【改稿版】お兄ちゃんができました   作:ちびっこ

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学校の風紀についてです。

 目を覚ましたヒナは知らない天井に驚き、飛び起きた。が、すぐに見慣れたトランクが見え、日本に来たことを思い出す。

 

「そうだ。母さんがいないんだ……」

 

 ほんの少しホームシックになりながらヒナは動き出す。顔を洗い、昨夜雲雀と話し合った場所を覗いてみたが、人の気配はない。

 

 当然だ。現在の時刻は9時過ぎ、学校が始まってる。

 

「お兄ちゃん、大丈夫だったのかな?」

 

 ヒナは雲雀が無事に起きれたのかと心配しながら、洗濯物を干す。雲雀が風呂に出た後に、家事の分担などについて話し終わったのが夜中の3時ごろだった。飛行機の中で睡眠をとり、今日はまだ休みのヒナには問題ないが、学校のある雲雀は違う。起きるのが辛かっただろうとヒナは思う。だが、すぐに決めなければこれからの生活に支障をきたすとわかりきっていたためヒナはどうしても譲れなかったのだ。

 

 現にこの洗濯物ですら、ヒナは雲雀の物と一緒に洗っていいのかもわからなかった。これから兄妹になるかもしれないが、嫌な人は嫌だろう。そして母親の話では何でも1人で出来るということは、雲雀は洗濯もまわせるということだ。ヒナは一緒に洗うのはいいが、雲雀がヒナの服を干すのは断固拒否する。ヒナだって年頃の女の子だ。さらに明日から学校に通うことを考えると今日中にヒナは一通り家事をこなしておきたい。細かく決めればキリがないが、昨夜の話は必要なことだったのだ。

 

「でも意外だったなぁ」

 

 昨夜の話でヒナがほとんどの家事をすることになった。ヒナは母親から仲良く出来ないと聞いていたため、いきなり私生活に侵入しようとするヒナは目障りだろうと考えていた。それがまさかヒナが自炊すると聞けば、晩ご飯はいると雲雀が言うとは考えれなかった。

 

「仲良くなれるかも!」

 

 これからの生活に期待してヒナは次の家事へと動き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 ヒナに寝坊を心配された雲雀はいつも通りの時間に問題なく起きていた。ただ今日はいつもと違うところがある。雲雀が1番最初に気付いたのは目を覚ますために向かった洗面所だった。

 

 増えた歯ブラシ。キャラクタータオル。

 

「…………ふわぁ」

 

 雲雀は特に苛立つこともなく顔を洗いだす。

 

 群れることが嫌いな雲雀が昨夜の内にヒナを受け入れたのである。住み込みの家政婦として。

 

 1度そう考えると雲雀にとっては悪くない話だった。面倒な家事を任せれれば、雲雀は学校で過ごせる時間が増える。多少のことは目をつぶることにしたのだ。

 

 

 学校に着いた雲雀は早速面倒ごとに取り掛かったとにした。さらっと書類をつくり、草壁に渡す。

 

「転入手続きですか……?」 

「そうだけど?」

 

 草壁が確認すると思わず、ジッと見つめる。が、特に何もないようなので草壁に全て押し付けた。ヒナのためにこれ以上動く気はなかった。

 

 

 二時間後。

 

 雲雀は草壁から全ての用意が終わったという報告を受け、顔を向ける。

 

「明日の登校に必要なものは?」

「こちらに」

 

 ダンボールに固められたのを見て、頷く。こういうことに気がつく男じゃなければ、副委員長という肩書きを与えなかっただろう。そう思いながら、草壁が示したダンボールを持ちあげる。

 

「っ委員長!」

 

 気がつきすぎて声をかけたようだ。

 

「いいよ。出かけてくる」

 

 家を滅茶苦茶にしていないか気になるし。と心の中で続け、雲雀は歩き出したのだった。

 

 

 

 雲雀が家に入ると、ほんの少し甘いにおいがした。料理の匂いだと判断し、雲雀は台所に足を向ける。

 

 扉を開けるとすぐに目に入ったのは親子丼。

 

 ヒナが慣れない場所で作ることを考慮し、尚且つ久しぶりに美味しい米を食べたいという欲求を叶えた品だった。

 

「あれ? お兄ちゃん?」

 

 声がする方を見れば、急須と湯のみを持ったヒナが居た。チラリともう1度親子丼を確認する。どうやら今から食べるところだったようだ。

 

「お兄ちゃんも食べる?」

 

 雲雀が親子丼を見たことでヒナは勘違いし声をかけた、らしい。

 

 ……悪くない時間だ。それに匂いに刺激され、お腹が減ってきた。

 

「そうしようかな」

「じゃ、先に食べていいよ。さっき出来たところだから温かいよ」

 

 湯気を見ればヒナがうそをついていないことはわかる。雲雀が席に座れば、ヒナは料理を運びお茶を入れはじめる。そしてすぐに台所に消えていった。

 

 雲雀が食べている途中からヒナも近くに座って食べ始めたが、煩わしいような会話はない。チラチラと雲雀の様子をうかがう視線は感じたが、雲雀の湯のみが空になると注ぎはじめるため、そこまで不快には感じない。

 

 咬み殺すことが出来ないが、上手く誘導すれば今後の生活が楽になるかもしれない。

 

 もっとも雲雀の完食を見て能天気そうに喜んでるヒナを見て、一瞬で雲雀は気が重くなったが。

 

「……明日に必要な物」

 

 視線が鬱陶しくなる前に、雲雀は持ってきたダンボールの存在を教える。ヒナの興味が移ったのを確認し、お茶を啜る。美味い。

 

「わぁ、ありがとう!」

 

 少し覗いただけで、中身を確認していないようだ。何のために雲雀がまだ残ってるのかヒナは気付いていないらしい。

 

「僕にはわからないからサイズ確認して。教科書は明日渡すから」

 

 雲雀の言葉にやっとヒナは理解したのか、ゴソゴソとダンボールを漁りだす。

 

「あれ?」

「どうかしたのかい?」

 

 中身を確認していないので、雲雀はヒナの不思議そうな声が気になった。

 

「ブレザーなの?」

 

 ヒナは雲雀に見えるように、制服を見せる。が、雲雀には疑問が通じなかったようなので、詳しく説明する。

 

「お兄ちゃんが学ランだから、セーラー服だと思っていたの」

 

 長い期間日本を離れていたが、ヒナは制服の種類を知っていた。幼い頃のヒナは中学生や高校生の制服はとても可愛く、憧れを抱いていたのだ。

 

「ああ。風紀委員は学ランだからね。他の生徒はブレザーだよ」

「制服が違うの!?」

「そうだよ」

 

 疑問に思うことなく雲雀が返事をしたので、ヒナは並盛中学ではそうなんだと納得する。そして、あることに気付く。

 

「だから風紀が大事なんだ!!」

「そうだよ」

 

 即答だった。

 

 ヒナはずっとルールの中に『風紀を乱さないこと』があることに違和感を覚えてていた。ルールに入ること自体はおかしくないが、真っ先に思いつくことなのかな?と不思議に思っていたのだ。だから雲雀の即答で謎が解け、ヒナはすっきりした。

 

 そして、再び気付く。

 

「学校の風紀はすごくいいんだ!!」

「当たり前だよ」

「すっごく安心したよ!!」

「そう」

 

 何気ない会話にみえるが、転校する予定のヒナにはとても重要なことだった。

 

 そしてこれから兄になるだろう雲雀が、また風紀を大事していると即答した雲雀が自信をもって問題ないと言ったのだ。この並盛で知り合いの居ないヒナにとってどれだけの安心に繋がるのか。雲雀は気づかなかった。

 

「制服、着替えてくるね!」

 

 嬉しそうに話すヒナに、雲雀はお茶を啜る音で返事をしたのだった。

 

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