩き出した。

 

「…………」

 

 静まる教室。ヒナの前の転校生の獄寺はイケメンだった。期待せずにはいられない。

 

 だが、下を向いて歩くヒナの姿は、とても陰気だった。

 

「獄寺君と一緒でイタリアに留学していた。転校生の雪宮ヒナさんだ」

 

 その言葉にヒナは顔をあげる。ちっとも慣れないが、何度も転校しているヒナは第一印象が大事だと知っている。

 

「雪宮ヒナなの!! こ、これからよろしくお願いしま……す……」

 

 最初は勢いがあった。しかし次第に声が小さくなっていく。同時に顔も真っ赤だ。

 

「か、かわいい……」

 

 誰かがふいに呟いた声だった。その言葉が聞こえたヒナは、さらに顔が赤くなる。耳まで真っ赤だ。

 

 ヒナの様子を見れば、陰気に見えたのは間違いで緊張していただけだと誰もがわかった。

 

「雪宮さんの席は……沢田の横だ。沢田、手を上げろ」

「え!? は、はい」

 

 ヒナは手を上げた人物を確認すると否や、小走りで向かう。一刻も目立つ教壇から逃げたかったのだ。そして沢田と呼ばれた人物の隣の席に座った。

 

 それでも視線を感じるので、ヒナは縮こまる。そんなヒナを見て男子はガッツポーズしていた。

 

 このクラスは2人の女子に人気がわかれていた。1人はとても明るく笑顔が可愛いく、もう1人は少しきつい口調だが美人。だが、どちらも手が届かない存在だった。

 

 片方は誰にも笑顔を向ける。が、仲の良い女友達にはさらに無邪気な笑顔を向けるので八方美人ではない。つまり一歩抜きん出る男子がいないということ。互いに牽制し動けない状況だった。

 

 もう片方は好きな人がいるとわかっていた。本人も公言し、積極的にアピールしているのだから。それでも美人で、きつい口調がいいというコアのファンがいるため人気が強い。

 

 そこにヒナが現れた。可愛いし、見るからに弱弱しい。ほんの少しアタックすれば、勢いに押され頷き付き合えそうなのだ。

 

 これには数多くの男子が喜んだ。

 

 ヒナには牽制が起こらないだろうという確信も強い。転校生のヒナに声をかけるのは、特別なことではないのだから……。

 

「沢田! 困っていれば面倒を見るように」

「わ、わかりました。……っひ!?」

 

 複数の男子からの殺気を浴び、先生に頼まれた少年は頭を抱えた。獄寺という転校生にも睨まれ、最悪だと思っていれば、今度はクラスの男子に恨まれていたのだから。

 

 ヒナは少年を見て、面倒なことを押し付けられたと思った。だから勇気をだし、声をかける。

 

「ご、ごめんね……。出来るだけ迷惑かけないようにするから……」

「き、気にしなくていいよ!」

 

 少年は申し訳そうなヒナを見て、慌てて返事をした。もう1人の転校生と比べれば、ヒナの方が断然良い。

 

「ありがとう、沢田君」

 

 可愛い。ヒナが笑った。

 

 殺気を感じ、慌てて目を逸らすことになったが、間近で見た少年――ツナは一瞬だけ見とれた。




告白されやすい人と告白されにくい人っていますよね。
ヒナはされやすいタイプ。
イタリアでも告白されてましたが、ジョークだと勘違いし断ってます。
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