【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀 作:黴男
プライアリート星系に入ったアドアステラは、執拗な包囲を躱しつつ高速で惑星へと降下していた。
『状況は?』
『ギャラハッドを旗艦とするドラゴンスレイヤー艦隊が追撃中です』
アドアステラが降下しているプライアリートⅡは、分厚い氷が複雑な断層を形成する構造の惑星である。
アドアステラを追うのは、装甲型巡洋艦を旗艦としたドラゴンスレイヤー級駆逐艦の艦隊である。
実体弾は大気中で屈折しないため、アドアステラ追撃に任命されたのだ。
『ポイントDに追い込みます、最終兵器『ジャッジメント』エネルギー充填開始』
あくまでも、地上でアドアステラを追うのは猟犬に過ぎない。
本命は、軌道上に展開する主力艦「プロビデンス」。
最終兵器を展開し、エネルギーを充填。
追い込んだ地点にそれを撃ち込み、アドアステラを吹き飛ばす算段であった。
『ポイントDを外れた....!?』
『――――敵に未来予知が出来るやつが居るな、コバルト、グノーシスを出せ』
『了解!』
軌道上にワープアウトする大きな艦影。
それは、超大型ミサイルの発射装置を文字通り”満載”した超大型輸送艦であった。
『ランダム地点に大型A.O.I投下します』
フジツボのようにグノーシス級超大型戦闘輸送艦を覆っていた大型A.O.Iが剥がれ落ち、推進剤を吐き出させながら惑星へと落ちていく。
大型A.O.Iは、地面へと突き刺さると同時に炸裂し、半径120kmの範囲を消滅させる。
アドアステラは上下左右の見事な軌道でそれを回避し、しかしながらコバルト達が構築した「網」の中へと追い込まれていく。
『イレギュラーを減らせ、キネスを使わせろ』
『了解です! A.O.Iで囲みます!』
範囲内全てのものを消滅させるA.O.I。
それで包囲し、キネス防御を恣意的に発動させるつもりなのだ。
『A.O.I起動、アドアステラ...上方向に離脱!』
『キネス防御は未使用の模様』
『A.O.I発射中断! ジャッジメントを使用しろ』
シンの命令で、軌道上に居たプロビデンスが巨大なレーザーを放つ。
だが、レーザーを撃たれた瞬間、アドアステラはほぼ垂直に上昇、転進して大気圏を突破する。
外れたレーザーは地上を叩き、一気に星の内核まで貫通する。
『アドアステラ、ワープベクトルを確立中』
『ワープ先を特定します、ゼノシス発進』
現地に存在するストラクチャーである「ハウザー」から、ワープ妨害型戦艦「ゼノシス」が数隻発艦する。
二対のリングが左右舷に接合されており、それがワープ妨害の制御を担っているのだ。
『キネスキャンセラーは開発中ですので、不意打ちで仕留めてください』
『了解です』
ゼノシスは一斉にワープを開始し、アドアステラのワープ軸線上に展開すると同時にインターディクションフィールドを展開し、機雷をばら撒きながら離れる。
アドアステラ側はゼノシスを狙うが、速すぎて当てられない。
『アドアステラを捕捉』
アドアステラがフィールド内に捕まり、接触した機雷が爆発する。
爆発は大したことがないものの、放たれた重力波がアドアステラのレーダーを一瞬阻害した。
近距離に出現したグレンライカ艦隊が、何の躊躇もなくボムを直接撃ち込む。
近距離でボムを撃てば、無差別の爆発でただでは済まない。
爆風に巻き込まれつつ、グレンライカ艦隊は半数を失って離脱する。
流石にこれは回避できなかったのか、爆風の中からボロボロになったアドアステラが離脱していくのが捕捉された。
『メルディクション艦隊、遮蔽解除! 攻撃開始!』
メルディクション級戦闘偵察型巡洋艦。
それらが遮蔽を解いて現れ、二連装砲六門の熾烈な砲撃を左右からアドアステラに浴びせ掛ける。
装甲だけで耐えるほかないアドアステラは、どんどんと被弾していく。
アドアステラが一瞬光を放つものの、メルディクション艦隊は止まらない。
コーティングが、キネスによる攻撃を一瞬防いだ為である。
『このまま囲めば...』
『アドアステラ、ワープブースターの使用を確認。インターディクションフィールドを振り切られます!』
『くっ...! なんて堅牢な!』
ここを抜かれれば、ビルジースプライムまでジャンプゲートを使わなくとも一直線である。
それだけは避けたいと、コバルトは焦る。
だが、アドアステラのワープ速度が先程より早く、ゼノシスでは回り込めない。
『コバルト、ビルジースプライムには指揮官が居ます。ここを突破されたのは残念ですが...』
『はい、お任せします』
どちらにせよ、ジャンプゲートは既に破壊されている。
ゲートも無しにアドアステラが移動するためには、ワープを繰り返すほかなく、二日という時間を要する。
『次こそは...』
『ええ』
コバルトはホログラムの唇を噛み締めた。
アドアステラを止められなければ、その船は主の喉元にナイフを突き立てる。
そんな確かな確信を抱きながら。