【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀 作:黴男
さて、あの作戦の指揮を俺が執らなかった理由を教えよう。
それは、王国軍のジャンプドライブ奇襲を防いでいたためである。
奴ら、恐らく流歌から得たらしいジャンプ技術を持っている。
まあ、ジャンプ妨害装置があれば事前に防げたんだが...
そのまま放置するのも厄介である。
それ故に...
直接、相手のステージングを叩く。
「既に配備は終わった、後は偵察だけだが...」
『シンさま、敵の総戦力は不明です! ただし、ラステイク内部に超大型構造物を目視、その中にいるかも...です!』
「よし、分かった」
追撃を防ぐため、こちらはジャンプディスラプターを起動したままの攻撃となる。
即ち、相手を全滅させるまでは決して退けない戦いである。
「ラムブレードはゼータスカウターのポータルで帰還せよ。紅蓮-雷華艦隊、出撃準備! 陽動部隊も配置に付け!」
まずは敵を引きつける。
向こうさんにはアドアステラが居ないはずだ、主力艦5隻と護衛艦隊それぞれ150隻をジャンプさせれば、慎重さの欠ける敵は次々に出撃してくるだろう。
そこを母艦だけが使える投射型範囲型ワープ妨害装置で足を止め、爆撃艦隊で挟撃する。
今回はプロメテウス級城塞級戦艦も出しているので、紅蓮-雷華の補給も容易だ。
今回の戦力内訳だが、
◇爆撃艦隊
紅蓮-雷華×50
◇陽動艦隊
プロメテウス級城塞級戦艦
アルファ・コール級艦載機母艦
ツオヴィナル級襲撃型旗艦級戦艦
ヘル級軍事力補強旗艦
ロキ級襲撃型旗艦級戦艦
◇護衛艦隊
ミアプラキドゥス級長射程駆逐艦x30
インテグリティ級吶喊型フリゲートx30
ギャラハッド級装甲巡洋艦x20
ヴァーテックス級攻城型戦艦x30
ブラックガード級妨害型コルベットx20
クロケル級艦隊支援戦艦x10
コンチェルト級支援型巡洋艦x1
となる。
これらを主力艦に付随させ、攻撃と防衛を行う。
いつも思うが、ゲームだったらまず見られない光景だ。
技術レベル4以上の艦船は、大決戦でもなければ出てこないからな。
そもそも、戦略も共有ないし広く知られてしまっている以上、爆撃艦隊もどこまで通じるかといった具合だ。
我が妹はSSCをプレイしていないので、少なくとも俺が使う戦法については知らないのだろう。
加えて、あいつは口が上手い方では無い。
王国の上層部から信頼を得ているだろうと予想はつくが、末端にまでそれを信じさせる才能はおそらく無い。
自分でなんとかできる分野での才能では、俺は天地がひっくり返ってもあいつには勝てないから、釣り合ってはいるんだがな。
「アルファスカウター、ピンガーアップ! オールフリート、ポータル、ポータル!」
指示を飛ばして、ラステイクの星系内に艦隊を移動させる。
今回の現場指揮官はディーヴァだ。
何やら、艦隊戦で活躍する気があるらしいので投入した。
シュッツェ・フリューゲルスの面目躍如を見物と行くか。
『全艦隊、移動完了』
「爆撃艦隊はセーフスポットに移動開始。それ以外は全て、ポイントd-12に向けてワープせよ」
d-12とは、要するに巨大構造物から300km離れた場所だ。
主力艦は巨大なため、視認の難しい宇宙空間でもはっきりと見えるはずだ。
さあ、出してこい...艦隊を。
「主力艦隊はワープアウト後攻撃を行い、反応があればポイントC-33に移動開始、敵を引きつける」
『了解』
蜂の巣を突くようなものだ。
主力艦は攻撃を始めるが、こちらの護衛艦隊は撃たない。
キャパシタが勿体無いしな。
「...仕掛けてこないな」
『周辺星系に動きはありませんが、ジャンプドライブによる奇襲の可能性が...』
「無いだろ、アルファ・コールに旗艦級専用のボンファイア・ジャンプディスラプターを搭載してるからな」
『...そうでしたね』
使い捨ての『
それがアルファ・コールの中で輝いている限り、救援は送り込めない。
あるいは、救援を期待しているのか?
『王国側の通信を傍受...やはりジャンプにより艦隊を送り込む予定だったようです』
「やはりか、そのまま割り込んで伝えてやれ」
『はい』
ジャンプができないとなると、いよいよ彼等には仕掛けるしか選択肢がなくなるだろう。
俺たちのように貨幣経済のない国家システムでは無いから、この構造物を再建するだけでかなりの痛手だろうからな。
『通信が遮蔽されました、恐らく情報を遮断したものと思われます』
「出てくるな、主力艦ワープ準備!」
『了解』
だが、仕掛けてこない。
中型艦船が数隻出てきただけで、全体の数には全く合っていない。
仕方ないな...
「計画に変更なし、全艦ワープ開始!」
俺は一旦主力艦を下がらせる。
計画の歪みを正そうとして歪みを拡大させれば、それは計画という一つの直線全体への歪みに繋がる。
ならば計画は歪ませず、その先を修正するだけだ。
「爆撃艦隊は遮蔽したまま待機。アルファ・コールはワープアウト後すぐ偵察機を出せ」
『了解、索敵対象は?』
「深宇宙に潜んでいるだろう敵だ」
『分かりました』
敵の動きがおかしい。
まるでどこかに味方がいるかのような動きだ。
隣接星系には何もおらず、救援が来ないことは確定しているはずなのに戦力を小出しにする理由がない。
この状況において最適解は、こちらにある程度の損害を与えて撤退させることにあるはずだ。
...いや、そうか。
「分かったぞ」
『...はい?』
「俺たちはこの戦いに負けても失うものが少ないが、敵は負けたら自分の命が無くなるんだったな」
それは物理的にも、生き残った後の軍事法廷の末でもある。
俺は安全な場所から指揮を取るだけかつ、ゲーム脳で考えていたから分からなかったが...
そうだよな、死は怖いよな。
「作戦を変更する、ストラクチャでの近距離戦闘に切り替え! 構造物の完全破壊と敵艦隊の全滅を目指し行動開始せよ!」
俺は声を張り上げ、オーロラに指示を飛ばすのであった。