マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!   作:八雲ネム

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第8話 外出端末

「短ぇ夢だったな」

 

 この世界で目覚めてから、感じた事のないような振動を検知した後で日本政府から重慶ハイブのモニュメントが木っ端微塵に粉砕され、周辺のBETAを30分も掛けずに殲滅したという内容の報告書を受け取って内容を確認した後、どこぞやの平民出身の軍人みたいにそう呟いた。

 何しろ、既存の怪獣ではBETAの数を減らす事は出来てもモニュメントを始めとするハイブの破壊及び攻略は一切、出来ていなかった事を考えるとそれをやって退ける存在は1種類しか知らない。

 正確には1体、ゴジラの中でも圧倒的な火力を示す個体と戦闘をした経験しか、持ち合わせていないがそれでも誰なのかが分かった。

 

 そいつの名はゴジラ・アース。

 

 2万年前の文明を消滅させ、少数の移民船団を他の太陽系へ送り出させた張本人なのだが、彼がいない間に地球上のBETAを一掃して人類側との協調関係を築き、BETAやアースに対抗するレベルの文明を築き上げる計画が全てパァになったのだ。そうボヤつきたくもなる。

 とは言え、呆然として思考停止のままではいられないのでこれからどうするかなぁと思っていると、亜弥とベンからの通信が入った。

 

『こちら、A1。帝国軍が私達のリーダーと協議したいと言ってきています』

『こちら、B1。香月博士及び日本国政府からも同様の申し出が来ています』

「………ここで断ったらどうなると思う?」

『辞めといた方がいいんじゃない?』

『相手方に不信感を与えます。参加した方が長期的な視点で良いかと思います』

 

 その内容に、出来れば引き篭もっていたい事を暗に伝えるとダメらしいので行くしかなさそうである。

 

「しゃーねぇ。行く準備をするから車を回してくれ」

『あれ? マスターって人間の体、持ってたっけ?』

「いずれ、必要になるから前々から準備だけはしてたんだよ。戦車砲の直撃を喰らっても問題なく動けるレベルの耐久性を持つ体をね」

『何それずるーい!』

 

 メカゴジラの中枢AIである以上、本体はメカゴジラなのだが人間社会で活動するには巨大すぎるので前々から人間サイズの体、メカゴジラが直接操作する端末を作っていたのだ。

 だが、メカゴジラが人間の動きを想像して作ったので実際の挙動や暴走した際の非常停止の仕方などに不安があった為、亜弥達で試して問題ない事を確認してから俺用に調整した。

 その為、完全にワンオフモデルと言っても過言ではない事から亜弥から文句を言われたので、要望がある場合はメカゴジラシティで調整する際に反映する事を伝えると、ブースカ文句を垂れていた態度から一転して喜びの態度になったのでチョロい奴と思ってしまった一方、2人には参加する旨を伝えると了承した返答が返ってきたので通信を切った。

 

 いやまぁ、最初に作ったのが亜弥だから精神年齢は高めに設定したけど人間で言う初子に近いので、人間社会で活動する以上は不安になることも多い事から出来る範囲でこまめなフォローはしていた。

 その結果、外ではしっかり者のリーダーだけど俺と接している時は子供の様に甘える存在になっているので、当初の想定とは違った形になった事に戸惑いを感じる。悪い気はしないのだが。

 その代わり、ベンはすっかり老紳士風の人格になったので当初の想定通りで納得している。

 

 え?AIによる人形遊びだって?

 

 まぁ、それは否定しない。コマンド1つで亜弥達を強制停止に持ち込めるし、その気になれば今この瞬間に人格をまるっと180度変える事もできるしね。

 ただ、だからと言って俺1人でやり続けるのはあまりにも非効率で虚しく、寂しい道のりになるので人形遊びだろうが亜弥達を人格を持った存在として扱うつもりだ。

 俺もAIの割には人間みたいだな、と思いながら俺専用の端末(人形)を起動して体を動かす為のプログラムをインストールしてから、端末を動かす用のAIを入れて動かしてみた。

 

「………システムオールグリーン。無事に動いて何よりだな」

 

 メカゴジラから端末へ、フルダイブ型のゲームの様に入り込んだ俺が最初にやった事は体を動かして問題がないかを確認する事だった。

 いくら、元人間の記憶があったとしてもメカゴジラの中枢AIである以上は、自分がイメージした動きと違和感がないかを確認してからじゃないと人間社会に出てから何かしらの騒ぎを起こし手損害を出し、目立つかもしれないのでここは慎重に確認しておきたい。

 そして一通り、体を動かすとイメージとの差異がなかったので試しにひとっ走りして更なる確認をする必要がある、と判断して移動するルートを設定して扉などを開放して障害がない様にしてからメカゴジラを見上げた。

 

(メカゴジラ)を見上げる(端末)(端末)を見下ろす(メカゴジラ)が同時にできるのは、メカゴジラの特権だな)

 

 そんな事を思いつつ、メカゴジラが鎮座する空間から出て行動へ移した。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「体の方は大丈夫ですかな?」

「シティ内で徹底的に調整したんだ。限界はあるが、少なくともこの国に配備されている部隊から単独で逃げ切ってシティ内に逃げ込めるだけの能力はある。君らの援護もあるし、()()()()が上陸してくる状況でもない限りは問題ない」

「それを聞いて安心しました。鳴海殿達が率いる部隊から恒常的に戦力を引き抜く必要性が低下しましたから」

「それでも緊急展開して避難できるプランは練っておいてくれ。今はまだ、この国と表立って戦いたくはない」

「畏まりました」

 

 メカゴジラシティがある富士山麓から程近い、青木ヶ原樹海に設けられた車両用の出入り口から装甲車両風の車で出た俺は、近くの寂れた駐車場まで行くとベンが駐車していた車の傍らに立っていた為、装甲車両風の車から降りて彼の元に歩み寄ると助手席側のドアを開けてくれたので、乗り込みながら装甲車両風の車にはシティへの帰還命令を出して目立たない様にした。

 BETAによる日本本土侵攻が現実になった以上、自殺しようと来た輩以外でこの樹海に来るのは調査目的ぐらいなもので、大抵はすぐに避難できる様に都市へ行っているのが基本だ。

 その為、樹海から寂れた駐車場へアスファルトで舗装されていないものの道路を敷いても気付く人はおらず、居たとしても政府関係者ぐらいなものなので難なく東京へ繋がる幹線道路へ出る事が出来た。

 

 後は国会や研究施設、軍事施設とかに顔を出して顔合わせて意見を交換をするつもりで、ベンと話し合っていたのだが道中である変化に気が付いた。

 

「そういや、前後の車がずっと並走してるのな」

「すぐに排除する事も出来ますか?」

「いや、辞めておこう。下手に自動車事故を発生させたら後が面倒だ」

「畏まりました」

 

 それは、俺とベンが乗っている車の前後に同じ車がピッタリと並走し続けていたので、警戒はするがこちらから手を出すつもりはないので今のペースで目的地へと向かった。

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