【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀 作:黴男
『――――ヘルヘイム、スターゲート起動確認。アドアステラが入ってきます』
「分かった、聞いたな! 全指揮官はこれより独立指揮権を持って行動せよ! 全戦闘員は直ちに戦闘配備!」
数日後。
ついにアドアステラは、俺たちの張った罠を全て潜り抜け、ユグドラシル星系へと入ってきた。
既にゲートの周囲には数百万個のインターディクションフィールド発生装置が係留されており、四十余隻の艦載機母艦と数百規模のミサイル戦艦艦隊が、ゲートを綺麗に包囲する形で待機している。
『ゲート直近にアドアステラの艦影を観測』
「全艦戦闘準備、目標アドアステラ....雷撃艦、その後砲艦の順で攻撃開始!」
だが、まあ迎撃されるだろうな。
焼け石に水だ。
『ラトルスネイク艦隊、十七隻ロスト』
「本気だな....」
僚艦が邪魔で動けない上に、今までのようにシールドで防ぐ事も出来ない。
戦艦がポンポン沈んでいく。
だが必要経費だ。
『艦載機編隊、射程距離内にコンタクト』
「エンゲージ、仕掛けろ!」
『全艦、エクセキュート編隊を展開完了』
出撃した重爆撃艦隊は、搭載したA.O.I融合型インフェルノボムを一斉に射出する。
A.O.Iで装甲を焼き払い、内部に核の炎を浸透させるのだ。
だが勿論、アドアステラも対空装備を持っている。
パルスレーザーの弾幕で、ボムのうち大半が失われている。
艦載機も、撃墜通知が山のように出て来た。
中には、獣人たちが乗っていたはずだ。
『艦載機帰投、未帰還機121』
「構うな、再出撃!」
『了解!』
ラトルスネイクはA.O.I搭載型ミサイルを満載している。
A.O.Iは臨界状態にならなければ爆発しないため、誘爆が起きにくい編成だ。
俺は声を張り上げ、指示を飛ばす。
ヘルヘイムのゲートから一番近いのはドルドリークだからな。
「敵は最初にドルドリオン宇宙要塞を狙ってくるはずだ、Noa-Tun防衛圏外の全艦隊はドルドリーク付近に展開させろ!」
『了解です!』
アインスの声とともに、Noa-Tunの保護フィールド外にいた艦隊が回頭し、一斉にワープアウトしていく。
恐らく最終的には白兵戦になるだろうと予想したため、ツヴァイ、ドライ、フィーア、ノルンはNoa-Tunに残している。
『ドルドリーク改造型超巨大要塞「ドルドリオン」軌道上で交戦が開始されました』
「よし、動け。フュンフ、ゼクス!」
『了解!』
『りょうかい!』
サタリエルとホドが行動開始する。
量産型ヨグ=ソトスを率いて、アドアステラに対して亜空間からA.O.Iを撃ち込む。
ホドはキネス装甲のアドアステラに対して有効打を持たないが、「目」としては役に立つ。
それに、改良を重ねたカイロスデバイスを移植してあるので、まあ、ツヴォルフよりは役に立つだろう。
「.......待て、オーロラ!」
その時。
俺はある事に気が付いた。
ヨトゥンヘイム側のゲートが起動している。
この作戦時の移動は厳禁としている、つまりは――――
『ヨトゥンヘイム側からのゲートアクセスを確認。これは......!?』
「チッ、伏兵か」
恐らく王国の戦力ではない。
流歌の事だ、王国防衛戦ではなく、ここで使うために温存していたに違いない。
その総数は二万。
相手にはならないだろうが、無視するのも面倒だ。
「雑魚が寄って集ってウジャウジャと....ってやつだな」
『どうするのじゃ?』
「お前に.....いや」
ディーヴァに指示を出そうとして、俺は口を閉じる。
この程度の雑魚に指揮官を出すのは避けたい。
どうせ暇だ、俺が自分で露を払う。
それに――――何だ。
妹の晴れ舞台を穢すやつらは、要らない。
「仕方ないな....オーロラ、ケテルを出せ」
『司令官御自らが出撃されるのですか?』
「いいや、オーロラの制御でいいだろ?」
『了解しました』
まずは邪魔者の掃除と行くか。
俺は黙って、戦況を見守るのであった。
Noa-Tunの秘匿ドック。
そこから飛び出したのがケテルである。
指揮官用機体として設計された『セフィラー&クリファー』シリーズの中でも大型の機体であり、且つ人型である。
自力でワープ・ジャンプが可能であり、六つのアイカメラによる広い視野と、長時間の行動が可能なパワーコアを搭載し、重力推進で航跡を残さず移動する。
完成された、究極の決戦兵器であった。
『敵艦隊を確認』
艦隊はゲート前で整列しており、格好の的である。
当然、直ぐに砲撃がケテルへと到達するが、
『ケテル、シールド残量98%』
砲撃はシールドに防がれる。
勿論、防御特化型ではないため、シールドはすぐに飽和されるだろう。
――――それまで、敵が残っていればの話だが。
『薙ぎ払え』
『了解』
ケテルの両手の機構が起動し、まずはケテルは左手を構える。
左手の掌の機構が変形し、白い波動のようなものが一直線に突き抜けた。
直後、ケテルに向かってきていたレーザーが全て消失する。
それと同時に、敵艦隊は全て、動力を失って沈黙した。
オーロラはケテルを操り、無慈悲に右手を向けた。
同じように掌が変形し、
『照射』
宇宙空間を、光ではない真っ白な何かが通り抜ける。
ゲート前を占領した艦隊は、たった一撃で完全に消滅した。
後に残った残骸は爆発せず、ただ冷たい残骸となってそこへと残った。
『行動終了』
『分かった、帰還しろ』
『了解です』
まるで敵などいなかったかのように、ケテルは帰投するのであった。