マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
「じゃあ、私達の努力はなんだったの?」
彼女達の言葉を理解するのに、少しのラグが発生した。
その言葉の意味自体は、それまでの努力が無駄に感じる様な無力感を表している事はわかるのだが、それを理解するのをメカゴジラ本体の中枢AIが拒んだので答えに窮して十数秒の沈黙の時間が発生してしまった。
「っ、申し訳ありません。折角、来て頂いたのに」
「あー………いや。まさか、その言葉が出てくるのは想定外だったなぁと思ってしまいましてね」
「本当に申し訳ありません。後でよく言い聞かせますので 」
「その前に差し出がましいが一言、言わせてもらっても良いかな?」
「は、はぁ。どうぞ」
そんな俺を察したのか、彼女達の隊長である如月中尉が話し掛けてきたので再起動できたのだが、謝る彼女を制してこの場にいる女性衛士達に俺が感じた事を伝えた。
「なんだったの、ねぇ。君らの覚悟は“その程度”だったと言う事さ」
「………?」
「君らは新たな情報に触れ、圧倒的な技術さを知って無力感を感じ取ったのだろうが俺らからすれば いや、俺らを作った文明の人らからすればそんなの序の口さ」
「その文明を破壊したのはたった1体の怪獣であり、ソイツを倒す為だけに5年という歳月の中で数億人の人命をすり潰し、時にはバラゴン達と同種の怪獣と戦いながらユーラシア大陸の内陸へ誘引する、と言う愚行を重ねて出来たのが鳴海 亜弥達が操る兵器であり、その最終決戦で戦ったのが俺らの本体であるメカゴジラだ」
「だからその程度で打ちひしがれても困るんだよ」
「そして何より、今回の打ち合わせで出した情報だけで打ちひしがれる程度の覚悟しか持ち合わせていないのなら、今すぐ君らが座っている衛士と言う席を他の者へ譲り渡して欲しいぐらいだね」
「その方がより人類の為になるだろうさ」
打倒ゴジラの為に大量の血と涙を流し、霊峰を破壊し尽くしてまで作り上げた彼らの努力の結晶であるメカゴジラの一端を知っただけで呆然とし、錯乱気味になるぐらいなら居ない方がいい。
しかも、その程度の覚悟しか持ち合わせていない状態でこれからの作戦に参加するのは、色んな余裕を失ってまでゴジラを倒そうとしたアトランティス文明とそれに帰属していた人達に対する侮辱でしかない。
そして、彼らの侮辱は俺への侮辱にイコールで繋がっているのでキレた内心を隠すつもりで多弁となったが、最終的な結論はこの程度で揺らぐのならばバラゴン達とママごとでもしてろよと言う所に行き着く。
流石に、彼女達への侮辱が過ぎるのでそこまでは言わないが。
「まぁ、こんな所ですかねぇ。あぁ、それと今日はここいらで退散させてもらいますよ? これ以上、居たらこっちまで腑抜けになっちゃいますので」
「えぇ、ありがとうございます」
とは言え、口煩い老害みたいな事を言ってしまった自覚があるのでこれ以上、ここに居ても話が進展しないし、居心地が悪いから適当な理由を付けて退室する事を伝えると芹沢博士が答えてくれた為、ベンと共に退室した。
「よろしかったんですかな?」
「良くはねぇ。寧ろ、最悪の部類だが彼女達には良い刺激になっただろ。物分かりが良くて従順な怪獣だけじゃねぇってな」
車に乗って練馬基地を出てから数分後、ベンが聞いてきたので彼女達との会合で感じた事を率直にまとめて伝えたのだが、亜弥達やベンからの報告でバラゴン達との接触で一種の勘違いを起こしている可能性を危惧していた。
それは怪獣達は皆、優しくて穏当なんじゃないかと。
それが杞憂であれば、こちらとしても楽なのでジャブ感覚で自分達は彼らの祖先と敵対していた事を伝えると呆然とし、錯乱気味になったのでついカッとなって口煩くなってしまった。
だが、メカゴジラとして共同で戦う際に軽い気持ちで参加してほしくはないのは本音なので、キツい言い方になったがアニメの描写から必ず立ち直ってくれると信じたい。
(なぁ、そうだろう?
そんな事を思いつつ、青木ヶ原樹海で降ろしてもらう為、ベンに車を回してもらった。
芹沢博士 side
「帰らせてよろしかったんですか?」
「えぇ。寧ろ、彼らとしても一旦は頭を冷やす時間が必要でしょうから」
メカゴジラの端末である“ジョン・ドゥ”との会合後、如月中尉の部下である篁さん達に休息を取らせる為、お開きになったのだが如月中尉との話し合いは続いた。
「少なくとも、彼の懸念は前々から私にもありましたから」
「それはモナークが収集して分析し、保管していると言う民間伝承の類いからですか?」
「えぇ。確かに日本に居座るバラゴン達は大きすぎる飼い犬や飼い猫の様に我々に友好的です。ですが、決して彼らの様な怪獣だけではありません。寧ろ、自然界の生存競争の様に人類と争う怪獣の方が多いです」
「そうなのですか?」
「はい。なので、彼は言葉でそれを示したと言っても過言ではありません。擁護するつもりはありませんが」
話し合いの内容は彼が語った内容であり、やや失礼な言い方ではあるもののその内容には同意する部分が多い。
決して友好的な怪獣ばかりではない事、ユーラシア大陸で暴れ回っている怪獣は今の人類では敵わない事、そして文明が崩壊し、文字として記録に残す事が難しかった為にその殆どが散逸してしまった先史文明の事。
何より、彼が記録できた範囲とは言ってもその詳細が記録・保存している最後の生き証人だと言う事。
「とは言え、彼を作った異星文明の技術は我々の技術を遥かに凌駕しています」
「えぇ。中型シャトルとヴァルチャーとか言う兵器群だけを見ても分かります」
「ですので、我々も少しずつで良いから彼の技術を理解しないといけないと思っています」
「一衛士として、技術的な物は分かりかねますが運用面からお手伝いしようと思います」
「ありがとうございます」
その為、如月中尉とその結論に至ってから我々もそれぞれが行うべき事を決めて行動に移したのだった。