【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀   作:黴男

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020-忍び寄る脅威

やばいな、緊張してきた。

全く未知の言語を介して、使者と直接対談。

緊張しない要素がない。

 

「......あ、あの」

「...どうした?」

「お腹が...空いちゃって...」

 

ハァ。

こっちの緊張が全て無意味かと思わせる。

仕方ないので、胸ポケットからビスケットを取り出して、栗毛の獣娘...多分ネムの方に歩いて直接手渡した。

 

「こ...これは...?」

「その切れ目に沿って開けてみろ、飯だ」

 

ちなみに俺がビスケットを携帯している理由は、昼飯を色々な場所で摂るからだ。

流石に格納庫で優雅な食事を...なんてわけにもいかないからな。

 

「あ、ありがとうございますっ!」

「妹がすみません!」

「いや、食べ盛りだろう...お腹が空くことは恥じることではない」

 

飽食は罪だが、空腹に罪はない。

俺はむしろ、硬い雰囲気をぶち壊したネムをMVP扱いしたいくらいだ。

 

「その.....御心に.......」

「顔を上げて欲しい、俺たちは対等だろう」

「対.......等....?」

 

ルルが顔を上げた。

綺麗な瞳だ。

 

「...綺麗な瞳だな」

 

アメジストみたいな、紫の眼だ。

 

「きっ!?」

「ああ済まない、言葉に出していたか」

 

それも、現地語だ。

最悪の失態だ、失言として批判されなければいいんだが。

 

「そ......その......」

「何だ二人して、入りなさい」

 

俺は居た堪れなくなって、二人を戦闘指揮所に案内した。

二人は手をつないで、戦闘指揮所に入る。

 

「ここが玉座の間ですかっ!?」

「いや、違う」

 

やはりネムの方は信じてくれないか。

幼い子ほど、偉大な存在に憧れる。

違うと言っても別の解釈に置き換わるだけだ。

 

「今日は、こちら側の統治体制の説明をするために呼んだ」

「.....はい」

 

ネムは頭の上に「?」が浮かんだ様子だったが、ルルはそれにきちんと頷いてくれた。

俺は二人を適当な椅子に座らせ(背が高い椅子なので、俺が直接抱き上げる事になったが)、本来の話を進める。

 

「まず、そちらの統治機構に干渉するつもりはない」

「ええと.....私たちを、守ってくださるのでは....?」

「それは、あくまで安保条約だ。そちらが勝手に侵攻したりした場合には手助けはしないが、国土の防衛には協力する」

 

流石にそこまで干渉は出来ない。

別にやってもいいが、まだその時期じゃない。

工場の範囲を拡大する時に、また改めて相談という形になる。

 

「食糧支援は続けるので、採掘や採取業務は引き続き頼む」

「....お伝えします」

 

獣人の国は現在、大幅な領土の縮小と、働き手の減少により食糧難に陥っていた。

食糧支援を止めれば、他国に攻め入るほかなくなってしまうだろう。

幸いにも、排除した敵兵のバイオマスで、こちら側には食糧の心配がない。

長期的な食糧の支援は可能だ。

 

「.........おっと、そろそろ時間か」

 

それから数時間、俺たちは政治の話を交えて対談した。

だが、楽しくなってきたとき。

目の端に、オーロラからの通知が見えた。

 

「帰還用のドロップシップの準備ができた――――別れはつらいが、もしまた何かあれば、いつでもこれで連絡しろ。動かなくなったら、現地の建物に持っていけば使えるようになる」

 

俺は二人に端末を渡す。

電池は120日ほど持つが、切れれば地上にあるNoa-Tunの地上基地に持っていけば充電できるように手はずを整えておこう。

 

「.....もう、会えないんですか?」

「...ああ」

 

彼女らを危険な目に遭わせるわけにはいかない。

ここは、戦闘要塞なのだから。

 

「だがいつか、俺も地上に赴くだろう。その際には――――お前たちにも会いに行こう」

「「ありがとうございました!」」

 

二人は礼をして、去って行った。

それから数分して、Noa-Tunの下部のドロップシップのパージ通知が、俺の目に映った。

 

「........俺も頑張らないと、な」

 

俺は目を閉じ、席に座った。

まだまだ、やる事はたくさんある。

永遠の安寧のために、この世界で生きていくために。

俺はあらゆる努力をしなくてはいけない。

 

『艦隊総司令!』

 

その時、指揮所に警報が鳴り響き、無数のモニターが展開される。

 

「なんだ?」

『現在展開中のC-22採掘艦隊が、攻撃を受けています』

「.....何だと?」

 

どうやら、まだまだ俺の安寧は訪れないようだ。

 

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