マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
「すみません。呼び出してしまって」
「全くだぞ? 普通なら君の方から来て話してもらう立場だからな、俺の立場は」
佐渡ヶ島を始めとした日本海側は、BETAの侵攻によって事前に設置していた機雷原の消耗や海底ソナーが破壊されたりして、BETAに対して抵抗する力が一時的に低下したものの俺の配下である機動部隊とアンギラス達、怪獣の活躍で近畿地方から以東は健在な事から急速に立て直しつつある。
まず、日本海には海底ソナーを敷き直しながら主要な港湾施設がある都市を中心に機雷原の設置を急がせるのと同時に、BETAに対する防衛戦略を見直して日本海側のどの沿岸に来ても大丈夫な様に戦力を配置する様になったらしい。
その為、俺配下の機動部隊も再建が進む九州・中国地方方面と近畿・中部地方、そして東北地方及び北海道の3つに区分けしてそれぞれに3個機動部隊を配置する事になった。
機動部隊を増やそうと思えば増やせるのだが、海中へ潜ったゴジラ・アースの行方が分からない以上は真っ先にメカゴジラシティがある日本に直行する可能性があるから、その対策を優先させてもらっている都合で機動部隊の数は増やしていない。
そもそも、重慶ハイヴが消滅している以上は今の日本にとって最重要観察対象は朝鮮半島にある鉄原ハイヴであり、次点でインドシナ半島のマンダレーハイヴと言っても過言ではない。
しかも、オリジナルハイヴである喀什ハイヴが消滅した事でBETAどもの動きが読めないので、アメリカと言う特大の供給源がなくなった事も踏まえて今は弾薬の備蓄に勤めている状況だ。
そんな中で、新潟に来たのは配備している機動部隊が問題ないかと言う査察に加えて軍との打ち合わせの他に、演習内容や怪獣達が普段からどう言った生活を送っているのかの確認などの予定が詰まっていた。
「まぁ、それに関しては後で君の上司達にみっちり扱いてもらうとして、伝えたい内容を聞いても良いかい?」
「はい。実はヴァルチャーのパイロットにしてほしいのです」
「huh?」
その合間を縫って、篁 唯衣と面談にやって来たのだが余りの物言いに猫ミームばりの反応になったのは仕方のない事だと思う。
いやまぁ、これがヴァルチャーを始めとする有人機の運用でパイロット候補を集める必要があって、こちら側から出向いた場合は失礼な物言いではないのだがパイロットの募集は勿論だが有人機の運用もしていない上、運用の予定すらない状態でパイロットになりたいですと言われても困ると言うものだ。
その為、何か裏があるんじゃないかと凡ゆるネットワークにアクセスして情報を洗ってみるのだが、特にそういう怪しい人物に会ったとかの話はないので首を傾げるしかない。
これが紙媒体やスタンドアローンのコンピュータでしか、記録されていない状態なら話は変わるのだが性能は低いもののモニタリングした情報を断片的な情報すらもそれにしか、記録しないとかあり得るのか?と言う疑問があるので割と真面目に怪しい人物との接触はないんだな、と思った。
その為、どうやって断るかの言葉を選んでいると俺が唯衣と面談している部屋の扉をノックする音がしたので招くと
「おぉ、メカゴジラ殿。ここにいらっしゃいましたか。にしても唯衣が何故ここに?」
「いえ、彼女からヴァルチャーのパイロットにしてほしいとの打診がありましてね。どう断ろうかと悩んでいました」
「なっ!」
そして、俺と唯衣が同席している事を尋ねてきたので素直に答えると彼女は驚いた様子だったので、どうやら日頃の彼女の行動は目に余る所があるらしく、かなり怒られていないと出ない反応だなと思ってしまった。
どうしてこうなった、と内心で思う一方で巌谷氏はまたかと言わんばかりの反応を示した後で彼女に言い付けた。
「全く! ノーラン殿に面倒をお掛けしたのにも関わらず、メカゴジラ殿にまで迷惑を掛けるとは何事だ! 後できっちり説教した上で訓練内容も増やすからな!」
「そっ、そんな! 私はただ、人類の為を思って!」
「それがまだ早いと言うのだ! メカゴジラ殿、大変申し訳ない。後でしっかり言い聞かせますので何卒ご容赦を」
「そちらで対応して頂けるのなら、こちらからは何も言いません。この事は他者に言いふらす事もしませんのでご安心ください」
そして、俺に頭を下げてきた為にこちらとしても許すしかなかったのでそう伝えると、彼は安心した表情を浮かべたので続きを促すと本題に入った。
「実は気象庁からの情報なのですが、ここ数日の内に不定期ながら高頻度で電磁パルスを観測した様なのです。その為、様々な情報と照らし合わせた結果としてアメリカ大陸に上陸した怪獣、ゴジラが攻撃した時間と重なっているので何か、知っていればと思って伺いに来ました」
「あー、その事ですか。一応、帝国の政府と軍の上層部には説明していますが………お聞きになりますか?」
「なるほど、では河岸を変えましょう。そう簡単に口外できる内容ではなさそうですからね」
「助かります」
どうやら、ゴジラについての話だったので言葉を選ぶとその意図を察した巌谷氏が篁さんとの面談で使った部屋とは別の部屋に向かった。
その際、篁さんも付いてこようとしたのだが巌谷氏に止められて渋々ながら立ち去ったので、2人きりになった状態でこちらが観測した情報を載せた端末を彼に渡して操作方法を伝えた。
「なっ、これは」
「同じ内容の物を政府と軍の上層部、そして五摂家の当主の方々にも渡してあります。その上で彼らは公表しない事を決定しました」
「守るべき国民を盾にするつもりですか?」
「現時点で公表すれば余計な混乱を生みます。なので、ゴジラが日本に上陸するまでは沈黙を貫き、ゴジラが来た際に公表するのと同時に行動を開始するとの事です」
「そんな事、許されざる行為です!」
「ではどうします? 今すぐにでも公表しますか? それはそれで困りますがね」
すると、すぐに端末を使いこなしたもののそこに書かれている内容に驚愕し、今すぐにでも行動しようとする巌谷氏を引き留めると彼は俺の言葉に引っ掛かりを感じ取った様で、すぐにでも飛び出そうとした足を止めて俺を見て来たので話を続けた。
「自分はゴジラと戦うつもりです。それがこの国の頂点に立つ方々との交渉で決めた事ですから」
「怖く、はないのですか?」
「怖くないと言えば嘘になります。ですが、
「………?」
巌谷氏の疑問に答えたが、それはあくまで誰が聞いても今の文明で俺と関わっている人達の事を指している、と誤解させる内容だったが実際には違う。
他星系へ少数の人達を脱出させた後、残ったアトランティス文明の人々の中でも消滅するまでの間に暫定的にトップになった人から直々に、次の文明は何としてでも存続させてくれ!との願いを託されたからな。
異星系由来の技術とは言え、生みの親に託されたからにはやらざるを負えないし、生み出してくれた事の恩に報いたいと思うのはおかしい事じゃないと思う。
それに、アニメ映画の描写からゴジラ・アースを倒す事自体は不可能だとしても他に手段はあるんじゃないかと考えている。
アニメ映画内では、時間や資源の無さから1万分の1秒のノイズを十数秒にまで広げて非対称性透過シールドを増幅させている器官を破壊すれば、このシールドを展開できなくなるのを利用して暴走したエネルギーでフィリウスの方を絶命させた。
しかし、その後のアースとの戦闘で規模を拡大した上で同じ戦法をとった結果として、暴走するエネルギーを最低でも周辺気温が1,000℃になる程の熱に変換する事で対策された挙句、その状態でシティ全体を破壊したからな。
この世界にいるゴジラ・アースの知識が、映画の星喰らう者まであるのかは分からないがあったとすればシールドをEMPプローブやEMPハープーンで剥がす方法が使えなくなるのだが、その対策は複数の収束中性子砲で集中攻撃すれば補える可能性が高い。
勿論、その前にやられる可能性があるが今持っている手札で戦おうとすればこれぐらいの無茶な運用をしないとダメだと思っている。
これがガンダムなど、他の世界で開発・生産している兵器の知識があれば生産して運用する事も可能だったのだが、アニメとしての知識はあっても技術的にどうなっているかの知識がないので、1から開発するには余りにも時間が無さすぎる為に断念した。
その為、巌谷氏と今後の方針で軽く話した後でメカゴジラシティへと帰還した。