通算3度目の人生、平穏に過ごしていたら帰ってきた幼馴染と一緒に林業をすることになりました   作:妖怪種火寄越せおじさん

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お久しぶりです。
思いついたり消したり思いついたり消したりでウジウジ悩みながら書いて期間が空きました。


価値の証明

 視界を埋め尽くすのは温度を奪う極寒の風。

 通常の人間なら数分と経たずに凍死しかねない低温の地獄の前に、俺は居た。

 

『こちら管制室。通信状況はどうだい?』

 

「こちらレイヴン。出撃前のテストは問題ない。どうぞ」

 

『了解! では出撃準備を開始してくれ!!』

 

 若干のノイズ混じった音声が頭部に取り付けたインターフェイスから流れる。

 それに返答して俺は義肢の上から全身を覆うように装着された追加パーツを起動させる。

 

『メインシステム、戦闘モードに移行中』

 

 飽きるほどに聞いたあの声が脳内に流れ、各部が起動する。

 

『コア・エネルギ―循環開始。ジェネレーターへ接続』

 

『ジェネレーター出力安定度確認・出力レギュレーションを戦闘モードへ移行』

 

 身体の底から何かが『汲み上げられ』、ソレがジェネレーターを経由して全身を纏う武装へと行き渡るのを感じる。

 

『エネルギー循環開始・漏洩なし』

 

 外骨格のような武装を奔るラインに血のように赤黒く、しかし煌々と輝きを放つ光が灯る。

 

『各部ブースター充填確認・推進剤100%充填完了。圧力正常』

 

『出力リミッター・100%解除。オーバークロック許容』

 

『各武装エネルギー充填確認・充填率100%完了。損失ナシ』

 

 そのラインを伝う光が各武装、各ブースターへと伝わり熱がこもり始める。

 出撃ハッチに入り込んできた雪混じりの強風の温度がブースターから漏れ出る熱によって上昇し、溶けていく。

 

『安全装置・解除。全兵装、射撃可能』

 

『FCSアルゴリズム・追尾及び予測偏差演算プロセスの起動』

 

『射撃管制システム・問題なし』

 

『IFF・同期開始。非登録機を敵性に指定』

 

『背面武装のロックオンシステム回路・起動』

 

 HUDの表記が索敵・巡回用から戦闘用へと切り替わり、背面の2連グレネードキャノンが射撃状態に入った。

 

『頭部センサー、及び通信接続・問題なし』

 

『システムオールグリーン。戦闘モード起動』

 

 インターフェース端の文字がCLEARへと切り替わったのを確認して、ブースターに意識を向ける。

 一瞬の浮遊感と共に、普通の肉体なら潰れている筈の加速が身体に掛かる。

 

 後ろへ流れるハッチ、加速する視界、近づく白銀の大地。

 

 獣のような形状の2つの脚は着地の衝撃を完璧に受け止め、僅かな慣性の後を地面に遺して停止した。

 

『C4-621、これより周辺の探索及び敵性生物の調査を開始する』

 

 んじゃ、きっちり価値を証明して見せましょうかね。

 

 

 

 

 

「……行ってしまった! 本当に行ってしまったぞ! なんだねあの移動速度は!? サーヴァントのそれとも違う、あの暴力的な推進力は! 技術顧問、本当にあの男を野放しにしてよかったのかね!?」

 

 シャドウ・ボーダーの管制室。

 新所長となったゴルドルフ・ムジークの声が響き渡る。

 無理もない。全く交流の無い彼にとって、いやそうでなくとも、組織の長としていきなり降って湧いたような戦力を信用できるわけがない。

 

 それを感心したように顎に手を当てながらモニターのログを見つめるダ・ヴィンチが宥める。

 

「まあまあ、そう怒らないでおくれ新所長。見たまえよこのデーターを。このマイナス100度の極寒地獄に、耐寒装備もなしで音速で索敵ができる『人間大の要塞』がリソースを消耗することなく動かせているんだ。藤丸君もマシュも今はおいそれと動かせない以上、これ以上ない適任さ。それに、地形データーも地面の僅かなヘコミまで再現して送られてきているときた。優秀な観測手としても申し分ない」

 

「データが取れれば良いという問題ではない! 私はカルデアの新所長だぞ!? 事情聴取の手続きも、素性の調査もしていない、剰えカルデアの正式な招待も受けていない正体不明の男を、この極限状況で単独行動させるなど組織のトップとしても看過できん! これがもし異星の神の手先だったらどうするんだ!!」

 

 長として、組織としての正論で返されるその言葉を、今度は別の声が受け流す。

 

『うーん、所長。ボーダーのセンサーが捉えている彼のブースターから出力されるエネルギーね、このシャドウ・ボーダーの主機関の凡そ3分の1に迫るってるんだよね。もし、彼が私達を裏切る気なら、脱出の瞬間に私達を全滅させてるんじゃないかな?』

 

「そうそう、小さい私の言う通りさ。それに彼がカルデアに来てから数日の間、人となりはそれなりに見てきた。普通の高校生らしい平凡な男の子だったよ。ただ、まさかあんな駆動系と不思議極まるエネルギーを隠し持っていたなんて、流石の私も予想外だったけどね」

 

「そこだ! お前たちも見ていただろう! あの脱出の時の姿を! 腕や足が鋼鉄の異形に変貌し、背中には物騒な鉄くずを背負い……何よりあの、計器を狂わせる不気味な『赤い火』は何なのだ!? 魔術でも化学でもない、あんな獰猛なエネルギー、私は見たことが無いぞ!」

 

 ゴルドルフの言葉に、大人のダ・ヴィンチは送信されるデーターの一部を見つめながら少し真剣な目つきになる。

 

「……うん。確かにあのエネルギーの波形は、地球上のどの魔術属性にも、カルデアのどの術式にも該当しない圧倒的な密度を持った未知の熱源だ。万能の天才たる私をもってしても、あの火の正体だけは今の所全く解析できていないよ」

 

「解析できない!? 万能の天才がか!? そんな怪物を、何故あのマスターは招いたんだ! 聞いた話では幼馴染だというが、まさか、本物の幼馴染は既に異星の神に消されて、中身はトンでもない化け物と入れ替わっているんじゃ……!」

 

 その言葉を否定するように、ホームズが管制室の隅でパイプの煙をくゆらせながら口を開いた。その視線は、モニターの中心で光る緑の点――現在も外で情報を収集している彼に向けられている。

 

「いいえ、ゴルドルフ所長。私の観察眼が告げているのは、彼の精神は『少々達観した青年』そのもの。ですが、染みついたような身のこなしと、視線の向け方は紛うことなく荒事を知っている者の動きです。彼は『普通の人間』としての佇まいの中に、『過酷な戦場のシステム』を侵食されながらも生きている。そんな歪な印象を受けます」

 

「……戦場のシステムに、侵食されている?」

 

 ホームズの、ゴルドルフの言葉を引き継ぐようにダヴィンチが続ける。

 

「そう、それなのに彼はちっとも狂気に陥っていない。普通の青年としての精神のまま、ただ藤丸君の安全と我々の生存だけを見据えて、『仕事』としてこなそうとしている。……彼を此処に招く様に提言した彼女も、人理漂白を解決するためのイレギュラーとして彼を此処に呼んだのさ」

 

 それを聞いたゴルドルフは苦虫をかみつぶしたような表情で唸りながら、ある結論へたどり着く。

 

「……いや、待てよ? 普通の高校生の子ども。だといったな? つまり、そんな普通の生活を送る中でも戦場の心構えが染みついてしまうくらいの過酷な戦場を生き抜いてきたという事だろう……? 経営顧問の言う年の割に達観しているというのも、そのせいなのか……!?」

 

 妙な方向へと向かってはいるが、優しさの含まれたその呟きにダ・ヴィンチは目を丸くして彼の方を向いた。

 

「ふ、ふん! ムジークの家名にかけて、私の部下の身内、それもあのような姿になって尚我々に協力を惜しまない青年をこんな凍土で犬死させるわけにはいかんと言っているのだ! それにまだ未成年の子どもだろうが! バイタルの一ミリの異常も見逃さずモニターを続け、戻ってきたら上等な非常用食料の手配と十分な休息を取らせることだ!! 良いな技術顧問に経営顧問!」

 

「もちろんさ! 『万能の天才』の腕の見せ所だね。何より他の医療・技術スタッフもいるから、彼の義肢も身体のメンテナンスも含めて、バッチリサポートさせてもらうさ」

 

 気恥ずかしさのあまりかそっぽを向いたゴルドルフの言葉を受け、彼女たちは少し笑みをこぼしながら頷くと、再びモニターの方へと視線を向ける。そこには相変わらず地形と彼の心身のデーター。

 

『こちらレイヴン。シャドウ・ボーダー、応答を願う』

 

「こちらシャドウ・ボーダー。どうしたんだい? 何か問題でも――」

 

『敵正反応複数検知』

 

「何を――」

 

 言っているんだい? まだ此方のレーダーには何も映っていないよ。

 そう返そうとした言葉を、遅れながらレーダー上に現れた複数の点が押し込めた。

 

「こっちでも確認した! いくらその武装が協力であってもこれだけの数を相手に一人では無謀だ! すぐに撤退するんだ!」

 

『ネガティヴ。後退の必要性を認めない。後退すれば追いかけて来るのが獣の性。これだけの数がそちらに向かえばボーダーに損害を与えかねない。此処で排除するのが最も効率的だ』

 

 その言葉にいち早く反応したのはゴルドルフだった。

 マイクを掴み、必死に叫ぶ。

 

「効率だと!? お前はまだティーンのガキだろうが! 自分の命を何だと思っているんだ!」

 

 その訴えとは対照的に、彼の返答は何処までも冷静な物だった。

 

『大丈夫だ、新所長。心配には及ばない。独立傭兵レイヴン、これより兵装(アセンブル)の性能試験も兼ねて、敵性生物の排除を開始する』

 

 通信が途切れると同時に、マップ上の緑の点がレーダー上で固まっている複数の点に急接近し、次々と消し去っていく。

 

『……彼の周囲の温度が急上昇している。マイナス100度の猛吹雪を完全に焼き尽くしながら加速しているよ』

 

 呆然と呟く幼いダ・ヴィンチの声を聴きながらホームズは笑みを浮かべた。

 

「どうやら心配は不要のようだ、ゴルドルフ所長。あの少年は今、自分の精神を完全に『任務を果たす兵士(ソルジャー)』へと切り替えた。刮目しましょう。我々の知らない彼の闘争と言うものを」

 

 未だに不安の色を拭えないゴルドルフを他所に、2人――否3人は期待の眼差しでモニターを見つめる。

 その中心では、緑色の点が早送りのような速度で点の塊の中を駆け回っていた。




最初のシステムチェックいる……? いる!! 書きたいから!!!(自問自答)

と言う感じで、自分のロマン詰め込みセットで進めていくので宜しくお願いします。


キャラの理解が浅いとかは勘弁してください……(小声)
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