念能力者になってよ!   作:メガシャキ

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修行パート


訓練

あの後、ダンさんの執務室に突撃したベッキーのお願いはあっさり通った

 

ドール夫妻は念能力者ではないが、その有用性は理解しているので、娘の安全がより高くなるのであれば強くなることに賛成のようだ

 

そうして、ベッキーの念能力訓練は翌日から開始されることとなる

 

急な申し出なのに、家庭教師がすぐに見つかるものなのかと思ったが、教えてくれる人は意外と身近にいた

 

ーーー

 

「今日からお嬢様の念能力の訓練を指導させていただくロイドです。よろしくお願い致します」

 

教えに来た教師はしばらく休みのはずのロイドさんだった

 

後ろにはいつも通りカレンとぺぺがいた

 

「よろしくお願いします!」

 

ベッキーは元気よく挨拶をする

 

だが、俺はロイドさんに疑問を言う

 

「でもロイドさんたちってダンさんの護衛じゃなかったですか?」

 

そう、初めて会ったときに専属と言っていたのを思い出していた

 

「確かに専属なのは間違いないけれど、ダン様には専属の護衛がのう何組かいるからね。俺たちが離れても問題なく回るようになっているんだ」

 

なるほど、お金持ちっていうのは護衛すら何人も抱えているのか

 

他の護衛も念能力者なんだろうなと、良い人材を多数抱えているダンさんすげーと単純に思う

 

「さて、お嬢様。お嬢様には念を習得していただくという話をダン様から聞いていますが、間違いないでしょうか?」

 

「ええ!その通りよ!」

 

ロイドさんはベッキーが本当に念を学びたいのか確認する

 

ベッキーの目は決意を示すようにロイドさんを見つめ返しており、2人の見つめ合いが数秒続いた

 

そして、真剣な顔をしていたロイドさんの表情が穏やかになった

 

「ふっ、合格ですお嬢様」

 

「え?」

 

ロイドさんの突撃の合格通知

 

ベッキーは何が何だかわからないという顔をしている

 

「あー、そういうことですか」

 

「え?お兄さん何かわかったの?」

 

「うん、まぁ」

 

多分まだ幼いベッキーには難しくてわからないかもしれないけど

 

「ロイドさんは本当に念を覚えたいのかって再確認したんだよ」

 

「え、でも私お父様に許可貰ったんだよ?なら後はロイドさんに教えてもらうだけじゃないの?」

 

「うん。それはダンさんが許可を出しただけだよね?ロイドさんが知りたかったのは、念能力という普通に鍛えるよりもずっと辛いことをやっていくことに対して、ベッキーがちゃんとわかっているかについてだよ」

 

「あっ」

 

今の説明でわかったようだ

 

そう、念とは常人が過酷な鍛錬の果てに精孔を開くことで得られる力だ

 

並大抵の鍛錬ではスタートにすら立てない

 

まぁ、中には裏技を使って無理矢理精孔を開ける者もいるが

 

しかし、その方法では後遺症が残る可能性が大きい

 

ダンさんはそんな方法はとらせないだろう

 

つまり、残る方法である鍛錬によって精孔を開いて念を覚えるしかベッキーに道はないのである

 

俺の所持しているせかいじゅのはなどで後遺症も消せるかもしれないが、それは一種の賭けになってしまう

 

なら、正攻法で念能力者になってもらうこと自体が、ベッキーにとって鍛錬になる

 

体も心も鍛えれば、将来念能力者になったときにも役に立つだろう

 

「それではお嬢様始めていきます」

 

「はい!」

 

そう言ってロイドさんの授業は始まったのであった

 

ーーー

 

「…これただの運動じゃね?」

 

目の前ではベッキーがグラウンド並みに大きい庭で走っていた

 

もっと拳と拳で戦うよくある鍛錬だと思っていたのに、まさかの運動

 

「いやいや、ウリュウくん。最初はこんなもんだよ」

 

俺が呟くと隣で鍛錬していたぺぺさんが話かけてきた

 

「ぺぺさんも休憩ですか?」

 

「うん。僕はもう念を習得しているからね。やるとしたら、基本の復習くらいさ」

 

そういうぺぺさんは休憩していた俺の隣の椅子に座る

 

そう。俺もロイドさんに念の鍛錬を教えてもらっていたのだ

 

今までマフィア一家の場所では、原作知識から自己流で念の鍛錬をしていたが、流石に限界がきていたのでベッキーのついでに鍛錬を見てもらうよう頼んだのだ

 

俺も念を習得しているので、四大行や応用技などの基本をしっかり学びなおしている

 

「それで、なんでベッキーの鍛錬はただの運動なんですか?もっと違うのを想像してました」

 

「それは簡単だよ。お嬢様はまだ幼いからね、体がしっかり作り上げられるまでは適度な運動と精神修行を重点的にしていくんじゃないかなぁ」

 

「あー、なるほど。確かにベッキーはまだ5歳でしたね」

 

そりゃあ過激なことは出来ないか

 

まぁ、ベッキーのことはわかったがなんで…

 

「なんで、カレンさんも参加しているんですか?」

 

実はベッキーと一緒にカレンさんも本格的な運動をしているのだ

 

今回の鍛錬はベッキーを鍛えるものなのにだ

 

「それかぁ」

 

ぺぺさんは言いづらそうに顔を顰める

 

「あーっとねぇ、今回の護衛任務で一人いなくなっちゃっただろう?」

 

ぺぺさんの言葉に頷く

 

「あいつはカレンの恋人だったんだよ」

 

突然の事実に驚いているとぺぺさんは続ける

 

「ふっ、驚いただろう?あいつら年の離れた兄弟くらい年齢が違ったからな」

 

始めて見たとき、一際若かった彼がまさかのカレンさんの恋人とは想像もしていなかった

 

「別に犯罪的なことをして交際していたわけじゃないよ。あいつらは元々貧困層の生まれでね。2人だけで助け合って生きて来た結果が今ってだけさ」

 

「ですが、彼は…」

 

「そう。カレンは唯一家族とも言える奴をなくしたんだ。任務が終わった後のあいつは抜け殻みたいだったよ」

 

緊張の糸が切れたんだろうなとぺぺさんは言っているが、それでなぜ鍛錬をすることに繋がったんだろうか

 

「でもね、1日経って悲しみが怒りに変わったんだろうね。ロイドさんに頼んで力を得るために念を習得したいらしい」

 

なるほど、納得がいった

 

「カレンさんはもう失いたくないんですね」

 

そう、彼女はもう大事な人がいなくなるのが嫌なんだろう

 

だから鍛錬する

 

動機は同情出来るものだが、それが彼女の生きる原動力になっているのだろう

 

可哀想だが、それが彼女にためになるのであれば、無理に慰めたりしないほうがいいだろう

 

俺が言ったら逆効果になってしまうかもしれない

 

なんていったって、俺が最初から出ていれば彼女の恋人は無事だったかもしれないのだから

 

ーーー

 

「ウリュウくんは基本的なことは出来ているようだね」

 

ロイドさんの言葉に努力は無駄じゃなかったと内心嬉しかった

 

「ありがとうございます」

 

「うんうん。でもねまだ粗削りだね」

 

ぅ゙っと思わず呻いてしまう

 

わかっていた

 

たかが1年半しか鍛錬していない俺はまだまだ初心者に毛が生えた程度なんだろう

 

俺は主人公などではないのだから

 

「これからは全ての念の段階を一段階ずつ上げていこう」

 

「一段階ずつですか?」

 

「ああ、急に念が上達するなんて世界中探してもほとんどいないだろう」

 

それはそうだろう

 

そんなことが出来るのは本当に才能がある奴だけだ

 

「でも安心してくれ。君の才能は良くて数百万人に一人の才能はあると思う」

 

「本当ですか!?」

 

それは嬉しいことを聞いた。いくらクルタ族と言っても本当に才能がある奴にはいくら努力しても辿りつけない領域というものがあるのだ

 

「ちなみに俺は数万人に一人で、ぺぺは一般人並みくらいの才能だ」

 

視界の端でぺぺさんが苦笑しているのが見えた

 

「俺が見てきた中でも君はダイヤの原石だ。俺が教えられることは全部教える。だからウリュウくん、しっかりついてきてくれよ?」

 

ニヤっと笑ったロイドさんに元気よく返事をして鍛錬を再開するのであった




師匠ポジ獲得(ロイドが)
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