【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀   作:黴男

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228-圧倒する力

『――――ヘルヘイム、スターゲート起動確認。アドアステラが入ってきます』

「分かった、聞いたな! 全指揮官はこれより独立指揮権を持って行動せよ! 全戦闘員は直ちに戦闘配備!」

 

数日後。

ついにアドアステラは、俺たちの張った罠を全て潜り抜け、ユグドラシル星系へと入ってきた。

既にゲートの周囲には数百万個のインターディクションフィールド発生装置が係留されており、四十余隻の艦載機母艦と数百規模のミサイル戦艦艦隊が、ゲートを綺麗に包囲する形で待機している。

 

『ゲート直近にアドアステラの艦影を観測』

「全艦戦闘準備、目標アドアステラ....雷撃艦、その後砲艦の順で攻撃開始!」

 

ミサイル戦艦(ラトルスネイク)は展開していたP.O.Dドローンをアドアステラへと向かわせ、それと同時に積んでいる特殊ミサイルをアドアステラへ向けて連射する。

だが、まあ迎撃されるだろうな。

焼け石に水だ。

 

『ラトルスネイク艦隊、十七隻ロスト』

「本気だな....」

 

僚艦が邪魔で動けない上に、今までのようにシールドで防ぐ事も出来ない。

戦艦がポンポン沈んでいく。

だが必要経費だ。

 

『艦載機編隊、射程距離内にコンタクト』

「エンゲージ、仕掛けろ!」

『全艦、エクセキュート編隊を展開完了』

 

出撃した重爆撃艦隊は、搭載したA.O.I融合型インフェルノボムを一斉に射出する。

A.O.Iで装甲を焼き払い、内部に核の炎を浸透させるのだ。

だが勿論、アドアステラも対空装備を持っている。

パルスレーザーの弾幕で、ボムのうち大半が失われている。

艦載機も、撃墜通知が山のように出て来た。

中には、獣人たちが乗っていたはずだ。

 

『艦載機帰投、未帰還機121』

「構うな、再出撃!」

『了解!』

 

ラトルスネイクはA.O.I搭載型ミサイルを満載している。

A.O.Iは臨界状態にならなければ爆発しないため、誘爆が起きにくい編成だ。

俺は声を張り上げ、指示を飛ばす。

ヘルヘイムのゲートから一番近いのはドルドリークだからな。

 

「敵は最初にドルドリオン宇宙要塞を狙ってくるはずだ、Noa-Tun防衛圏外の全艦隊はドルドリーク付近に展開させろ!」

『了解です!』

 

アインスの声とともに、Noa-Tunの保護フィールド外にいた艦隊が回頭し、一斉にワープアウトしていく。

恐らく最終的には白兵戦になるだろうと予想したため、ツヴァイ、ドライ、フィーア、ノルンはNoa-Tunに残している。

 

『ドルドリーク改造型超巨大要塞「ドルドリオン」軌道上で交戦が開始されました』

「よし、動け。フュンフ、ゼクス!」

『了解!』

『りょうかい!』

 

サタリエルとホドが行動開始する。

量産型ヨグ=ソトスを率いて、アドアステラに対して亜空間からA.O.Iを撃ち込む。

ホドはキネス装甲のアドアステラに対して有効打を持たないが、「目」としては役に立つ。

それに、改良を重ねたカイロスデバイスを移植してあるので、まあ、ツヴォルフよりは役に立つだろう。

 

「.......待て、オーロラ!」

 

その時。

俺はある事に気が付いた。

ヨトゥンヘイム側のゲートが起動している。

この作戦時の移動は厳禁としている、つまりは――――

 

『ヨトゥンヘイム側からのゲートアクセスを確認。これは......!?』

「チッ、伏兵か」

 

恐らく王国の戦力ではない。

流歌の事だ、王国防衛戦ではなく、ここで使うために温存していたに違いない。

その総数は二万。

相手にはならないだろうが、無視するのも面倒だ。

 

「雑魚が寄って集ってウジャウジャと....ってやつだな」

『どうするのじゃ?』

「お前に.....いや」

 

ディーヴァに指示を出そうとして、俺は口を閉じる。

この程度の雑魚に指揮官を出すのは避けたい。

どうせ暇だ、俺が自分で露を払う。

それに――――何だ。

妹の晴れ舞台を穢すやつらは、要らない。

 

「仕方ないな....オーロラ、ケテルを出せ」

『司令官御自らが出撃されるのですか?』

「いいや、オーロラの制御でいいだろ?」

『了解しました』

 

まずは邪魔者の掃除と行くか。

俺は黙って、戦況を見守るのであった。

 

 

 

 

 

Noa-Tunの秘匿ドック。

そこから飛び出したのがケテルである。

指揮官用機体として設計された『セフィラー&クリファー』シリーズの中でも大型の機体であり、且つ人型である。

自力でワープ・ジャンプが可能であり、六つのアイカメラによる広い視野と、長時間の行動が可能なパワーコアを搭載し、重力推進で航跡を残さず移動する。

完成された、究極の決戦兵器であった。

 

『敵艦隊を確認』

 

艦隊はゲート前で整列しており、格好の的である。

当然、直ぐに砲撃がケテルへと到達するが、

 

『ケテル、シールド残量98%』

 

砲撃はシールドに防がれる。

勿論、防御特化型ではないため、シールドはすぐに飽和されるだろう。

――――それまで、敵が残っていればの話だが。

 

『薙ぎ払え』

『了解』

 

ケテルの両手の機構が起動し、まずはケテルは左手を構える。

左手の掌の機構が変形し、白い波動のようなものが一直線に突き抜けた。

直後、ケテルに向かってきていたレーザーが全て消失する。

それと同時に、敵艦隊は全て、動力を失って沈黙した。

オーロラはケテルを操り、無慈悲に右手を向けた。

同じように掌が変形し、

 

『照射』

 

宇宙空間を、光ではない真っ白な何かが通り抜ける。

ゲート前を占領した艦隊は、たった一撃で完全に消滅した。

後に残った残骸は爆発せず、ただ冷たい残骸となってそこへと残った。

 

『行動終了』

『分かった、帰還しろ』

『了解です』

 

まるで敵などいなかったかのように、ケテルは帰投するのであった。

 

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