マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
人間体メカゴジラ side
「やっぱり、か」
『いい加減、入ったらどう?」』
「いや、実際に入る前に些細な事でも気になっちゃってね」
『妙な所でチキンだね』
「否定できねぇのが辛み」
ゴジラ・アースの能力を使える様にプログラムを作り、何度もテストをしてバグを徹底的に洗ってパッチを当てて問題にならない様にしたのだが、メカゴジラシティへの更新に踏み切れないでいた。
何しろ、地球意思の代行者であるゴジラ・アースをこちら側の基準に当て嵌めるなら地球大統領とか、地球国家元首とかの話になるのでそんなデカい称号を背負い切れるのかと言う心配が先に来る。
ゴジラ・アースとの戦いは、彼を取り込まないと何度も戦う羽目になって文明の未来がないと言う一種の背水の陣の覚悟で臨んだのだが、今回の場合はそれとは比較にならないぐらいの重圧を感じている。
国籍や人種、文化といった多種多様な人間を1つの国の様に積極的に率いて文明を維持・発展させるなんて、アトランティス文明でもやった事のない仕事になるのだから躊躇してもおかしくはないだろう。
勿論、俺1人でやるつもりはないので結局は国家間での合議制になるだろうが、責任重大な事に変わりはないので最初の一歩が踏み出せずにバグの1つすら見つからないレベルで更新しまくったプログラムの確認をしていた。
ついでに、念の為ではあるがチェルシーを始めとしたインターフェイス達はメカゴジラシティとのリンクを切ってスタンドアローンの状態にし、その上で彼らには専用の端末を渡してあるのでこちらの情報は常に確認できる状態にした。
こうする事で、日本国内で活動している彼らにメカゴジラシティ内で突発的に発生するイレギュラーの影響を直接、受ける心配はないのでいざと言う時は各々が行動してメカゴジラシティを守る様に伝えてある。
ゴジラ・アースを侵食し切った後、国会での質疑応答の後で極一部の議員と軍関係者に妙な動きが見られるので警戒するのは当然だし、香月博士を介してシティ内の大規模改修が近日中に行われる事を伝えてある。
俺が妙な動きをする連中であればその間に動くし、それが敵対行動であれば摺鉢状になった富士山の上空から入ってきてシティのコントロールを奪う様に動く。
幸い、朝鮮半島から国連軍が撤退する時期にシティ内に侵入した不審者を叩き出す為に生産した大量のアンドロイドは健在だし、ロケランとか迫撃砲などの武器も充実しているのでそう簡単に奪取できない様になっている。
後は、大規模改修後のシティ内でちょっとしたエラーも感知できる様に人間体の方も更新を受ける為、改修中は俺も専用のカプセルに入って休眠状態になるので迅速な対応ができないし、更新の前後で人間体の精神性が大幅に変化している可能性もある。
一応、そうならない様にセーフティは設けているし、数値化できる範囲で変化を観測する様にしてあるので大丈夫だとは思うのだが、それでも心配は尽きないものさ。
「とは言え、このままじゃ手詰まりだからなぁ。入るか」
『わかったー。陣頭指揮は任せてー』
「おー、よろしくー」
散々、迷ったがこれ以上の決断の先送りをしても堂々巡りをして仕方ないので更新する事にして、カプセルに向かうと富士山から適度に距離がある秘密基地に退避したチェルシーがそう言ってきたので、休眠中の防衛を任せた部隊は彼女に任せて俺はカプセルに入った。
香月 夕呼 side
「………そう。改装に入ったのね」
「メカゴジラの件ですか?」
「そうよ。どこまで話したかしら?」
「ゴジラ・アースを取り込んで調査した所までです」
「そう。なら今回の改装内容と改装後の変化ね」
日課であるメカゴジラから渡された端末を確認すると、メカゴジラシティは改装に入ったとの内容でメッセージが来ていたので私の傍らに待機していた社 霞が話しかけてきたので状況を説明した。
メカゴジラがゴジラ・アースの能力を取得する為、ゴジラ・アースの体組織をナノメタルと同化させたものの、そのままでは重度の放射能汚染を垂れ流し続ける存在になってしまう。
人間の場合、100ミリシーベルト以下の被曝量では人体の治癒能力で無害化できるものの500ミリシーベルト前後で白血球の減少が発生し、1シーベルト前後では吐き気や倦怠感などの自覚症状が現れ始める。
それ以上になると医学的な介入が必要になり、7シーベルト以上の被曝ともなればほぼ全員が死亡するレベルの線量になるのだけれど、今回の改修で発生する放射線量は多い所では30シーベルト以上と1回、浴びればあっという間に死ぬ量が出るとの事だった。
「それだけ、ゴジラ・アースが危険な存在だったと言う事ですね」
「えぇ、そうよ。ただ、それを理解しない連中が多すぎる」
「メカゴジラさん、どうするんでしょう?」
「どうって、そりゃ迎撃するでしょ。見聞だけで勝手に暴走する連中に手加減なんて不要よ」
「そうですか」
その話を聞いたからメカゴジラシティではなく、帝国大学の方に詰めているのだけれどここも危なくなりそうね。
何しろ、紛いなりにもメカゴジラと懇意にしている人間の1人だし、私に関しては第四計画を推進する重要人物だもの。
今回のゴジラ・アースとの戦闘で、根に持つ連中からは必然的に目を付けられて当然だから今のうちに逃走の準備でもしますか、と思っていると扉からノック音がした。
「どうぞー」
「久しぶりです。香月博士」
「久しぶりです。芹沢博士。訪問理由はメカゴジラの件ですか?」
「それもあります。後はモナークから持ち出せた資料の件ですが………」
すると、モナークの芹沢博士が入ってきたので私も立ち上がって挨拶をしてから要件を聞き出すと、どうやら2つもある様なので彼が話しやすい方から話してもらった。
「まず、資料の方ですがある程度はロサンゼルス経由で持ち出せました」
「かなり大変だったでしょう。それに全て持ち出せてはないのでは?」
「えぇ、時間的にも厳しかったので残りは大西洋から出発する便に乗せました。内容や分量までは言えませんが」
「構いません。寧ろ、アメリカが分裂した以上は用心に越した事はありませんから」
どうやら、ゴジラを始めとする怪獣に関する情報の大半は持ち出せた様なので、後は消失や私達に害を成そうとする連中に奪取されない様に用心に用心を重ねて持ち運んでもらうしかない。
敵がBETAか、怪獣だけだったらここまで面倒な行動に移さなくてもよかったのに、と思いながら2つ目の内容に移った。
「それで、メカゴジラシティが大規模な改修に入ったとの事ですが………」
「私がGOサインを出しました。政府に口添えする条件で」
「では、私も顔を出しましょう」
「よろしいのですか?」
すると、彼も政府に出向く様子だったので理由を聞いてみると意外な内容だった。
「ゴジラ・アースとの戦闘後に行われた質疑応答の時、私は仙台に居たので同席できれば良かったと後悔しているんですよ」
「それで彼が行動不能な時は矢面に出ようと?」
「いいえ。彼が人間の下らない足の引っ張り合いに巻き込まれない様に、積極的に政府側に説明するつもりです」
「それは心強いですが、変なやっかみを受ける事になりますよ?」
「その時は彼の庇護下にある事を喧伝するまでです。幸い、彼の下には優秀な部隊が居ますから」
ゴジラ・アースと戦う際、一緒にいると何があった時に共倒れになるから別行動を取っていたけれど、それがメカゴジラに余計な負担を掛けた事に負い目を感じているらしい。
となれば、立場は違うけど利害の一致で繋がった関係同士でやってやろうじゃない。机の上の戦場で。
「分かりました。できる範囲で私も協力させてもらいます。この国は、いいえ。世界はゴジラの脅威を知らなさ過ぎる」
「ですね。では早速ですが 」
こうして、私達はメカゴジラに対して余計な妨害を防ぐ為の方針を決めていくのだった。