マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
香月 夕呼達 side
「 一部将校が暴走してメカゴジラシティへと突入してしまったらしい。こちらで引き止められず、そちらに迷惑を掛けてしまって申し訳ない」
「構いません。寧ろ、以前の国会で彼が質疑応答時に吊し上げを受けた際、確実に手を出してくる連中がいると判断して敢えて隙を作っていた部分もありますから」
「なるほどな。下手に守りを固くすると相手がいつ攻撃するか、わからないから中身を更新する時期に合わせて攻めやすくしたのか」
「その為に吹き飛んだ天蓋部分も放置していた様ですしね」
メカゴジラが、シティ全体で大規模なシステム更新を始めてから7日目の朝の早い時間に香月 夕呼は芹沢 猪四郎と共に首相官邸へ招聘され、応接室に向かうと既に榊首相の他、数名の閣僚が既に来着していたので一礼してから状況説明を受けていた。
話によると、6日目から7日目へと日付が変わる時間帯に一部の将校が戦術機部隊や空挺部隊などの一部勢力を率いて、メカゴジラシティへと強襲を仕掛けて現地の戦闘部隊と戦闘状態になっているとの事だった。
そして、強襲を受ける事をメカゴジラは予測していた為に香月 夕呼や芹沢 猪四郎達と情報共有を済ませ、事が起きた際には政府との窓口になる様に頼み込んでいた。もっとも、ゴジラ・アースが北米大陸で暴れ回ると言う事実にごたついていた為、芹沢 猪四郎には香月 夕呼を介しての話になったのだが。
「となると、更新が終わるまで遅滞戦術をするつもりかね?」
「最初からそのつもりでしょう。暴走した部隊の目的は、メカゴジラ自体を支配下に置く事ができるマスターキー的な物を奪取するつもりで攻撃をしたでしょうから」
「すると、我々の仕事はこれ以上の暴走した部隊が現れる事を防ぐ、と言う事かね?」
「えぇ。彼は更新に入る前、こう言っていましたわ」
不義理を働く連中には怒りの鉄槌を下す。そして、そいつらを囲って擁護すれば失望して別の場所に引っ越す。だからそうならない様に願っている。
その言葉は、その場にいたメンバーには重く感じた。
何しろ、98年の夏には日本本土にBETAが上陸して多大な犠牲が出ると予想されていたものの、その多くがメカゴジラが指揮する機動部隊によって助け出された上にアメリカ及びソ連を崩壊させたゴジラ・アースを取り込んで無害化した事は、立場上の事があっても日本政府としては感謝してもし切れなかった。
その為、あの時の質疑応答もややプロレスの様な物ではあったのだが一部の議員、特にゴジラ・アースとの戦闘でクレーターになって海中に没した富士市に縁がある議員は立場がなくなる事も相まって強い反対派の立場を取るようになってしまった。
また、同地域に暮らしていた住人の親類縁者が軍内部に一定数いた為に彼らの中から、暴走した軍の一派に合流するメンバーや前々から快く思っていたメンバーが参加したので、戦闘終了後の集計では旅団規模の人数にまで膨れ上がっていた。
「分かった。私の名義で暴走した連中の事は反乱軍と呼称させる。また、事態の沈静化の為に政威大将軍にも配下を賜るつもりだ」
「では、私達も帯同しましょう。五摂家の方に伝手がありますので」
「よろしく頼む」
その結果、榊首相は反乱軍と定義した部隊よりもメカゴジラと友好関係を続ける事を決断した為、事態は膠着状態から動く事になった。
メカゴジラシティ side
深夜に始まった戦闘は、日の出の時間が過ぎて太陽が完全に顔を出しても続いていた。
断続的に続く銃の発射音、戦術機が撃ち落とされて爆発する音、チェーンソーが動く音に金属が擦れ合う音と普段のメカゴジラシティではあり得ないような騒音が響き渡っているので戦闘はまだ続いている。
これが改装1日目なら、参加者のほぼ全員が放射線の餌食になって戦わずに撤退するような事態になっていたが、2日目には急速に放射線量が下がって7日目ともなれば放射線量は同じ標高の地表と同じレベルになる程度には大詰めに入っていた。
何故、初日だけが即死レベルの放射線量だったのかと言うとゴジラ・アースの性質をシティ全体に行き渡らせてから、更新する方が楽だったのが大きな理由だった。
何しろ、ゴジラ・アースから出る重度の放射能汚染や軍事用の各種機器すらも一瞬でダウンさせるレベルの強力な電磁パルスを発生させながら放つ高加速荷電粒子ビームなど、人間側の存在として運用するには危険すぎるリスクが大きかったからだ。
そのリスクを、ゴジラ・アースの細胞レベルでナノメタルが解析し、メカゴジラシティ全体で安全に運用できるレベルまで減らした上で、ナノメタル自体もゴジラ・アースの細胞と同じレベルにまで強化するプログラムを組んだ。
その結果、人類側に悪影響を及ぼすリスクを皆無にまで減らしながらもゴジラ・アースの強さが備わったメカゴジラシティに変貌すると分かった為、メカゴジラは更新に必要な日数と更新した際の変化に関する詳細な計画書として政府に渡した。
何故、詳細な計画書として渡したのかと言うと釣り餌としての要素が強く、ゴジラ・アースとの戦闘によって一部の議員が不満を募らせているのはメカゴジラとしても把握していた為、不穏分子が残り続ける方が面倒だと判断した結果だった。
勿論、議員側もその事を把握していたものの今回の更新による改修で休止状態になる機会を逃せば次の機会がいつになるか、分からないので実行部隊を動かしたのだがお察しの通りであり、中央司令塔の入り口に張り付く事は愚か、近づく事すらできていない状態である。
理由は、メカゴジラシティ側の地上戦力が万全だった事に加えて、早い段階で中部地方に待機していた機動部隊がシティ上空に到着した為に航空優先が長く維持できなかった事も大きい。
そうなると、後はメカゴジラシティと反乱軍の総力戦になるのだが時間を掛ければ掛ける程、戦闘による損失の他にシティ側の戦力に加えて国軍としての部隊も集結するので、長期戦になれば反乱軍側は不利になるのは目に見えていた。
そうならない様に、反乱軍側は短期決戦で決着を付けたかったのが希望的観測や机上の空論、こうあってほしいと言う発想による行動はその血を対価にして支払いつつあった。
そして、国軍の部隊が集結して行動可能になっていざ出撃と言う段階で、更新の為に休止状態だったメカゴジラシティが活動を再開した様で無線から彼の声が聞こえた。
『メカゴジラシティ周辺で戦闘行動を取る全将兵に告ぐ。戦闘行動を中止せよ。繰り返す。戦闘行動を中止せよ。メカゴジラシティは再起動した。諸君らの戦闘目的は失敗に終わったのだ』