マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
『本日*1、日本国政府はメカゴジラシティとの技術的な協定及び人類に敵対的な脅威に対する同盟を締結しました事を正式に発表します!』
メカゴジラ側と日本の間で、協定と同盟の覚書にサインをする場面が年末が近づく12月の正午の時間帯に、全国放送で国内外に向けて発信される中でここまでする必要があるのか?と言う疑問と、こうでもしないと痛くない腹を探られるからやる必要はあるなと言う感想がせめぎ合っていた。
前者は人間だった頃の感性から来ているのだが、後者はメカゴジラとしての感性なので他人に関心はあまり持たなかった過去があるものの案外、他人からの影響は受けてるんだなと実感している。メカゴジラを人として扱って良いのかは置いておくとして。
今回の協定によって、こちらからの技術支援と引き換えに日本政府が抱え込んでいる技術者との交流が可能になったし、怪獣やBETAに限定しない同盟は日本やメカゴジラに敵対的な人類や未知の存在から身を守る為の相互協力、と言う面が強いので決して悪い関係ではない事を明文化した形になる。
その為、当面の方針としては広くなった駿河湾を活用して洋上の開発プラントを建設しながら日本全土の流通を強化する一方、ユーラシア大陸に残っている各ハイヴを殲滅しながら怪獣に対処する事になった。
因みに、会談の翌日に1日引っ付き券が使用されて正面から向かい合った状態で1日中、抱き着いてきたのでその日は車椅子型ロボットで移動する羽目になったのだが、会談をひっくり返されるよりかはマシと判断して好きな様にやらせた。下手に我慢させると反発を招くしね。
「まぁ、本来ならめでたい事なんだけどねぇ?」
「やっちまいましたなぁ、アースさんよぉ」
「大地もノリノリだったじゃん」
「まーな」
それはそうと、協定と同盟の話が全国放送で流されてから数日が経っても国内外が一定の騒ぎになっている一方、メカゴジラシティでは新しいメカゴジラが完成したものの元々の姿からは著しく掛け離れた姿の巨大ロボットが出来上がった。
その姿は、メカゴジラと名乗って良いのかが分からないぐらいにはゲッターロボみたいな二足歩行型ロボットの姿をしていた為、俺ら3人は「やっちまったぜ!テヘペロ☆」と言わんばかりの会話をしていた。
「その内、ゲッタービームとか撃ちそう」
「汚染され過ぎて人の姿から逸脱するのは勘弁よ?」
「そもそもゲッター線を観測できてないから何とも言えないけど」
「まーそこら辺は追々、どうにかするとして搭載する武装の選定とカラーリングだな。流石に銀一色なのは見分けが付かなくなる」
とは言え、現段階では形だけを作った状態なので武装は勿論だが動力炉すら積んでいない為、それらを重量配分も含めて決めていく必要があるのだがゴジラ・アースの体組織の一部である多層泡状表皮と言うのはかなりの優れ物だ。
例え話になるが、板状の金属板があったとして普通の金属なら板の体積分の金属分子が分子同士の隙間があったとしても隙間なく、入っているのに対して多層泡状表皮はスポンジ上の金属板と言っても過言ではない。
勿論、市販品であるスポンジと比べれば網目の隙間は小さい物の1センチ以上の厚みがあれば、強度を維持した状態で既存の金属板と比べて4割もの軽量化を果たしながら強度も2割以上の向上が認められたと言う長所がある。
逆に、短所としては性能を維持した状態で大量に生産できるのがメカゴジラシティしかいない事と泡状の宿命なのか、膜が破れ易いので動物の皮膚組織の様に新しい組織が生み出されないと劣化していく一方なので、既存の金属板と比べて寿命が短いのが難点だな。
その為、装甲板として使うなら増加装甲として取り外しが容易な装甲板にするのが良いだろうし、既存の金属板の様に生産するならそれまでの金属板と比べて強度が高い事からかなりの汎用性が見込まれる可能性がある。大量生産のネックは残るがね。
そう言った経緯から、ロボットの調整は時間が掛かるぜと思いながら作業を続けていると社霞とピアティフ中尉を連れてやってきた香月博士が管制室に入ってきた。
「こんな時までロボット談義? 熱が出てるわね」
「どうもねー、香月博士。貴女がここに来たと言う事はそう言う事ですよね?」
「勿論。今日から正式にメカゴジラシティ付きの移籍をする事になるわ。国連の機能が停止している以上、こっちに居た方が安全だと言う日本政府の配慮よ」
「助かりますねぇ。貴女が居なかったら、ここまで来るのに今までの何倍もの苦労をしないといけませんでしたから」
彼女達が、日本政府と同盟や協定を締結してから数日後に来たと言う事は東京帝国大学から正式に移籍する事になったのだが、それは東京帝国大学で培った伝手が消える事ではなく、今となっては疑問符だらけのオルタネイティブ4を主導する重要人物と言うのも相まって、色々と便宜が図れると言う利点を持ってメカゴジラシティに本拠地を移しに来たのだ。
そんな彼女達を拒否する理由はなく、正式なメンバーに迎え入れるのと同時に彼女達が活動する日用品から各種機材や端末、研究書類から娯楽品まで持ち込んだのでそこそこの数のアンドロイド達が荷物の持ち運びに駆り出されている。
「あっ、そうそう。アンタ達と違って私達人間は食べていかないと生きていけないからそこんとこ、忘れないでね」
「うっす。必要な時は呼び鈴鳴らしてくれれば出しますけど基本的には6時から朝食で12時からが昼食、18時からが夕食で必要に応じて間食も提供するんでそのつもりでお願いしまーす」
「わかったわ〜」
そんな訳で、挨拶を済ませた香月博士達が立ち去ってから皇帝陛下や政夷大将軍との会談をした後の事を思い出した。
会談当日
「お招き頂き、ありがとうございます」
「突然、呼び止めてしまって申し訳ありません。本日はどうしてもお尋ねしたい事がありましたので」
「構いません。自分に答えられる範囲なら答えようかと」
協定の基本方針を確認して、どの要素を協定の項目に含めるかの会談が終了した後で帰ろうとした所で政夷大将軍のお付きの者に呼び止められ、案内された部屋に入るとそこには当代の政夷大将軍、煌武院 悠陽殿がいた。
いやまぁ、政夷大将軍が斑鳩殿を含めた五摂家の中から決められている事は知っていたし、その中に煌武院家も居たのも知ってはいたがまさか当代の政夷大将軍に呼ばれる理由が思い付かないので、少し緊張しながら着席すると彼女から話を切り出された。
「斑鳩家とは懇意にしているそうですね?」
「えぇ、香月 夕呼博士の伝手で接触する事ができました」
「私が問いたいのはそこなのです。貴方にとって香月博士はどれぐらい、重要な人物ですか?」
「正直な話ではありますが、人類の中では最上位に位置していると言っても過言ではありませんね」
「そうですか」
どうやら、香月博士に関する事のようなので下手に隠し立てするよりかは正直に言った方が良いだろうと判断してある事を話した。
「その事に関して、香月博士も熟知している様子でもう1人の博士である芹沢博士と共に日本政府にある働きかけをしているらしいですよ?」
「その内容は?」
「メカゴジラシティに席を移して活動すると言う内容です」
「それは………懸命な判断ですね」
その内容の重要性に、煌武院殿が気付いた様で少し驚いた表情を浮かべたものの表面上は何とか取り繕った様子だった。
実際、反乱軍と定義された一派がどう言った理由で行動に移したかが分からない以上、次はメカゴジラと深い関係にある2人が狙われても不思議ではない。
となれば予め、身柄の安全を確保して護衛なんかもしっかりとできる連中に任せた方が良いと判断するのは当たり前の反応だろう。
「既に手を打っているのなら私からは何も言いません。話は以上です」
「そうですか………では失礼しますね」
そんな訳で、煌武院殿の懸念が払拭されたとなれば彼女からの話は終わった様で、彼女の付き人に目線を送ると頷かれたので立ち上がって彼女に一礼をしてから立ち去ろうとしたのだが、その前に1つ伝える事にした。
「我々の力が必要になった際は斑鳩家を訪ねるといいでしょう。当主の方とは懇意になっていますから」
「えぇ、その時が来れば必ず」
メカゴジラシティは協力を求める者を拒まない。精査はするが。
その事を暗に伝えると、彼女も理解した様子だったので改めて立ち去った。
現在
「ある意味、運が良かったのかもしれんな」
「どうかしたかしらぁ?」
「いや、よくもまぁここまで来れたよなって思っただけ」
「そりゃあねぇ?」
「みんなの努力があったお陰」
「だよな」
これまでの事を思い出して、自分達の力だけでは辿り着けなかった事を確認してから、これからも自分達なりのやり方でやろうと言う決意を新たにした。
第1章 プロジェクト・メカゴジラ・アース 完