「…ッ!」
ボンヤリしていた頭が覚めていく
自分が今何をしていたのか、何故眠っていたのかさえわからない
「あ~、下っ端は辛ぇよな〜」
そんな混乱しているなか、まだ若いと思える男の声が聞こえてきた
急な男の声に肩が跳ねそうになるが、自信の意思に反して体は動かなかった
「…!?」
眼は動くのに体は動かない。その事実に焦ってしまうが、少しするとこの感覚に覚えがあるのを思い出した
「(そうだ。この感覚って全身麻酔したときの感覚と同じだ)」
一度、手術をした経験があった自分は手術後、起きたときにこの感覚を味わったのを記憶の中から引き出していた
しかし、何故自分は動けないようになっているのか、事故にでもあって病院に運ばれて手術でもしたのかと思考がグルグルしていたが、先ほどの若い男の声がもう一度聞こえてきたことで視線が声の方向にいく
「なーんで俺らがこんな辛気臭いところでガキのお守りなんてしないといけねーんだよ」
「…あまり愚痴を言うな」
「でもよー」
声の主は一人だけではなかったようだ
どうやら、若い男…見える限り茶髪でいかにも軽薄そうな男と坊主頭で身長が大きく体型が筋肉で覆われている茶髪男と同年代くらいの男がテーブルでトランプをしながら座っていた
二人は明らかにカタギの人間には見えなそうな黒スーツを着ていて、雰囲気も危険な感じがした
「(な、なんだよこいつら。病院かと思ったらもしかして誘拐でもされたのか俺?)」
先ほどは体が動かないことに戸惑ってしまったが、落ち着いて周りを見てみると、自信が寝かされているベッドの横には鉄格子があり、どうやら自分は監禁されているようだった
「(え、え、え?…ちょ、え?マジでヤバい感じかこれ?)」
体は動かない、逃げられないような鉄格子、明らかにカタギには見えない男たち
鉄格子だけでもヤバいのに、喧嘩なんてしたことがない自分にとって、いかにも人を殺していそうな男たちを相手になんか出来ないだろう
そう、瞬間的に悟ってしまったとき、茶髪の男がこちらを見た
「(…眼が合った)」
逸らそうと思ったときにはもう遅かった
「おいおい。起きてんじゃねーかクソガキ」
立ちながら茶髪の男が鉄格子の前まで来る
茶髪の声に坊主の男も気づいたのか、立ちはしないがこちらを見てきている
「起きてんなら言えよな〜。テメーの健康の管理も任されてんだからよ」
ニヤニヤしながら言う茶髪に坊主頭がため息を吐きながら言う
「…無理に決まっているだろう。こいつは全身麻酔をされているんだ。非合法のものだからな、声も出ないだろうよ」
やれやれと言った感じで坊主頭が言うと、茶髪は笑いながら返答をする
「ぎゃはははは!んなもん知っているって!」
「…だと思ったぜ」
どうやら、茶髪は自分に絶望感を与えたくてわざわざ今の状態を知らせてくれたようだ
「(…こいつかなり性格悪いな)」
そう考えながら、茶髪に意趣返しとして睨もうとしたが、なぜか右眼が動かない
茶髪に対しての怒りはどこへやら、戸惑いが生まれてしまった
左眼は全身麻酔をされていても動くのに、なぜか右眼の感覚がないのだ
なぜ、と思っていたら茶髪が気づいたのか、鉄格子を掴みながらさらにニヤニヤしながら言ってくる
「あん?…あぁ、お前気づいてなかったんだな」
視線で何がと問うと、親切にも茶髪は答えてくれた
「くっくっく。お前、今右眼がないだよ」
時が止まった
「(…は?)」
茶髪が何を言っているのかがわからなかった
いや、意味はわかる
だが脳がそれを理解しようとしなかったのだ
右眼がない
その言葉を理解するのにたっぷり一分ほどかかった
「(右眼がない?…なぜ?どうして?)」
理解しても混乱は収まらない
普通あなたの右眼はもうありませんと言われて、すぐにはいそうですかと言える者はいるだろうか
普通はいないだろう
自分も現在進行系で言われて思考が固まってしまったのだ
そんな状態の自信に茶髪は笑いながらさらに言う
「お前も運がねーなー。うちのボスが人体収集家じゃなかったら誘拐されて右眼が抉り取られるなんてことなかっただろうに」
茶髪はそう言って坊主頭のもとに戻っていった
ーーー
茶髪の話の後、内容を理解しするのに時間がかかってしまったがなんとか噛み砕きながら現在の状況を咀嚼していった
「(今俺はどっかのアングラな組織に誘拐されて、そこの人体収集家っていうクソったれな趣味のボスとやらに右眼を取られた)」
「(そして、現在麻酔で体は動かない。麻酔が抜けても鉄格子はあるし外には危なそうなやつらもいる)」
そこまで自身の状況を振り返ってみて、それなんて無理ゲー?と思っていた
「(はぁ。なんで俺がこんな目に遭ってんだよ。俺なんて特別イケメンってわけでもないし、実家も超大金持ちっていうのでもないのによ)」
そんなTHE・一般人とでも言える自分が右眼を奪われて、監禁なんてされてるんだと
そう考えて、何かが記憶の中をよぎった気がした
茶髪との会話が思い出される
❜おいおい、起きてんじゃねーかクソガキ❜
そうだ、そうなのだ
茶髪はなんと言っていた?
「(あいつはクソガキと言っていた)」
そんなことはあり得ない
茶髪はどう見ても成人は超えていた。坊主頭も同年代くらいに見えた
そんなやつらにクソガキなんて言われるはずがないのだ
「(俺は今年30歳だぞ!?そんなやつに向かってクソガキ?こいつら眼が悪いんじゃねーのか?)」
このときはそう考えていたが、間違っているのは自分だと気づくのは翌日だった
ーーー
「(…はっ?)」
時は翌日
色々考えすぎて気絶するように眠ってしまったが、起きて麻酔が抜けていることに気づいた
そして、尿意を感じて拘置所のような間取りのトイレで用をたした後、自分のマイサンを確認して違和感を覚えた
あれ、俺のイチモツってパイ◯ンだったっけ?と
よく考えれば、何かが色々とおかしかった
目線がいつもより低い
肌の色が明らかにアジア人特有の色でなく、白人に分類されるものである
手足が小学生くらいに小さい
視界に入る髪の長さが、短髪であった自身のものとは違くて長い
その髪の色が黒髪ではなく金髪である
考えつく限り自分と異なる点を挙げていったが、その疑問はトイレの横にある鏡を見て解決した
鏡の中の自身は身長は小学校高学年くらいで見た目は金髪蒼眼の白人で、いかにも将来が楽しみなショタコンが見たら大歓喜するような美形だった
主人公の見た目はBLEACHのハッシュヴァルトの幼少期です