マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!   作:八雲ネム

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第5話 緒戦の結果

   初戦にしては上出来だな」

『今後の方針は如何致しましょう?』

「取り残された人達の輸送もほぼ完了している。最後の便も後10分もあれば到着するだろうからそれが完了次第、人類側との交渉に応じる様に伝えよう。ベンの方でも接点ができたんだろう?」

 

 亜弥が中心になって動かしている機動部隊の経過報告を受け、その内容に満足していた。

 何しろ、ヴァルチャーと中型シャトルのタッグによって侵攻してきたBETAを間引きどころか、発見したらすぐに殲滅したので侵攻の勢いを大幅に減らした上、長距離を移動する足を失って孤立した人達を救出して帝国軍基地の近くに下す事をピストン輸送の如く、行った為にかなりの犠牲者を減らす事に成功した。

 原作では、1週間で2600万人が犠牲になったと言われている所を1500万人までに抑える事ができたのだが、その殆どがBETAを殲滅して侵攻速度を低下させた事で逃げ切れる避難民が多くなったのが大きな要因だろう。

 

 その結果、フル稼働で関節部分にガタが来た所に突撃級や要撃級の攻撃を受けた12機のヴァルチャーに加え、偶発的に発生した光線級の集中砲撃によって事前に設定していた防御力を上回るレーザーを浴びた事で、爆散した1艇の中型シャトルを失った事を考えても大勝利と言っても過言ではない。

 壊されたヴァルチャーに関しては、実物をBETAに渡さない為にも壊れ方をデータを取った後で、ヴァルチャーとして固定していたナノメタルを水銀の様な液体状にして他のヴァルチャーに吸収させた。大小の差はあれど、他のヴァルチャーも何処かしらに壊れた箇所を抱えていたしね。

 それはそれとして、ここまで損失が少なかったのは現時点でBETAの長距離攻撃を担当するのが光線級及び重光線級の2種類しかない上、狙いを定める予備照射とレーザーを発射する際、エネルギーを溜める予備動作が確認されているのでそれを利用したのだ。

 

 まず、狙いを定める予備照射を探知すると照射角度から光線級及び重光線級の位置を割り出した後、データリンクで他のヴァルチャーや中型シャトルに共有して、彼らが攻撃を行う際のチャージ時間で戦闘用中型シャトルとヴァルチャーに搭載された電磁砲を発射。

 複数機で、光線級どもの発射器官である目の様な部分を潰して行ったのが大きいのだが、戦術機に乗った普通の人間であれば回避機動を取って他のBETAを壁にするしかないので無人機様々である。

 何しろ、ヴァルチャーや中型シャトルの各々に搭載されたAIは観測機器などを使って、探知した角度や攻撃目標までの距離をコンマ数秒で処理して、最適な威力で反撃したので一時的とは言っても光線級の脅威を排除したと言っても過言ではない。

 

 一応、このAIはデータであるのでヴァルチャーの動きを学習した物を戦術機にも搭載する事は可能だが、今回の戦闘で光線級を優先して攻撃する様に最適化された為、実際の運用には支障をきたすと思う。そもそもとして、無人機前提の機動を取っているので人間が扱い切れる代物ではないが。

 結果として、九州地方及び四国地方に取り残された部隊と民間人をある程度ではあるが、回収して帝国側に送り届ける事ができたのでこちらとしてもできる範囲で人命を救う、と言う目的を果たせた事の充実感を得る事ができた。

 それに、今回の戦闘にてヴァルチャー及び中型シャトルの問題点の洗い出しができた為、それをフィードバックに既存機体の改修及び新規生産に移行する事ができるのが何よりの朗報だった。

 

『えぇ、情報省の方とお会いして中国地方を中心に暴れ回っている未確認の戦闘集団は攻撃されなければ敵対しない事と、基本的な方針を出しているのは富士山麓の地下に鎮座している物だとは伝えました』

「大丈夫なの? それ」

『いずれはバレる事ですので、早い段階でリークした方が良いと判断しました』

 

 その為、亜弥に新たな指令を送信するのと同時にベンに話を振るとかなりデカい情報を帝国側にリークした様なので、軽く不安になったものの彼なりの考えを持って行動に移した様である。

 なので、どこまでの情報をいつまでにはリークするのかと言う話し合いをしていると、亜弥の方でも人類側との接触する旨を伝えてきたので一旦はそっちに集中する事にした。

 

 

 

 

 鳴海 亜弥 side

 

「私は帝国陸軍富士教導隊の巌谷と申します。階級は中佐だ。先程までの支援に感謝する。助かった命も多い」

「私はメカゴジラ第一機動部隊の隊長を勤めさせてもらっている鳴海 亜弥と申します。知的生命体として当たり前の事をしたまでですよ」

「知的生命体、か。まるでBETAとは違うと言いたい様だな」

「あんな気持ち悪い土木機械どもと一緒にはされたくありませんね」

 

 逃げ遅れた避難民の輸送及びBETAの殲滅を終了させた後、帝国軍が定めた京都府舞鶴市の西側に位置している宮津市から兵庫県の丹波市を通り、明石市までの第一防衛線よりもずっと東側に存在している帝国軍の前線基地に足を運んだ。

 BETAの足止めは愚か、中国地方などにいた勢力を殲滅した挙句に逃げ遅れた避難民を輸送した結果、帝国から再三に渡って話し合いの場を無線にて設けたいとの要請を受けていた為、完了を報告した後でマスターに許可を貰って話し合いの場に参加する事にしたのだった。

 その際、大量のヴァルチャーと中型シャトルは場所の問題で紀伊半島の中でも避難が済んで無人となった山間部の校庭などの広い場所や使う予定がない幹線道路などに駐機する事になり、私が乗っていた中型シャトルは奈良県奈良市にある学校の校庭に駐機した後、帝国軍が用意した車で前線基地まで案内された。

 

 後は会議室の1つに案内され、挨拶をしたのは帝都防衛の指揮を取る巌谷中佐と名乗る人物であり、顔には特徴のある傷があるので治療でもしない限りは印象に残る顔であろう事は容易に想像がつく。

 彼が一体、どんな経歴で帝都防衛の指揮を取るに至ったかについては興味はあるが、今はそう言う時期でもないので話を進めた。

 

「ところで、メカゴジラと仰っていたがどんな怪獣なのかな? メカ、と付くからにはロボットの様な物と想像するが」

「その様な認識で大丈夫です。もっとも、自律思考が可能で人間と同等の感情と知性を持ち合わせていますけど」

「その話は本当かね? 俄かには信じ難いが」

「これに関しては、実際に見てもらわないと実感が湧かないと思いますのでいずれ、実物をお見せしたいですね」

 

 巌谷中佐の質問に答えたものの、私が話した内容が信じられない様で懐疑的な表情を浮かべていた。

 それも当然で、今はまだ20世紀末でPCのスペック的に最新の物でRAMと呼ばれるメモリの上限が128MB、ストレージ容量が10GB以上の物が出たばかりな状況下なので、AIの技術は未成熟な上に特定の作業に特化した物が大半だ。

 その為、この時代の人が実際のAIが人間と同等の知性と感情を持つと聞いても、未来の技術や創作上の話として片付けるのが大半だと思う。

 

 そう言った背景から彼の懐疑的な反応を否定せず、話を切り替えて今後の作戦や運用方針について擦り合わせをしていると、彼の副官であろう人が入ってきて報告した。

 

「中国地方に新たなBETAが軍団規模(3万以上)で上陸した模様です!」

「どうやら、新しいお客さんらしい」

「どうします? 再度、私達が殲滅致しましょうか?」

「そうだな。無茶を押し付けて申し訳ないが、頼めるだろうか。本来なら、北九州で押し留める作戦だったものだから部隊の再編が間に合ってなくてね」

「畏まりました。総力を持って対処しましょう」

 

 その報告を聞いて、巌谷中佐はため息を吐いたので聞いてみると頭を下げて頼んできた為、仮にも組織の長が頭を下げて頼む事の重大さを教えられた私は承るのと同時に機動部隊に指示を出した。

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