マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!   作:八雲ネム

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第6話 食料生産と顔合わせ

「ぬぅ………やっぱ、人手が足りないか」

 

 人間社会に溶け込める様に、鳴海 亜弥と言う名前を与えた戦闘用対人インターフェイスであるA1からの報告書では、高いキルレシオを叩き出している一方でどうしても出撃している数に限りがある以上、対処できる数には限りがある。

 幸い、BETAは物量による平押しがメインの戦法である以上、今はまだ問題は表面化していないものの高い稼働率はそのまま、イコールで余裕がない上に損失が出た際の補填が難しい問題点と繋がっている。

 亜弥が率いる部隊には随時、損失分の補填をしているもののこのままではBETAが学習する事を考えればいずれ、限界が来るのは目に見えているので第二・第三機動部隊の派遣を決定するのと同時に、日本政府及び京都防衛部隊からの食料及び医療品の支援要請が来ていたので条件付きで正式に受理する事にした。

 

 下手に渋って、国として倒れられても困る一方で無限の生産力を持っていると勘違いされるのも癪なので、メカゴジラシティ内で生産するのは医療品に関しては10万人分、食料品に関しては30万人分を最大として生産の有無や生産量の上げ下げなどの決定権はこちらで持つ、と言うのを条件とさせてもらった。

 これは、今回のBETAとの戦闘で大量の物資を喪失したのと同時に大量の避難民が出たのに使える土地が減った結果であり、何もしなければ食料生産が減った今の日本では戦う前に餓死する事が確定する一方で、自分達のケツは自分達で持つと言う事を忘れてほしくないからだ。

 その為、本格的に起動した直後から保管庫で大切に管理されていたマナコーン*1など、食料になる農作物の種子を使ってシティの一角を食料生産の為の建物に変更して生産を開始していた為、半年の時間が経過した今ではちゃんと実った為に収穫すればすぐに供給ができる。

 

 後は、物流を担うトラックや鉄道を手配してくれれば少なくとも戦線で働く人達の食料事情は改善されるだろうし、シティ以外にもプランテーションが建設されればより多くの食料、それも合成された食材ではなく、徹底的に品種改良されたとは言っても天然の食材を配給する事が可能になる。

 そうなれば、軍人の士気も上がると言うものなのだが問題なのはシティ内のプランテーションをどうやって維持・運用するかと言う点だ。

 俺がシティの中枢AIなら話は変わったのだろうが、メカゴジラの中枢AIである以上は俺が出撃した際に誰が動かし続けるかが問題になるので運用開始から比較的、初期に亜弥やベンと同等の高度なAIを新たに作って担当させていた。

 

 名前はC1、チェルシー・ユルゲンと命名した女性型対人インターフェイスには食料及びヴァルチャーや中型シャトルなど、メカゴジラシティから出撃する戦闘部隊が必要とする兵器の生産を彼女に一任した。

 本来なら全くと言っていい程、別の生産物ではあるもののそれぞれを部署として分ければ生産ラインに混乱を生じさせない*2様にできる上、チェルシーに一括管理させる事で余計な手間を省ける。

 その為、亜弥やベンとは違って人間社会で表立って活動する事はないが、いずれは活動する必要があると思うので機会があれば人間社会で経験させないとな。

 

「ん………あー、やっぱ“そう”来るよな」

 

 そんな事を考えていると、日本から提供されている海底ソナーなどのBETAの反応を検知するシステムからの情報により、日本海の海底を移動するBETAが今度は石川県の能登半島を通り過ぎて、新潟県辺りに上陸する可能性が急激に高まっているとの事だった。

 外部からの刺激に対し、BETAが新たな動きをする19日は掛かると言う法則に則れば、まだその日数は過ぎていないので偶発的な動きだろうが、報告の中では師団規模(1万〜2万)のBETAが新潟県以東の海岸線に上陸するのがほぼ確定、との予想なのでこちらも動かざるを得ない。

 

「第二から第六機動部隊は直ちに出撃せよ! BETAどもを陸から叩き出してやれ!」

 

 その号令と共に、改良版ヴァルチャーと中型シャトルが次々に発進していくのと同時にBETA由来の地響きとは違う振動を感じたので、こちらのセンサーで確認してみると漸くお出ましと言った感じだ。

 

「おーおー、ゴジラとは違うがアイツらも遂に自分らの家が危なくなったのを察知したか? まぁ、弾除けぐらいにはなってくれよ?」

 

 北アルプスの麓から現れたのはバラゴン、バラン、ガーディーの怪獣であり、彼らは一目散に北上したのでまずは彼らを活躍させるかと判断して、暫くは彼らが活動するであろう範囲を攻撃しない様にヴァルチャー達へ命令を下した。

 

 

 

 

 

 ベン・ノーラン side

 

「へぇ? じゃあ、メカゴジラの端末の1つが貴方って訳ね」

「えぇ、物分かりが早くて助かりますなぁ」

 

 私は今、とある研究所の一室にて1人の女性博士と相対して話し込んでいた。

 彼女の名前は香月 夕子と言い、科学技術において多岐に渡る分野で才覚を発揮する有能な博士である、と優秀な諜報員である鎧衣殿から紹介されたので会ってみると理解が早過ぎて少々、困惑するものの他の方々よりも話が早く進むので続ける事にした。

 

「それで? 私にどうしろって言うのかしら?」

「今回は初対面なので特に言う事はありませんが1点だけ、これだけは言わせてもらいたい」

「随分と大袈裟ね。何かしら?」

 

 本来なら、目に見える形でこちら側から取引を持ち掛けるべき所でしょうが、今回は初対面という事で顔合わせをしに来ただけなので()()にとって重要な事を伝える事にした。

 

「何があっても折れないで頂きたい。例え、どんなに絶望する事があっても。その為なら我々は総力を持ってお手伝いいたしますので」

「………ふっ、勿論よ。打てる手が全部、なくなってもそう簡単に諦めてたまるものですか」

「そのお言葉を聞けて安心しましたよ。ではまたどこかでお会いしましょう」

「えぇ、その機会があれば」

 

 どうやら、私の真意を察した様で笑みを浮かべながら返してきた為、別れの挨拶を済ませてから研究所を立ち去った事で顔合わせはこれで終了した。

 これが普通の人間であれば、単なる挨拶回りの一環として認識するのだろうが、私の存在を知った上で私から折れないでと言われたら否応がなく気付くと言うものだ。

 物量、と言う点において無類の強さを誇るBETAよりも強力な存在である怪獣、その王でありながら絶望の化身である存在は我々の主人であるメカゴジラの名前を理解すれば誰もが気付く。

 

 生憎、この世界の娯楽は限られている都合でメカがロボット系だと分かっても、ゴジラの恐怖と言うのは全くと言っていいほどに理解されていないのが現実だ。

 その為、もどかしい気持ちはあったのだが香月博士はすぐに理解した様子だったので、その事で少し口角を上げたもののマスターからの連絡でBETAが新潟から上陸する可能性大、と来たので私はヤレヤレと首を振った。

 

(仙台に拠点を移しますかね)

*1
2万年前の文明がビルサルドからの技術提供によってできた遺伝子改良穀物。ゴジラの出現と彼との戦争によって、悪化の一途を辿る当時の地球環境とそれに伴って悪化する食料生産事情の中でも高い生産性、耐久性、栄養価を誇る為に作られた品種。食料生産は当時のプランテーションに集約され、かつそこで生産される農作物も高度な遺伝子改良が成された17種だけに絞られた。

*2
ナノメタル自体はシティ内にいくらでもあるが、シティの建物を構成しているナノメタルとは別に余剰分のナノメタルを保管している保管庫がある為、保管庫と兵器を生産する工廠をパイプラインを直に繋げば、食料の生産施設と食料の保管庫を繋ぐパイプラインと重ならないのでチェルシーに一任する事ができた。

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