マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
第32話 人材の確保へ
私が彼らに会ったのは、そうね。
BETAが日本に上陸して、西日本の大半で暴れ回っていた頃に初老の男が私の研究室を訪ねに来た時だったかしら?
あの時は当時の京都に最終防衛線が引かれ、それが突破されたらどうしようかと言うのが巷で囁かれていた時期だったから、京都が突破されたら仙台辺りまで逃げて、東京も陥落するようだったら奥の手としてアメリカにでも脱出しようと思っていたわ。
結果的にはそうならなかったから良かったけど当時はどうなるか、分かったもんじゃない状態で気が気じゃない時に面会を求めくるんだから、当然ながら警戒したわ。
何しろ、当時は不確実性の塊だったオルタネイティブ4を主導する立場に居たんだからそれだけ、反感や恨みを買う立場だったし、横槍やら何やらを入れてくる連中がごまんと居たんだからするだけ当然でしょう?
だから、最初は世間話程度で打ち切ろうとしたのだけど面会に来たのはそう言う戦略だったにしろ、ロングコートにハット帽子と言う如何にも胡散臭い初老の男だったから警戒心を強めたのは仕方のないと思うわ。
とは言え、そんな警戒心を持つのは最初だけで彼から話された内容は、見通しが立たなかったオルタネイティブ4の計画よりも遥かに確実性の高い話だったし、当時は非合法的な組織だった桐生達が居れば途中で裏切った所で彼らが助力してくれるのなら、オルタネイティブ4の計画も進むと思っていたわ。
その予想は奇しくも、BETAよりも脅威だった怪獣 後にG細胞と呼ばれる新種の遺伝子を有する怪獣*1やギドラ族と呼ばれる怪獣達によって裏切られた、と言っても過言ではないわ。
勿論、私だってそう簡単に死にたくないから手伝ったわ。
ただ、そうね。
この世界には いいえ、私達が生きている世界と似たような世界線は、私にとっても桐生達にとっても逆立ちしたって手に負えない存在に目を付けられていると言っても過言ではないわ。
20XX年、多数の怪獣と戦うのを手伝った時の事を取材した際に発した香月 夕呼博士の言葉を抜粋。
「そうですか、分かりました。はい はい。では、そちらに出向します」
「どうかしたのかしら?」
香月博士達がメカゴジラシティに移籍してから1週間が経ち、ここでの生活にある程度の落ち着きを見せた段階で日本政府から連絡が来たのだが、その内容は前から予想されていたものだった。
「太平洋を飛んでた哨戒機が多数の漂流している船舶を発見したらしい。しかも現時点で10隻以上は確実にいるとの事だ」
「可能性としてはアメリカ側からかしら?」
「不明だ。
「ふぅん? 収容者の内容は帝国に任せるとして、私も旧研究室に用があるから便乗させてもらって良いかしら?」
「構わないよ。必要なら何体か、アンドロイドを手伝わせるが?」
「必要ないわ。ほんの些細な物だし」
その内容を彼女に話すと、面倒事は他人に任せるのが1番と言わんばかりに話を変えたので、問題ない事と必要なら助力する事を伝えると後者は断られた。
まぁ、移籍する際に研究資材とともに身の回りの日用品も持ってきているらしいし、新たに必要な物が出てきたらその都度、日本政府を介して購入しているので当面は問題ないのだろう。
そんな背景から、メカゴジラシティ内で運用を担うシステムを学習する為に残った社 霞と彼女に色々と話をするアースを除いた俺とメカゴジラ、香月博士とピアティフ中尉の3人で出向に応じて首相官邸へと向かった。
「 やっぱりな」
「どうしたの?」
「調査に向かった戦術機が大型タンカーに乗り込んで調査したんだが、現段階で1隻当たり500人以上の避難民が乗っているのが確認できたそうだ」
「そうなると、合計の人数は少なく見積もって1万人は超えそうね」
移動中の車内にて、政府の方から回されてくる情報をまとめた物をデータとして受け取る端末を確認していたのだが、漂流していた船団を調査していた部隊からの情報が上がっていて確認するとかなりの人数が避難民として居たらしい。
「当然、その中に研究者等も居ると想定できるので可能ならヘッドハンティングまでしておきたい」
「分かったわ。伝手を使って適当な人材が居たらそっちに回すわ。その代わり、私が子飼いにしている部隊の教練をしてほしいのよ」
「抜け目ありませんねぇ。こちらに教育のノウハウを持ち合わせていないのを込みで言っているんでしょう?」
「当然よ。私達の間にどちらが上かなんて面倒な立場はないのでしょう? なら、使える物はなんだって使うわよ」
その為、これ幸いと言わんばかりに研究者等の有能な人材を集めようとしたのだが、香月博士からの提案で独自でやって苦労するか、彼女に頼んで彼女の頼み事を引き受けるかの二択を迫られる事になった。
彼女達がこちらに移籍した事から、保護をする側と受ける側の立場の違いはあれどそれ以外の研究や技術交流などの実務的な範囲での立場の違い、と言うのはほぼないと言っても過言ではない。
簡単に言ってしまえば俺は彼女の研究と人脈を重視し、彼女は俺の技術力を重視する利害関係で繋がっている状態なので、どちらかがもう一方は役立たないと判断すれば切れる関係だと思って良い。
その上で、香月博士から提案してきたと言う事は機動部隊との連携を視野に入れた内容だと判断したので、今後の関係維持の為にも引き受ける事にした。
「分かりました。ただ、BETAとの戦闘をするレベルを想定して戦わせますんで、かなりハードになると思いますけど大丈夫ですか?」
「構わないわ。機体性能はともかく、腕は確かな連中だからそれぐらいが良い刺激になるわ」
「了解。その方向で調整するよ」
その事を、メカゴジラシティに連絡した後でまずは東京帝国大学へと足を運んだ。