あれから数日、痛みを「デメリット削除(痛いの痛いの飛んでけー!)」で消しながら、一応麻酔を定期的に刺してもらいながら過ごしていた
ただ過ごしていたわけじゃない
まずは監視をしている者たちについてだ
こいつらは茶髪と坊主頭以外にもいたのだ
基本的に担当は茶髪と坊主頭だが、他にも数人見張りがいることがわかった
そして24時間絶え間なく、トイレもお風呂も食事も全て監視されていた
流石はアングラな組織といったところだろうか、こういう規律は下手をしたらお硬い仕事よりもしっかりしているのかもしれない
見る限り自分が脱出出来る気配はまるでない
それならば、発なら出来るんじゃないかと思うが、現在進行系で開発出来ていなかった
いや、しようと思えばすぐにでも出来るだろう
しかし、この場では有効的な発かもしれないが、ここは漫画の世界だ
外に出た後のことも考えて能力を考えなければならないのだ
それゆえに、いまだに決心がつかずにいる
「(うーん。せめて系統がわかれば発も開発しやすいんだけどなー)」
監視員にコップと葉っぱくださいっていっても無理だし
食事が終わった後も食器とかはすぐに回収されちゃうしで、系統を確認出来る隙間がないのだ
「(こいつらマフィアっぽいのになんで統率取れてんだよ。軍人にでもなってろよ)」
心のなかで罵倒しながらどうしようか悩んでいると、何か周りが騒がしくなってきた
「(なんだ?何かあったのか?)」
視線の先には坊主頭に向かってコソコソ話している監視員Aがいた
坊主頭が内容を危機終えたのか、立ち上がってこちらに向かって来る
「…おい、やっとお役目がきたぞ。用意しろ」
急だった
まだまだ闇医者が来るには時間があると思っていたのだが、どうやらこの組織は幅をきかせられるくらいには大きいようだった
「(…マジか)」
油断していた。時間があるからこそ悠長に発の開発をしていたのだ
その前提条件が崩れてしまった
「(まずい。すぐに発を開発しないとっ!)」
考えながらも、坊主頭によって手枷足枷をつけられて車椅子で運ばれていく
どうやら、この場所は地下だったらしく、スロープを使いながら上の階へと昇っていく
手術をする場所は上の階にあるのだろう
2階、3階と昇っていって最終的に5階にある部屋へと入って行った
部屋の中には病院にあるような手術台があって、性能も素人目に同じくらいに見えるくらいだった
そしてその手術台の側には2人の人物がいた
一人はこの場にみつかわなくない好々爺だった
仕立ての良いスーツを着ていて、表情も孫を可愛がる孫馬鹿のようなものだった
もう一人はインテリ眼鏡といった男だ
こいつは手術着を着ていて、まさに今から手術しますよといった格好をしている
そんな2人を前に茶髪と坊主頭が頭を下げる
「…ボス、お待ち致しました」
「お待ちしましたッス」
そんな礼儀正しい挨拶に反応したのは好々爺だった
「うん。お疲れ様。ここまでご苦労だったね」
まさに部下を労う理想の上司といった風に答える好々爺
傍から見ると、ここが今から人の眼を奪い取る場所なのかと思うくらいほんわかとした空間だった
「ボンボヤージュ卿、そろそろ初めてもいいですかな」
そんなほんわかとした空間に冷めた声が響く
発したのはインテリ眼鏡だった
そんな不遜とも言える聞き方に好々爺、ボンボヤージュ卿は答える
「うん。いいよ。あ、でも失敗したらわかっているね?」
イントネーションは優しいのに、その内容はアングラな組織のボスに相応しいものだった
「ふっ、前任のヤブと一緒にしないでほしい。僕はこの界隈では1、2を争うくらいには優秀なのだよ」
ボスの脅しにも怯まず、さらに不遜な態度で答えるインテリ眼鏡だった
「うん。高いお金を払っているのだから期待はしているよ。じゃあ僕らは出ていようか」
そう言って坊主頭たちを促して部屋から出ていく
そうして2人きりになった部屋で拘束されながら手術台に寝そべっている患者に目を向けるインテリ眼鏡
「さて、これから君の残っている左眼を取っていくけど、安心しているといい。目が覚めた時には全て終わっている」
まぁ、そのときにはもう何も見えなくなっているだろうけどね
そう言って全身麻酔の注射を刺していく
目の前の患者の目が徐々に閉じられていく
麻酔が回る規定の時間が経って、闇医者は早速取り掛かろうとしたときそれは起こった
「なっ!?」
闇医者が驚いたのも無理はない
なぜならば、麻酔で眠っているはずの患者の眼が開いて自分を見ていたのだから
「なぜ…」
眼が開いていることにも驚いたが、闇医者が驚いたのは別のことだった
゛右眼゛がこちらを見ていたのだ
その眼は紅かった
それだけ聞くとクルタ族の緋の眼に思うかもしれないが、その眼には勾玉のような模様が入っていて、それが回転しながら闇医者を見ていた
ものの数秒
たったそれだけの時間で闇医者は意識を失ったのだった
ーーー
「はぁはぁはぁ。あ、危なかった」
冷や汗を流しながら俺は息を整えていた
俺は倒れた闇医者を見ながら思い出す
監禁部屋で坊主頭に手枷足枷をかけられて、車椅子に乗せられた段階から新しい発の開発を行っていた
新しい発に関してはすでに構想は出来ていたので、作るだけなら簡単だった
しかし、この発はいや、これらの発は運が作用するものだったのでうまく当たりを引けてよかった
ーーー
具現化系
「複数の眼(アイズスロット)」
能力
手に入れた眼をストックして使う能力
制約
この能力を使う前にスロットを回さなければならない
スロットで出た眼の能力を必ず使用しなければならない
誓約
この能力を使うためには眼がなくなっていなければならない
ーーー
ーーー
具現化系
「課金は家賃まで(ガチャ)」
能力
自身が知っている中からランダムで物が出てくる
制約
ガチャをするには課金しなくてはならない
課金はメモリの1割で10連が引ける
誓約
ガチャから出たものは10秒でこの世界から消失する
ーーー
この2つの発を開発した
まず最初に開発したのはガチャのほうだ
こっちの発でうまいこと脱出出来そうな能力が手に入ればラッキーと思ったのだがそう簡単にはいかなかった
メモリを減らすために制約と誓約を重くしたのが仇になった
貴重なメモリを1割使用して10連をしたのだが、そこで当たりは出たのだ
そう脱出出来そうな能力だ
しかし、それは誓約の10秒で消えてしまうものだったのだ
だからもう一つ発を作った
それが「複数の眼(アイズスロット)」だ
なぜ眼なのか
それはガチャで当たったのが写輪眼だったからだ
写輪眼とはNARUTOに出てくるうちは一族が持っている血継限界だ
その能力はあらゆる動きを見極め、眼が合った相手を幻術に落とすものだ
これだけでもだいぶ強力なのだが、さらに写輪眼にはもう一つ段階がある
これは個人差があるが、どれも固有の能力を有していて強力なものが多い
そんな写輪眼が当たったからこそ考えた
今すぐ有効で将来的に活躍出来そうな発を
それが「複数の眼(アイズスロット)」というわけだ
原作のカイトのように毎回スロットを回さなければならないが、それでも強力な発だろう
この2つと「デメリット削除(痛いの痛いの飛んでけー!)」でメモリは1割と少しだけだ
いくら制約と誓約を重くしてもこれ以上発は作れなさそうだった
まぁ、現時点ではだけどだ
その話はまた今度だ
今はここから脱出しなければならない
明らかに遅ければ様子を見にくることだってあり得るのだから
そうして俺はもう一度「複数の眼(アイズスロット)」を発動する
通常だったら、ここでルーレットが始まるのだが、現時点で持っている能力は写輪眼しかないので強制的にルーレットは写輪眼になった
「(俺の勘が正しければ…)」
そう考えて右眼の写輪眼に力を入れる
その瞬間写輪眼の勾玉の模様が手裏剣に近いものに変わった
「(ッ!?)」
瞬間ものすごい疲労感が襲ってきた
「(っく!確かうちは一族以外が写輪眼を使えば、体が拒否反応を起こすとかいわれてたな…)」
合点がいきながら、そのままもう一段上の写輪眼、万華鏡写輪眼の能力を使用した
その瞬間、俺の体が右眼に吸い込まれるように別の空間へと吸い込まれていった
「ぐえっ」
柱がいたるところにたっている薄暗い空間に俺はいた
「…」
キョロキョロしながら辺りを見回して俺は笑っていた
「くっくっく。くぁーっはっっはっはっはっは!」
いや大声を出して笑っていた
監禁されていた場所では声を出すことさえ警戒していた俺が大声で笑っている
なぜか?
それはここがもう安全な場所だからだ
「くっくっく。すぅーふぅー。…勝ったな」
俺は賭けに大勝利したのだ
身体は疲労感で酷いが、それよりも脱出したことと、これからのことを考えると自然と口角が上がってくる
俺が脱出した万華鏡写輪眼の能力、それの名前は神威
NARUTOに出てくる最終章のボスの一人であるうちはオビトの能力だ
その能力の内容は、自身の体を別次元へ転送して攻撃を無効化する「すり抜け」や視界内の標的を異空間へ強制的に吸い込む能力である
この能力があれば俺に攻撃は当たらないし、物だって自由に持ち運べる
まさしくSSRの写輪眼なのだ
ガチャで写輪眼が出てきたときは焦ったが、今は右眼に新しい眼が出来て見た目も普通に見えるし能力も破格のもので大大大勝利の内容だった
写輪眼ガチャって大事だよね