【完結済み、最終話まで更新予定】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀   作:黴男

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041-"Dirty deeds done dirt cheap"

その日、皇国に激震が走った。

いつも通りに皇室放送が始まり、皆が画面に注目したその時。

 

『がッ.......ぐ......』

 

皇都中の画面と、大ホログラム投影機に映し出されたのは、悪魔のような笑みを浮かべたシンが、皇女マリアンヌの頭を靴で踏みつけている姿だった。

 

『ハーッハッハッハ!』

 

司令官シンの顔と名前は、皇都中の人間が知っていた。

敵国の将如きが、皇国を守護する神のような人物を踏み躙っている。

それは、皇国の人間にとって大きく心に残る出来事であった。

 

『皇国の人間に告げる。我がNoa-Tun連邦は、クロトザク皇国の代表者である皇女マリアンヌ・デルトレ・クロトザクの敗北宣言をもってクロトザク皇国の属国化を承認する!』

『や、やめろ.....がァッ!!』

 

マリアンヌは顔を上げようとしたが、より強く踏みつけられ床に顔を擦り付ける。

 

『諸君らはこれよりNoa-Tun連邦の奴隷となる! 国内の産業は全て我がNoa-Tun連邦への奉仕となる! 慈悲などない、戦争を支持した貴様たちの罪だ! ハーッハッハッハ!!』

 

皇国の民たちは憤った。

しかし、皇国騎士団を容易に葬った彼らに、自分たちでは勝てるわけがないのは重々承知であった。

ぶつけようのない怒りが爆発し、皇城に突入した市民たちは、マリアンヌの権威の象徴だったものを破壊して回った。

全ては自分たちを守れなかった情けない皇女を憎んで。

 

 

 

 

 

 

「滑稽だな、皇女」

「くッ.....殺せ.....!」

 

俺は皇女の頭をぐりぐり踏みつけながら、笑う。

正直ちょっと可哀想だが、まあオーロラの台本通り進めるか。

 

「さあ、国民と貴族共に命じるのだ、俺に従え、と」

「黙れ.....! 誰がお前などに....!」

「おおっと」

 

俺はこれ見よがしにポケットから、意味深なスイッチを出す。

そして、押した。

 

「貴様....それは....?」

 

不穏な気配を感じたのか、マリアンヌが呟く。

 

「お前が歯向かうから、第六都市の人間はみんな死んでしまったぞ?」

 

俺はボタンをチラつかせて、オーロラの台本通り歪んだ笑みを浮かべる。

ちなみに、セリフに嘘はない。

第六都市にボムを数十発落として吹き飛ばした。

こっちが欲しいのは資源だけなので、皇都の住民以外は基本どうでもいい。

交渉材料に使わせてもらう。

全ては、惑星下の生産設備は人間にしか使えないとかいう謎仕様のせいだが。

 

「な、何という事を....悪魔か、貴様!」

「悪魔? 俺の採掘艦隊を襲った後、謝罪もなかったのにか?」

 

皇都でどういう放送をしてたのかこっちは全部知ってるんだぞ。

Noa-Tunに傷をつけようとしやがって、実際に傷つけたしな。

 

「人が乗ってるんだぞ? それを資源欲しさに奇襲とはな」

 

実際に人が乗っていたら、これだけじゃ済まさなかった。

完全に粉々にして、一人たりとも逃さなかっただろう。

 

「黙れ...我々が本来得るはずだった資源を...!」

「おおっと手が滑った、第七都市が粉々だな」

「貴様ああああ!!」

 

皇女は俺を跳ね除けようとするが、普段からろくに運動してないのだろう。

俺には当然敵わない。

 

「我々Noa-Tun連邦は外宇宙も航行可能な技術を有している。しかし、クロトザクはワープすら借り物の技術の劣化コピーに過ぎない。そんな体たらくで、よくこの星系の支配権を主張できたものだな」

「何をわけのわからない事を...この世の全ては元々皇室のものだ...ぎゃっ!」

「負けた癖に何を偉そうに。皇室なんて大袈裟だな」

 

こいつらはしかも、俺の大っっっ嫌いな宗教詐欺をやっていやがった。

皇室の権威を神のものだとか言って、信じたくない人間を天罰とか言って粛清していた。

会話を拾う限り、昔はそうじゃなかったらしいから、こいつが元凶だろう。

 

「...」

「がはっ! ぐ...」

 

俺はマリアンヌの腹を蹴る。

踏みつけから解放されたマリアンヌは、艦橋の床を転がった。

 

「言え、どうして皇室に権威を集中するなんてアホな事をした?」

 

接敵した時点でやばいってわかっただろうに。

謝罪をしてくれればこっちも、不平等条約で穏便に済ませてやったところだ。

何万人も殺す必要はなかった。

 

「......父上は甘かった、下等な下民たちに笑顔を振り撒いて...奴らには苦しみと労働以外不要だというのに...我々神の一族であるがああっ!?」

 

もういい、もうたくさんだ、皇室を破壊する!

...というわけではないが、俺はマリアンヌをビンタする。

 

「神の一族? 思い上がりもいい加減にしろ。民と同じ赤い血が流れていて、敵国の将に囚われたお前が神? 笑わせるなよ」

「私にこんな事をして、許されるとでも思っているのか?」

 

ダメだ話通じない。

俺はマリアンヌの背後に回り込み、手刀を落として制圧する。

 

「オーロラ、マリアンヌの矯正を頼んだ。このままじゃ話もできない」

『わかりました...それから、死ななければ状態は問いませんか?』

 

なんだその質問。

 

「ああ...だが、何をする気だ?」

『以前より検討中だったインプラントの実験を...』

 

ああ、成程。

SSCでは主にパイロットの能力向上に使われていたインプラントだが、現実となった今では注入してもどんな副作用が出るかわからない。

そこで、マリアンヌを実験台にしてもいいか、という事だろう。

 

「壊すなよ」

『サーイェッサー』

 

作業ドローンが、マリアンヌを抱えて行った。

さて、少しはマシになるといいが。

 

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