冬木の番外次席   作:甘めのコーヒー

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第82話

音速。

 

いや、それ以上。

 

ウェイバーが悲鳴を上げる。

 

「なっ――!?」

 

だが次の瞬間。

 

火花。

 

キング・ブラッドレイが前へ出ていた。

 

双剣が、暴風のように銃剣を叩き落とす。

 

金属音が地下大聖堂を埋め尽くした。

 

「戦闘が始まった。」

 

ブラッドレイは、心底嫌そうな顔のまま呟く。

 

「諸君。」

 

“究極の眼”が、アンデルセンを見据える。

 

「さっきの二十七祖よりも、化け物だからな?」

 

空気が凍る。

 

ケイネスが即座に反論した。

 

「馬鹿を言え!

二十七祖だぞ!?」

 

ブラッドレイは真顔だった。

 

「生物としての格なら、二十七祖の方が上だ。」

 

「だが、強さと厄介さなら、あの神父の方が上だ。」

 

次の瞬間。

 

アンデルセンが“消えた”。

 

床が爆散。

 

石畳が砕ける。

 

そして。

 

ブラッドレイの真横へ、既に踏み込んでいた。

 

『遅いッ!!!』

 

銃剣が振り下ろされる。

 

だが。

 

ブラッドレイは紙一重で回避。

 

斬撃。

 

反撃。

 

神速の居合が、アンデルセンの胴を斬り裂く。

 

鮮血。

 

内臓。

 

普通なら即死。

 

だが。

 

『ゲハハハハハ!!!』

 

笑っていた。

 

裂けた肉が。

 

砕けた骨が。

 

蠢くように再生していく。

 

ウェイバーの顔が青ざめる。

 

「い、意味が分からない……!」

 

『Amen!!』

 

アンデルセンは、自らの血を撒き散らしながら嗤う。

 

『ヌルい!!』

 

『その程度か?』

 

『異教徒に化け物共!!』

 

 

ギルガメッシュが、不愉快そうに眉を顰めた。

 

「狂犬め。」

 

王の財宝が開く。

 

宝具の雨。

 

だが。

 

アンデルセンは避けない。

 

『Amen。』

 

黄金の剣群へ、真正面から突っ込む。

 

肉が裂ける。

 

腕が吹き飛ぶ。

 

それでも止まらない。

 

『我らは神の代理人――!!』

 

再生。

 

突撃。

 

投擲。

 

銃剣が雨のように降り注ぐ。

 

イスカンダルが、豪快に笑った。

 

「ハッ!!

これはまた、とんでもない神父殿だ!!」

 

ディルムッドが槍を構える。

 

ハサン達は、既に包囲へ動いていた。

 

そして。

 

マルグリット・ラ・ヴェルデュールが、愉快そうに笑う。

 

「だから言ったでしょ?」

 

銀髪の処刑人は、“断頭兵装”を引き摺りながら前へ出る。

 

「アイツ、“人間のくせに”、本当に化け物なのよ。」

地下大聖堂を、金属音と聖句が埋め尽くす。

 

銃剣。

 

宝具。

 

聖別弾。

 

火花と鮮血が乱舞する中。

 

キング・ブラッドレイは、アンデルセンの猛攻を捌き続けていた。

 

斬る。

 

避ける。

 

断つ。

 

だが。

 

止まらない。

 

胴を裂いても。

 

首を断っても。

 

アンデルセン神父 は笑っていた。

 

『Amen!!』

 

『どうしたブラッドレイ!!』

 

『その程度かァァァ!!』

 

銃剣の嵐。

 

聖別された刃が、豪雨のように降り注ぐ。

 

ブラッドレイは、半ば本気で疲れた顔をしていた。

 

「誰か、変わってくれ。」

 

即答だった。

 

ウェイバーが叫ぶ。

 

「無理に決まってるだろ!?」

 

ケイネスも珍しく顔を引き攣らせる。

 

「あれを相手に前衛交代しろと!?」

 

ブラッドレイは、本気で言っていた。

 

「私はもう帰りたい。」

 

「死徒二十七祖の方が楽だ。」

 

その瞬間。

 

アンデルセンの目が、ギラリと輝く。

 

『ほう!!』

 

『逃げるかブラッドレイ!!』

 

『貴様らは、ここで全て根絶やしにする!!』

 

『神の敵として相応しく、首を刎ねてやろうではないかァァァ!!!』

 

「だから嫌なんだ、私はこの男が。」

 

ブラッドレイがうんざりした顔で言う。

 

次の瞬間。

 

アンデルセンが床を蹴り砕いた。

 

直線。

 

暴力的速度。

 

まるで砲弾。

 

だが――

 

「アララライ!!」

 

割って入ったのは、ライダー。

 

イスカンダル が豪快に笑いながら、剣を叩きつける。

 

轟音。

 

アンデルセンが、初めて足を止めた。

 

『ほう。』

 

『元サーヴァントか?。』

 

『勇気は認めてやろう。』

 

イスカンダルは豪快に笑う。

 

「ハハハ!!

気に入ったぞ神父!!」

 

「だが余の戦友を、好き勝手狩らせる訳にもいかんのでな!!」

 

『戦友。』

 

アンデルセンが、その言葉を反芻する。

 

そして。

 

狂気じみた笑みを浮かべた。

 

『くだらん。』

 

『貴様らは、死徒となんら変わらん。』

 

『化け物共が、馴れ合いを覚えたか。』

 

『ならばまとめて葬るのみ――!!』

 

『Amen!!!』

 

爆発的殺気。

 

地下大聖堂の空気が軋む。

 

その横で。

 

マルグリット・ラ・ヴェルデュールが、くすくす笑った。

 

「ブラッドレイ、良かったじゃない。」

 

「交代してくれたわよ?」

 

ブラッドレイは、真顔で答えた。

 

「いや。」

 

「余計悪化した気がする。」

キング・ブラッドレイは、深々と溜息を吐いた。

 

「はぁ……」

 

その声には。

 

疲労。

 

諦め。

 

そして、“また始まった”という色が滲んでいた。

 

轟音の中。

 

イスカンダル と アンデルセン神父が正面から激突する。

 

王の剣。

 

祝福銃剣。

 

火花が暴風のように吹き荒れる。

 

だが。

 

アンデルセンは笑っていた。

 

『ゲハハハハ!!』

 

イスカンダルが豪快に笑い返す。

 

「ハハハ!!

貴様、本当に神父か!?」

 

『神父だ!!』

 

『そして、神罰の代行者だ!!』

 

『Amen!!!』

 

銃剣が、嵐のように放たれる。

 

その光景を見ながら。

 

ブラッドレイは、壁際まで下がっていた。

 

「……誰だ。」

 

「こんな怪物を“人間カテゴリ”へ入れた者は。」

 

ウェイバーが、半泣きで叫ぶ。

 

「いやあんたも十分怪物だからね!?」

 

ケイネスは水銀で防御を維持しながら呻く。

 

「というか何故だ!

何故“神父”があんな動きをする!?」

 

マルグリット・ラ・ヴェルデュールが、楽しそうに笑う。

 

「だってアンデルセンだもの。」

 

「理屈で考える方が間違いよ。」

 

その瞬間。

 

イスカンダルの肩へ、銃剣が突き刺さる。

 

だが征服王は怯まない。

 

逆に腕を掴み。

 

笑いながらアンデルセンを投げ飛ばした。

 

轟音。

 

壁が崩れる。

 

しかし。

 

瓦礫の中から。

 

狂気の神父は、何事もなかったように立ち上がる。

 

裂けた肉が再生し。

 

骨が鳴り。

 

笑顔だけが、更に深くなる。

 

『ククク……』

 

『ハハ。』

 

『実にいい。』

 

『雑魚ばかりで退屈していたところだ。』

 

その瞬間。

 

ブラッドレイの“究極の眼”が、僅かに細まる。

 

「……来るぞ。」

 

 

「下がれ!イスカンダル!」

 

 

直後。

 

アンデルセンが。

 

“纏う空気が変わった。

 

両手いっぱいの銃剣を構える。

 

そして。

 

狂気じみた笑みで宣言した。

 

 

『エェェェェイメェェェン!!!』

 

次の瞬間。

 

アンデルセン神父から、複数の祝福銃剣の閃光が走った。

 

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