マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!   作:八雲ネム

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第16話 技術提供

   つまり、知らされたのは発射の後だったと」

『そうなりますね』

「色々と複雑な気分ですが、やらかした事は仕方ないと考えておきます。ただ、その後が問題かと」

『北極海を渡ってくる、と言う事ですね?』

「えぇ、そうです。BETAの攻撃を物ともしない存在が、海洋や水圧を克服できないとは考え難いですから」

『つまり、何かしら? このまま行けばアメリカは甚大な被害を受ける、と言いたい訳?』

「その可能性は高いかと個人的には思っています」

 

 芹沢博士及び香月博士との電話会談の結果、アメリカによるゴジラへのG弾発射はアメリカの一部過激派による独断専行だと判明したので、アニメ映画の前日譚である怪獣黙示録の様に終わったな、と思ってしまった。

 これが初代ゴジラなど、性能的に後年のゴジラと比べて生物の延長とも言えるゴジラであれば倒せなくもないだろうが、先読み能力があるゴジラ・アースなどのインフレが進んだゴジラの場合は厳しい、と言うのが俺と芹沢博士の意見だった。

 香月博士は、BETAよりも強い存在で人類の脅威と言う認識だったものの、それ以上の認識ではないので俺と芹沢博士の危機意識は過剰じゃないかと疑っている様子だった。

 

 言ってしまえば、香月博士としては人類に牙を向けても多大な犠牲を払ってでも対抗できると考えている一方、文明の崩壊を直に体験した俺や伝承で知っている芹沢博士からすれば、一歩でも間違えれば今の文明も崩壊させる事も可能な存在だと認識しているのだ。

 香月博士はアラスカかカナダ辺りで核連発すればどうにかなる、なんて考えているんだろうがそうならG弾を途中で迎撃しないだろう、と考えたもののここで言い争いをしても仕方のない事なので一先ず、こちらから打てる手を打っておこう。

 

「一先ず、芹沢博士はモナークの本部と連絡を取って今までに集めた情報等を持ち出せるだけ持ち出してください。保管場所に困ったらこちらで保管しますので」

『分かりました。急がせます』

「香月博士はアメリカが崩壊、或いはそれに匹敵する状況に陥った際の各国の調整をお願いしてもよろしいですか?」

『それには対価が必要だわ。そっちの技術をいくつか、拝借しても良いかしら?』

「分かりました。こちらが保有している技術の一覧を送付します」

『頼んだわよ?』

 

 今できる事を言ってみると、今の状況はヤバい事自体を2人ともしっかりと認識している様子で素直にやってくれる様子なので、俺の役割は日本政府と元枢府の説得だな。

 日本政府は榊首相と会っているからまだ話が出来そうなんだが、元枢府の方は兵器等の技術提供がおざなりになっていた事からパイプの構築がまだなんだよなぁ。

 ゴジラ・アースはBETAのハイヴを破壊する事に集中していたし、最終的な破壊の対象が俺なのもあって技術提供に限りがあると思っていたしね。

 

 とは言え、アメリカが盛大にやらかしてくれた事でそうも言ってられなくなったので、こちらもこちらで予定を繰り上げて技術提供を進めようと思う。アメリカが崩壊すれば、その圧倒的な兵器庫に依存していた日本を含めた世界各国は混乱に陥るのは目に見えているし。

 

 

 

 

 

「随分と人間臭い仕草をするのだね。機械が発達し続ければ何れ、君らの様になるものかね?」

「何れはそうなる可能性はありますが、数十年後の未来よりも目の前の脅威の方が重要ですよ。我々からすれば」

「その通りだ。我々、武家としてもあの怪物は目障りでしかないので早急に退場してもらわないと困る」

「その考えは個人的に同意ですねぇ」

 

 香月博士達との打ち合わせの後、政府にコンタクトを取って状況と観測したデータの説明をして現状を知ってもらった一方、食料生産と共同開発を行う為の工場の立地が漸く決定したので建設を急ぐ事にした。

 まず、食料生産の工場は岡山市から南の方向にある玉野市にある山の中に作る事になった。

 時間や資材に余裕があれば、瀬戸内海にある島の一つを開発して作る予定だったのだがアメリカの大馬鹿野郎が先走ってゴジラへG弾を使った結果、色んな予定を繰り上げる必要が出てきたので用地を変更する事になった。

 

 一方、共同開発の工場も上記の理由で東京から程近い神奈川県の箱根から北西方向にある金時山、と呼ばれる山の地下に建設する事になった。

 政府としては、東富士演習場に近い山の中に建設したがっていたのだがゴジラの動きが活発化している都合上、リスク分散と言う名目でこちらが断固拒否したのでこの立地に変更された。

 富士山の地下にメカゴジラシティがあるし、富士山の南東部に東富士演習場から程近いと言う理由でそこに決まった。

 

 そんな協議が終わった後、今度は武家を統括する元枢府に赴いて武家の中でトップレベルで偉い五摂家でも、先見の明があって活動的な当主である斑鳩(いかるが) 崇継(たかつぐ)氏と話す事になった。

 なんでも、戦術機の開発にも携わっている様で試製98式(後の武御雷)の開発にかなりの労力を使っている為、香月博士の伝手で彼と接触する事が可能になった。

 

『彼は武家の中でも比較的、話が分かる人物よ。戦術機の開発なら一度、彼と話してみると良いわ』

 

 以上が彼女の評価なのだが、確かに話が分かると評価できる。

 今の戦術機は、アメリカやソ連が中心に開発・生産を行なっていて、日本はアメリカの機体を日本専用の改修して主力機にしている都合から、どうしても生産はアメリカ頼りになる。

 そうする事で開発に必要な費用や時間、技術的課題を無視する事は可能だし、ライセンス生産をする事ができれば最先端の技術を取得する事はできるものの、自国でも開発から生産までの技術力があれば話が変わってくる。

 

 戦術機を含め、自分達の国土に合った兵器を作る事ができるので斑鳩も彼ができる範囲で作ったのであれば、彼に協力して味方にしておくのが得策だろう。紛いなりにも格式が高い家柄の当主だしね。

 

「なので、お近付きの印としてヴァルチャーに使われているOSに近いOSを提供させて頂きます」

「ほう。それは技術的には卿の核心に近い技術ではないのか?」

「えぇ、そうです。ですが、このOSは戦術機用に調整したOSになっていますので特に問題はないと判断しています。それに、これぐらいの革新的な技術を扱えないとこちら側としても困りますので提供しようと思いました」

 

 その為、今回の会談でお近付きの印として渡すのはヴァルチャーのOSを元にして、マブラヴ オルタにおけるXM3に近い挙動を可能とするOSだった。

 

「その技術をこれぐらい、と評するか。それで、映像等はあるのだろうな?」

「勿論です。シミュレーションですが、この端末でご覧になられますか?」

「勿論だとも。つまらぬ内容であれば話は変わるがな」

 

 これで、彼のお眼鏡に叶わなければ色々とややこしい話になるので、日本の主力戦術機に搭載されているOSをシミュレーション用に調整されたものでも良いから欲しい事を香月博士に伝えると、どう言ったルートかは分からないが実機に搭載されているOSのコピーを渡してくれた。

 そのOSと徹底的に比較できる様に、あらゆるデータを洗い出して人間にも分かる様に資料にした物の他に、シミュレーション上ではあるが動かしてみた。

 端末の画面に映し出された結果は一目瞭然であり、ヴァルチャーに近い挙動をする戦術機の方が優れている事が判明した。

 

 その結果、斑鳩氏から納得するまで説明を求められる事になった。

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