二回目のガチャ大会が終わった後、俺の日課に念能力の鍛錬の他に悪魔の実の能力の研鑽も加わった
凍らせる範囲や出力、技の昇華など、青◯ジを意識しながら鍛錬していた
まだまだ使いこなせてはいないだろうが、この鍛錬は楽しい
なんでかって?
念能力はオーラを消費して疲れるのに対して、悪魔の実の能力は実にもよるが疲労はほとんどないのだ
特に自然系の能力はいくら使用しても単純な運動以外に疲れないのである
他の作品だと何かエネルギーを消費するのにこれだけでもチートだろう
先に念の鍛錬をしてその後に悪魔の実の能力を鍛錬する
このサイクルが一ヶ月ほど続いていた
しかし、そろそろ外に出ようと考えている
限界だったのだ
神威の空間であるこの無機質な場所で鍛錬と生活をするだけはもう嫌だったのだ
ちょくちょく外にいるマフィアたちへの細工は済んでいる
ならばあとはお礼と返礼を貰うだけで世界へと羽ばたいていくのだ
そしてその計画は明日にしようと考えていた
理由としては、明日の夜にマフィアの大部分を集めて集会をするようにあのボスに暗示をかけていたのだ
写輪眼マジ便利
これで、マフィアたちのほとんどが俺が囚われていた屋内に集められるのだ
俺の存在を知るものは少ないほどいい
それも突然消えた子どものクルタ族のことなんて
決戦は明日
準備は万端だ
ーーー
計画当日
その日、マフィアの幹部から下っ端までボスのいるところに呼び出されていた
何をするのか聞かされているものはいなく、疑問の表情を浮かべる者もいるが口にはしない
ファミリーのボスであるボスの命令は絶対なのだ
その中でも最近下っ端から幹部への出世街道を突き進んでいる男
そう、監禁部屋で主人公を見張っていた坊主頭だ
坊主頭は手術室で主人公を最後に見たあと、特にボスに罰せられることもなく生活していた
それは当然だろう
ボスに言われたことを全て終えた後のことだったので、闇医者以外はちゃんと仕事をしただけなのである
まぁ、闇医者は悲惨な最後を迎えたようだったが
そうして主人公が消え去った後、坊主頭は普段通り生活していたが
あるとき白い生き物に会ったのだ
その白い生き物は坊主頭の願いを叶えてくれて、ファミリーの中でもボスに重宝される存在となっていたのである
それからの坊主頭の人生は順風満帆だった
茶髪などの同期たちには羨望や嫉妬の視線を向けられられるが、立場が固まってきており、次の幹部候補として見られていた
そんなときにボスがファミリーを集めての集会だ
自分よりも立場が上の者たちも聞かされていないらしく疑問が浮かぶが、参加しないわけにはいかない
そうして開始の時間となって、避難先でもある学校の体育館くらいの大きさの地下講堂に全ての構成員が集まった
司会が段取りについて説明をしてボスに挨拶を頼む
ボスはいつもの好々爺のような表情で総勢1000人にもなるファミリーの前で挨拶をする
「あー、うん。みんなよく集まってくれたね。今日は…うん?今日はあれ?なんだっけな?」
ボスが挨拶しようとして、何を言うか忘れたのか戸惑っている
その様子に構成員たちはざわざわとしてしまうが、ほとんどの者はボケてきたのか?と考えていた
そこから数秒後、急にハッとなったボスは焦った声で言う
「お前たち今すぐ私を守れっ!」
突然の命令に構成員たちはポカンとする
しかし、それを責めるのは酷というものだろう
わざわざボスがファミリーを集めたというのに、そのボスがいきなり自分を守れと言ってくるのだ
状況を理解しろというのはよほどの訓練を受けた者でも難しい話だ
誰も彼もが動けない中、一人動く者がいた
坊主頭だった
坊主頭は比較的ボスの近くにいたというのもあるが、それでも動けたのは念に目覚めて、ある程度戦闘にも慣れたからだろうか
「ボ、ボス。いったいどうしたというんですか?」
ファミリーの中でも古参である幹部が代表してボスに質問をする
「あ、あいつが来る!」
「あいつ、ですか…?」
古参の幹部はボスが何を言っているのかまったくわからないでいた
そうしてボスがあいつとやらの話をする
「あ、あいつだ!クルタ族のあい「氷結時代(アイス・エイジ)」つだ…」
ボスが正体を言おうとした瞬間、体育館ほどの空間が一気に凍った
ただ凍ったのではない
まるで太古の時代のように環境が変わったのだ
ボンボヤージュファミリーのほとんどの構成員はそこで命が終えていた
残っていたのは坊主頭とボスだけであった
坊主頭が自身の発で自分とボスを守っていたのだ
坊主頭は混乱していた
反射的に発を発動して防御したが、自分が相手にしてきた者たちにここまで強力な力を使う者はいなかった
そう。この坊主頭は念を使えるようになってから、念能力者との戦闘も経験してきたが、ここまで広範囲の念能力を見るのは初めてだった
呼吸をするだけでまるで山頂にいるくらい体が凍っているような感じだ
自身の背後に庇っているボスも非常に寒そうに手を擦っているのが見えた
こんな現象を引き起こした存在を見ようと攻撃の起点に目を向けると、そこには一人の少年がいた
その少年を見て坊主頭は目を見開く
最後に会ったときよりもいくらか背が伸びて、顔つきも少年から青年に変わる過程にいるようだが、坊主頭はこの少年に見覚えがあった
約1年前だ
ボスがクルタ族の眼がほしいと言って、誘拐されてきたクルタ族の少年
残っていた左眼を取り出そうとして、いつの間にか忽然と消えていた少年
いなくなったときにボスが珍しく怒って、闇医者を拷問の末に殺して、大慌てでファミリー全員で探しに行った少年
その少年が攻撃の起点であろう場所にいたのだ
体から冷気を発しながら明らかに犯人ですとでもいうような体勢をとっている
それだけでも犯人と確信出来ていたが、坊主頭の目には少年から発せられているオーラが読み取れていた
攻撃よりも少年が念能力者になっていることに驚きが勝っている
自分が念能力を手に入れて、少ししてから師匠のような者に出会うことが出来て、四大行や応用技、六系統についても教えてもらって、自分に才能があることもわかった
だが自分は浮かれていたのだろう
才能があると言われて思い上がっていた
「(あのクソジジイ、何がお前は数万人に一人の才能がある、だ!こいつと比べたら俺なんてその辺のゴロツキにしか思えねーぞ!?)」
少しでも念の才能があるからこそわかる。目の前のこの少年の才能は自分が何人いてもたどり着けないだろう
しかも、鍛錬もしっかりしているのか、オーラに澱みがないのだ
はっきり言って正攻法で戦っても勝てる気がしない
「(けどよ、才能だけが戦いじゃない。そうだよなクソジジイ)」
坊主頭は師匠であるクソジジイに言われていたことを思い出しながら、発を展開する
坊主頭の系統は強化系
そして発は白い生き物に唆されたとはいえ運が良かったのか、強化系の使い勝手の良い発を開発していたのだ
ーーー
強化系、操作系
「布瀑布(ハンドメイド)」
能力
布を自在に操作して、単純に強化したり形を変えたりと応用きくようになる
制約
布は自身で用意しなければならない
布が出来ないことは出来ない
誓約
一ヶ月に一度自身で布を使った作品を作らなければならない
ーーー
偶然とはいえ、自分に合っている発を作れたものだと苦笑しながら構える
「ボス俺の後ろに隠れていてください。必ず守ってみせますので」
ボスからの返答はないが、どうせなら美人の女に言いたかったセリフだぜと思いながら目線を少年に向けたときにそれは起きた
ドン
何かが自身に当たったかと思えば、胸の辺りが熱くなってきた
視線を少年から後ろに向けると、守っていたはずのボスが自分の背中にナイフを刺していた
「な、んでだよ、ボス…」
そう言ったときにはもう坊主頭の意識は闇の中へ消えていった
ドサッと音にボスはハッとして倒れている坊主頭を見た
「なぜ倒れているんだ?」
その一言に尽きた
自分を守ってくれていた部下がいつの間にか倒れていた
背中からは血がドクドクと流れていて、何故か自分は血まみれのナイフを握っている
ボスの頭の中は混乱しかしていなかった
なぜ、どうして、ナイフがなぜ
と確実に自身が刺したであろう状況に混乱しているのだ
そうして、ふと視線の端にいた見覚えのある少年に視線を向ける
自分には刺した記憶はない、ならば唯一ここにいる人間が犯人だろう
そう結論つけてボスは怒りの声を上げる
「き、貴様がやったのか!?」
顔を真っ赤にして怒鳴るボス
その声に少年は何がおもしろいのか、笑いながら答える
「くっくっく。笑えるなお前。自分じゃないなら犯人はあいつだってか?」
「そうに決まっているだろう!私がファミリーの人間を意味もなしに傷つけるものかぁ!」
少年の態度が癪に障ったのか、さらに大きい声で言うボス
血管が切れちゃうくらいには怒っている様子だ
「それに貴様っ何をしたのか知らんが私を操ってファミリーを集めさせたな!?」
少年はボスというだけあって、頭は切れるんだなと思いながらボスの話を聞き続ける
「なんてことをしてくれたのだ!私の大事な家族だったのだぞ!元に戻せっ」
「いやいや無理だって」
「なんだと!?」
もしかしたら、氷漬けのおかげで溶かせばなんとかなるかもしれないが、そんなことさせるわけもない
「普通、自分の眼を奪ったやつの話なんて聞くわけばいでしょ」
「うるさい!この私がやれと言っているのだっ!モルモット風情が口答えをするな!」
今のボスの発言を受けて少年の表情が消えた
「もういいや。これ以上話ていても俺のストレスが溜まるばかりだわ」
そう言って少年が指を鳴らす
ボスはいきなりなんだ?と考える暇もなく自身の体が勝手に動くことに驚いていた
「なんだこれはっ!?」
その問いに少年は答えない
ただ少年の右眼が紅く輝いているだけだった
そうして、部下を刺したナイフを自分で自分に向けているという傍から見たら自殺でもするのかという状況にボスは暴れようとする
しかし体が自分の思い通りに動かないのだ
「他人の眼を奪うほど好きなんだろ?なら、自分の眼でも抉ってろ」
そうして少年がもう一度指を鳴らすと、ナイフはボスの右眼に勢い良く突っ込まれる
「やめろ、やめろ、やめろおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ザクリとナイフが刺さった瞬間、ボスの絶叫は止まりびくんと体が震えた後に床へと倒れるのであった
因果応報