マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!   作:八雲ネム

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第4話 接触と戦闘開始

「お隣、よろしいですかな?」

「えぇ、どうぞ」

 

 富士山を一望できる富士五湖の内の1つ、山中湖の(ほとり)にてモナークの日本へ出張しに来ていたチームのリーダー兼生物学者である芹沢 猪四郎(いしろう)博士へ初老の老紳士が近付き、声を掛けたので了承すると老紳士が彼の隣に立ったので老紳士から話し始めた。

 

「先日、目の前にある富士山の北側にある青木ヶ原樹海から多数の飛行物体が飛び立って西に向かったそうですな」

「えぇ、私もその報告書を受け取りました。まさか、こんな状況になって反応するとは思ってもいませんでしたが」

「どう見ますかな? 芹沢博士」

「どう、とは?」

 

 老紳士、ベン・ノーランの問いかけに芹沢は問いかけの意味を考えながら聞き返すと、彼が知っている内容から何も知らない人にとっては突拍子のないものに聞こえる様な内容が出てきた。

 

「私の伝手から聞いた話によりますと、どの軍事組織や警察組織、果ては公的機関にも属していない様なのですよ。飛行物体の編隊は」

「えぇ、私の方でも伺っています。しかし、報告書に書かれた編隊規模を個人や非合法組織が秘密裏に生産して保有していたとは考えにくいと思っています」

「えぇ、そうでしょう。ですので私は“あの山”の地下にあるものの仕業だと思っていますよ」

「ノーランさん、まさか………」

 

 ベンの視線の先には今も雄大に存在している富士山があり、芹沢博士がその事に気付いて言い掛けた所でベンが目線だけでそれを制してから話を切り替えた。

 

「所で芹沢博士。ここの所、碌に休めていないのでは?」

「え、あぁ、まあそうですね。私以外のメンバーは帰国してしまいましたから」

「貴方にまとまった時間が取れてその気があれば、私にとって特別な場所に案内しましょう。休息を取るには持ってこいな場所ですから」

「えぇ、その時は是非お願いしたいですね。では」

「えぇ、またの機会、お待ちしております」

 

 ベンの言葉に、察した芹沢博士は言葉少なめに返してからその場を去った。

 何しろ、彼にはこの後の予定が入っていて彼の予測が正しければ、今回のBETAの日本侵攻で動くと予想される怪獣は複数体が存在している為、可能であれば京都まで足を運んで置きたいのだった。

 護国聖獣伝記、と言う古文書を読み解いた彼が動くと予想している怪獣は3体でそれぞれ、バラゴン、バラン、ガーディーと呼ばれている怪獣であり、それに加えて宝永火口まで足を運んだ目的の怪獣が関係している部隊まで参戦する、となれば戦況は大きく変わる。

 そうなれば、現地に行って現場の人達にも事情を説明する必要があると判断して鉄道を乗り継いで現地に赴いたのだった。

 

 一方のベンも、用事は済ませたと言わんばかりに山中湖から立ち去ろうとしたのだが、その前にある方向に軽く会釈をしてから立ち去った。

 会釈した先には、帝国の情報省に在籍しながら実の娘には世界を飛び回る貿易会社の課長、と説明する諜報員としては随一の能力を有する人物がいた。通りすがりの人は勿論、他の諜報員にも気付かれていなかったにも関わらず、である。

 

 

 

 

 

 鳴海 亜弥 side

 

「兎に角、見かけたらBETAどもは片っ端から撃破するよ! 特に日本海側の奴らは数が多いからそれには注意ね!」

 

 青木ヶ原樹海から飛び立った私達は、人類側からの全周波数帯の無線による呼びかけには一切、無視を決め込んで伊勢湾から紀伊半島を飛び越えて瀬戸内海に入った後で姫路呼ばれている地域から一気に北上して戦闘を始めた。

 マスターから初期生産分で、問題の洗い出しが必要だから壊れるまで徹底的に使って、と言われて渡された中型シャトルとヴァルチャーの混成部隊は初期生産分とは思えないほどにBETAに対するキルレシオ(撃墜対被撃墜比率)が凄かった。

 2機1組の編成とは言え、無人機のヴァルチャーは人間の限界を無視できる為、BETAの攻撃が当たる前に急加速・急旋回・急停止の3つの動きで回避して、逆にこちらからの攻撃を当てる様に指示を出したのも相まって被撃墜ゼロで数千のBETAを撃破している。

 

 その動きは、よく言えば熟練の搭乗員達が阿吽の動きで撃破している様に、悪く言えば蟻などの自我を持たない生物が群れで獲物を狩る様に見える。

 

(マスターも言っていたけれど、シティ内に鎮座しているメカゴジラってどう見ても頭部が蟻の頭みたいなものよねぇ。お陰でマスターから生み出されたのって、どうしても号令一つで一斉に動くからあの人、物凄い複雑な顔になっていたし)

 

 私がマスターと仰ぐ存在は、メカゴジラの中枢AIなので人間の顔に当たる場所はないけど私自身が彼から生み出された存在だからか、感情の機微が細かく分かってしまう。

 定例会議なんかではなるべく、感情を露わにしないで無機質な感じを与えようとしているけど普段の言動は人間の様に感情を露わにする事が多い為、私やベンと言った彼に近い立場にいる存在は人間の様に振る舞えるから安心できるみたい。

 だけど、そうではないメンバーは本当に機械の様に振る舞うから急に現実に引き戻されたかの様にスンと真顔になる感覚や、幾何学模様の様に表情が複雑になる感覚が伝わってくる。

 

 その為、マスターはBETAとの戦闘とそれに伴う人間との折衝を命じられたけど、私は私で独自に部下となったAI達に教育を施そうと決めた。

 何しろ、私やベンはAIとしてはハイグレードの物を搭載しているので人間と引けを取らないレベルで感情を持ったり、表情を作ったりできるけどヴァルチャーやメカゴジラシティ内を警備するアンドロイド達みたいな量産タイプだと、そこまでのAIを搭載していないのでかなり無機質だ。

 その事について以前、聞いてみると私達の様なAIを量産タイプに搭載するとなると製造に必要なコストや時間が掛かりすぎるとの事で泣く泣く、見送りにしたらしい。

 

 そうなら、最初から人格などに割り振っているAIを省いて搭載すれば良かったのでは、と重ねて聞くとそうすると今度は今の地球人類にはヴァルチャー達が不気味に見えてしまうとの返答が返ってきた。

 そもそも、今の地球人類はAIが自律思考を持って人間と喋れるとは思える程の文化がBETA大戦の影響で育っていないし、私達を作ったビルサルドの人達もここまで成長するとは思っていないだろうとの事だった。

 そう言った背景から、私は私でできる事をしようと判断してBETAとの戦闘を指揮しながら行動に移したのだった。

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