マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
「意外ね。もっと高性能な戦術機を生産するかと思ってたわ」
「そりゃあ、作れますよ。ただ、それだと単なるメカゴジラ製の戦術機でしかないし、そうすると技術の格差があり過ぎて配備の有無で連携が難しくなりますからな」
「成る程、段階的に引き上げるって事ね」
「そう言う事です」
難民の中から、研究者達をメカゴジラシティに引き入れる事を日本政府が承認した為、メカゴジラシティ内に彼らが生活できる拠点と研究棟を建設した後、年を跨ぐ形にはなったがそこに彼らとその家族を住まわせて活動させる事にした。
すると早速、戦術機の計画案を提出して来たのでその計画案に興味を示した香月博士にも見せたのだが、真っ当な疑問を投げ掛けられたので真っ当な答えを提示すると納得してくれた。
何しろ、ビルサルドの技術で作られて富士山の内部で拡張し続けたメカゴジラシティのナノメタルであれば、ゴジラ・アースを取り込んだのも相まって取り込む前のヴァルチャーよりも強力な戦術機を作る事も可能だ。
しかし、そうすると他の戦術機との性能差があり過ぎて変に狙われやすくなる上、整備性と言う点から見ても人間側で整備できないのは大問題と言っても過言ではない。
実際、アニメ映画の前日譚におけるプロジェクト・メカゴジラではメーサーやらスーパーXやら、エクシフとビルサルドの技術によって造られた兵器群は彼らの手から離れた途端、本格的な整備が不可能になった為に稼働率が加速度的に悪くなり、最終的には共食い整備までしたと作中で言われていた。
となれば、現段階で必要なのは既存の戦術機の延長線上にある高性能な戦術機であり、アメリカから来た技術者達にもその事を伝えていた為に来た計画案はF-14 トムキャットの能力向上型だった。
この機体は最古の第2世代機な一方、F-15よりも一回り大きい機体に比例して設計的な余裕が大きいのもあって、高性能な機材が登場しても搭載できる余裕がある。
そして、メカゴジラシティの手によってより高性能な機材がいくつも作り出せる事ができるとなれば、より高性能な機体にしたいと言うのが技術者としての本能だし、それらの機材は人間側でも生産可能な機材なので正式に設計・生産する事を承認した。
「でも良いのかしら? 斑鳩側から嫌味を言われるわよ?」
「その時は好きなように言わせるよ。少なくとも、慢心して技術革新を怠らない様にする為の布石として割り切りますから」
いくら、戦術機用の新型OSを渡したからと言ってもメカゴジラシティ側で独自の戦術機を生産し始めたら良い顔をしないのは目に見えている。
しかし、アメリカ側で内戦している事にかまけて技術的な停滞をされても困るので、彼からの嫌味は必要経費として割り切るつもりだと伝えると香月博士は話を切り替えた。
「そう。ああ、それと鉄原ハイヴの件なんだけれど」
「
「えぇ。第四計画を進める上で、どうしても必要だからよろしくね〜」
「分かりました〜」
この世界では、俺が指揮する機動部隊の活躍によって佐渡ヶ島や横浜にハイヴが造られていない為、BETAが人間を生け取りにして脳髄だけをシリンダーに入れている事は知られていないはずなのだが、ゴジラ世界の要素が入った際の混乱て並行世界の情報が混線した事で香月博士にその情報が渡った。
その為、圧倒的な演算能力を有する俺らの能力を使えば量子演算脳は作れるし、素体となる脳髄から量子演算脳へ脳内情報を移す計算式も猛烈な早さで完成へ進んでいる為、後は素体となる脳髄だけである。
とは言え、脳内情報を全て抜かれた脳髄は機能停止になるので間接的に人を殺す事になる事から、やるとするならメカゴジラシティ側でもどうしようもなくなった段階でやる事にして、引き金を引くのはメカゴジラシティとして一緒に引く事を彼女と取り決めた。
何しろ、BETAに対抗して人類文明を存続させる為に利害関係で繋がった仲だとしてもここまで協力してきた以上、俺らに想いを託したアトランティス文明に誓って彼女1人に十字架を背負わせるつもりはない。
その思いで、鉄原ハイヴにある頭脳級を確保してその功績を元に素体となる脳髄も確保するつもりだ。
「はてさて、
とは言え、詳細を詰めて文面で送った鉄原ハイヴ攻略作戦を読んだ日本側の実働部隊がどういう風に返事をするのかが分からない以上、こちら側からは動けないので香月博士が子飼いにしているA-01部隊に想いを馳せた。
数日後
「実際に動かしてみてどうだったかしらぁ?」
「出力制限を受けてるせいで動作が重いなぁ。その分、早めに動く事でどうにかしてるけど」
「50%制限だっけ? それで精鋭を複数人相手にして引き分けに持ち込ませている時点で充分だと思うけど?」
「いやぁ、所謂モンバスゴジラと戦うにはちと不安だな」
A-01部隊との演習を行なったのだが、実機での対人戦は素人だった事も相まって最初はボロ負けしたものの、3日もすれば一端の衛士並にまで腕を上げる事には成功した。出力を半分に制限した状態のゲッターロボ風のロボで、である。
その事に関して、A-01部隊の一部から文句が出たものの俺自身も特定の分野における上位層へ食い込むには、長い時間とそれ相応の努力が必要だと理解しているのでかなり複雑な気分にさせられた。
これがメカゴジラの学習能力の高さかと思い知る一方、今の状態でモンバスゴジラと戦っても出力もそうだが技術的な点からも勝てる道筋が見えないのでかなり心許ない。
いやまぁ、生き残りをかけた戦いじゃない事は事前に知らされているからそこまで心配する必要はないのだろうが、だからと言って無策で戦いに挑む程の無鉄砲さは持ち合わせていないので警戒するに越した事はないだろう。
「それはそうと、A-01部隊と実際に会ってみてどうだったかしら?」
「んー、なんつーか………良くも悪くも実際に生きている存在なんだなぁって実感しただけっつーか、なんつーか」
「拍子抜けした感じ?」
「そんな感じだなぁ。言葉として表現するなら」
「まぁ、大抵はそんなものよ」
その為、メカゴジラシティでシミュレーションしながらメカゴジラとゴジラ・アースとで駄弁っていると、実際に会ってみた感想を聞かれたので言葉にしてみると拍子抜けが1番しっくり来る言葉だった。
原作において、甲21号作戦や横浜基地防衛戦での活躍で印象深かったので、どんな人達なのかなぁと少し期待していた部分があった分、実際に会ってみると他の人達の様に喜怒哀楽のある存在なんだなと実感したからな。拍子抜けの1つや2つ、してもおかしくはない。
そう言った背景から、少し浮ついた感覚を感じていると香月博士から連絡が入った。
『帝国軍が貴方の計画に乗る事を決めたそうよ』
「そうですか。実行に移されるのはいつ頃になりそうですか?」
『各種補給や事前の準備に最低でも1週間は掛かる予定ね。事前に知らせる事も含めて遅くとも1ヶ月後には始めるそうよ?』
「分かりました。こちらでも準備します」
内容は鉄原ハイヴの攻略に関して、帝国軍が参加する事を決めたらしいので俺もそれに向けての調整を進める事にした。
『随分と気が抜けた様子だけど、大丈夫?』
「大丈夫っすよ。個人的な内容なので」
『あっそ、攻略日までには気合を入れておいてよ? 腑抜けて作戦が失敗しましたってなったら私の立場も危うくなるんだから』
「分かってますよ。失敗しない様に調整しておきますんで」
『なら良いわ』
どうやら、彼女に心配されるレベルで漫然としていたらしいので気合いを入れ直さねぇとな、と思いながら通信を切って出撃準備に入った。