マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
「 つい先程、喀什ハイブが陥落したとの報告があったわ。本来なら、全ての元凶であるオリジナルハイブが陥落したのは喜ばしい事だけど、それをしたのが未知の怪獣ともなれば素直に喜べないのが大半の反応よ」
「でしょうね。ここに来る前に画像を見させてもらいましたが、あの怪獣ならそれを平然とやってのけて当然でしょう」
「あれが、貴方が言う所の絶望という所かしら?」
「えぇ。あの怪獣は登場してから十数年で我々を作った文明を崩壊させましたよ。その文明ではあれをゴジラ・アースと命名しましたが」
「へぇ?」
東京に来た俺達が最初に向かったのは、香月 夕呼博士が在籍する帝国大学・応用量子物理研究室に設置されたオルタネイティブ4の仮設本部であり、様々な機器や書類が所狭しと並んでいるので本当に仮設本部だなと思いながら彼女と話し込んでいた。
その中で分かったのは、彼女は本物の天才だと言う事で博識なのに加えて頭の回転が早かったので、こちらとしても話について行くのがやっとな場面が多々あった。
「その文明ではどんなものを作っていたのかしら? 空飛ぶ車とか、チューブ状の空間内を走る列車とか?」
「えぇ、少なくとも当時は惑星間航行を可能とする一歩前ぐらいのレベルでした。その為の設備も充実していましたしね」
「そう、私達よりも少し先の文明レベルね。となれば、BETAがいなければ月や火星に貴方達の文明の形跡が残っていたかもしれないのね?」
「その可能性は高かったと思います」
彼女との会話で思い出すのは、当時の彼らの会話だった。
当時はまだ、メカゴジラとしての自我は存在しなかったのでメカゴジラに搭載された各種センサーで周囲を情報収集し続けるだけであり、現在のとは違う場所で建設されたメカゴジラシティが完成した際はシティの内外の観測に徹していた。
当時のメカゴジラにとってそれが世界だったし、世界もメカゴジラに求めていたのはゴジラ・アースの完全排除及び当時、暴れ回っていた怪獣の根絶だったので問題なかった。
しかし、今は違う。
ゴジラが健在で、BETAの侵攻に頭を悩ませ、人類同士も内ゲバに夢中で未曾有の危機が目の前にいるのに一丸となって対処できていないのだ。
しかも、ゴジラ側は複数の世界が混ざり合って複数体いる事が予想しているので、アースだけでも詰みなのにそれ以外にも居るとなれば絶望しかないのだが、今の俺にはどうすれば良いのかが分からないのでいざと言う時は彼女に任せるとしよう。
「一先ず、こちらで持っている情報の中で怪獣関連と対怪獣用兵器のデータを渡すつもりではありますが、他に必要なものはありますか?」
「良いの?」
「こちらで独占しても仕方のないものですので」
「それが貴方に牙を向くかもしれないのよ?」
「その時はその時です。目の前にある共通の脅威に対処せず、味方であろうとする我々に攻撃しようとするならそれなりの対処をするまでです」
「そう。なら良いわ」
とは言え、あくまで俺らは異星人由来の技術で作られた機械の怪獣である事には違いないので、こちらに攻撃してくる輩は程度の差はあれど反撃するがそれ以上の事はするつもりはないし、こちらが不利になる様な兵器を簡単に渡すつもりはない。
まずは、アニメ映画に登場したホバーバイクや前日譚で描写された38式機動戦闘服ジャガーJ、と言った俺達にとって脅威度が低い技術からにしようと思う。
ナノメタル?ないない。流石に、メカゴジラの根幹である技術は00ユニットの開発に繋がる可能性が高いことから最高機密レベルで情報漏洩はしないつもりだし、内部で走っているプログラムがビルサルドの言語体系で作られているので香月博士が専念しない限り、翻訳する手掛かりすら掴めないと思う。
その為、技術的な協力でホバーバイクと機動戦闘服の技術を渡す事を確約するタイミングで、香月博士との話し合いが終わったので今度は国会へ足を運んだ。
☆☆☆☆☆
「うぅむ、難しいか」
「現状において、我々を作った文明にて確認された時よりも遥かに大きくのている為、それに伴って強力な武器と防具を有していると考えています。観測された情報もまだまだ不足している為、今はまだ、情報収集に徹するべきかと」
「どれぐらいの時間が必要かね?」
「もう2〜3個のハイヴを破壊してもらう必要があります。あの怪獣が放つ光線、我々は熱の線と書いて熱線と呼んでいましたがその威力がどれ程のものなのかが不明な以上、正確な情報がなければ対策のしようがありません」
国会議事堂内部に幾つもある会議室の内、比較的小さい方に当たる会議室にて現政権の榊首相ら数人とオリジナルハイヴをも破壊した怪獣について話し込んでいた。
「分かった。こちらからも偵察機を出すが、そちらでも情報収集する為の物を出してもらいたい」
「えぇ。以前からBETA相手に戦っている中型シャトルを改造して、観測機に仕立て上げた物を出撃させるつもりで準備を済ませてあります。今から出発させますが、よろしいですね?」
「勿論だ。やってくれ」
香月博士との話し合いの時も思ったのだが、話の進み具合が妙に早い。
いやまぁ、BETAによる日本侵攻が直前にあったので21世紀の日本の様に法的根拠や責任の所在などでモタつく様な状況ではないし、下手に証拠を出せだのなんだのと騒がれずに済むから楽ではあるが、ここまで早く済むと逆に不安になる。
(これもゴジラ世界が混じった事による影響で、内ゲバ上等なマブラヴ世界の成分が薄まったからかねぇ。その方が楽で良いけど)
そんな事を考えながら、持っていた端末を操作して出撃許可の符号を送信すると、出撃した応答が返ってきたので端末を懐に戻して話を進めた。
「たった今、出撃させましたのであの怪獣が意図的に破壊しなければ彼の怪獣が放つ光線の出力が分かると思います」
「ハイヴのモニュメントを破壊する規模の出力だ。並大抵の出力ではない事は分かるのだが………」
「以前、我々が記録した範囲では体高50メートル時点で約14
「以前、と言うと2万年前の文明とか言うアレかね?」
「えぇ」
俺の言葉に、榊首相は低い声で唸った。
何しろ、軍事衛星と無人偵察機が捉えたゴジラ・アースの大きさが体高が350メートル以上と、アニメ映画よりも巨大になっているので今の俺でも手に負えないだろう。
そして異星人由来の技術を持っておらず、BETA相手に苦戦している今の文明の技術力では到底、太刀打ちできないのは火を見るよりかは明らかなので俺達との協調路線が重要なのだが、政府として承認するだろうかと言う疑問が残っている。
「しかし、話を聞く範囲の技術が事実でそれを持ってしても君らが敗北した以上、我々でも勝てるかどうかが気になるのだが?」
「正直に言ってしまえばかなり厳しいかと」
「………」
「ですが、だからと言って現時点で諦めて何も抵抗せずに滅ぼされるのは性に合わない物でしてね。1%でも良いから勝てる方法を模索しますよ」
すると、榊首相に近い立場の官僚が話を切り出したので下手に誤魔化すよりも正直に答えると、言葉に窮した様子なので諦めない姿勢を示すと榊首相はこう結論付けた。
「分かった。出来うる支援と協力体制をしようと思う。しかし、私には政治的な立場があるのでね。出来る範囲は限られている事は伝えておくよ?」
「勿論です。見返りとして我々が持つ技術の提供及び、あの怪獣に対する対処案の作成とそれに伴う兵器生産をさせて頂きます」
「では、その方法で取り決めを進めておく」
「よろしくお願いします」
その結論とは、メカゴジラとの協調路線+支援という内容だったので日本の総力全て、とはいかなくともある程度はこちらの主張が通る事を確認できたのでそれに応じてこちらも技術を提供するつもりだ。
そして、その取り決めの正式な文書は後日発行される事を確認すると今度は軍事施設へと足を運んだ。