龍姫は理想郷を作らない   作:龍姫の琴音

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第七話テンペストの理念

進化して浮き足立っている皆の前に琴音、大賢者、ヴェルドラ、リグルド、ランガが立つ

 

「今より、この村は暴風竜ヴェルドラが守護する村『テンペスト』となりました

今まではゴブリン族だけの村だったけど、これからは嵐牙狼族(テンペスト・ウルフ)も加わり、異種族同士の共同生活が始まります」

 

共同生活となれば種族間の認識の違いなので問題が発生する可能性がある。そのため、共同生活を送る上でルールが必要だ

 

「みんなには共同生活をする上で守ってほしい三つのルールがあります

 

一つ、人と魔物を差別しない

二つ、相手を見下さない

三つ、テンペストの中では皆が平等である事」

 

発表されたルールに皆は困惑する中、リグルは手を挙げる

 

「質問良いですか?」

 

「どうぞ」

 

「どうして人間も差別してはいけないのですか?」

 

「こ、こらリグル!」

 

リグルド怒ろうとするが琴音は首を横に振った

 

「良いのよリグルド。むしろ、ルールをそのまま受け入れずに疑問を持ってくれた事が私は嬉しいわ」

 

理由も言わないで分かりましたと言われるより、何故?と疑問に思ってくれた方がありがたい

 

「リグルは最初、牙狼族は憎い相手として思っていなかったでしょう?」

 

琴音の質問にリグルは頷く

 

「でも、牙狼族の事情を知って牙狼族も自分達と一緒で精一杯生きようとしていた事を知った。事情を知らなかったらこうして隣に並ぶ事なんてなかったでしょう」

 

リグルは隣に座っている嵐牙狼族(テンペスト・ウルフ)を見る

 

「そうですね。事情を知らなければきっと今でも憎んでいたと思います」

 

「自分とは違う種族だから、相手が人間だから。そんな理由だけで相手を決めつけて差別するのは駄目。まずは対話を試みる。好意的な相手なら仲良くなる事で双方が得をする事もある

でも、相手がこちらを差別してきたり、敵意を向けてきたら話な別。自分の命と仲間の命を守るために全力で抵抗しなさい」

 

琴音は誰彼構わずに仲良くしようとは思っていない。友好的な態度にはこちらも友好的な態度で応える

だが、仲間を傷つけようとする者には容赦しない

 

『友好には友好を、敵対には敵対を』

 

それが琴音の心情である

 

「分かりました!」

 

リグルは琴音の説明を聞いてリグルは納得し、他のみんなも納得したように頷く

 

「他に質問がある人はいる?」

 

「はい!」

 

次に手を挙げたのはゴブタだ

 

「相手を見下さないというのは?」

 

「貴方達は名付けによって進化して強くなった。でも、だからと言って他の魔物や人間を見下すような事はしないでほしい

もし、目の前に助けを求める魔物や人間がいたなら手を差し伸べてあげてほしい。私やヴェルドラがこの村の守護者になったように今度は貴方達が守られる側から守る側になってほしい」

 

「分かりましたっす!」

 

その言葉に皆が真剣な表情になって頷く

 

「その意気よ。最後に、三つ目のルールについて

この村ではみんながそれぞれの役割を持っており、この村を守るために必要な存在

力のある者は自分より弱い者を守る。知恵のある者はその知恵を知らない者に教える

そうやって自分の役目を果たし、自分が出来ない事は仲間に頼る。頼り、頼られる関係だから誰も偉い訳ではない。だからテンペストでは私を含めたみんなが平等なの」

 

三つのルールとそのルールに込められた想いを聞いたみんなは琴音の言葉に賛同して強く頷く

 

みんなの賛同を得た琴音は次の話へと議題を進める

 

「じゃあ、次にこの村の問題点について」

 

そう言って琴音は村の方を見る

 

決して立派とは言えない建物

布を繋ぎ合わせただけの服

数が少なく、ボロボロになっている武器や道具

 

「まずは環境整備かな。リグルド、この村に技術者はいる?」

 

「いえ、技術者はいませんが何度か取引した事のある者達がおります。その方達でしたら衣料の調達や家の造り方の存じておるやもしれません」

 

「そうなると直接会う必要があるね。その者達はどこの誰なの?」

 

「はい。ドワルゴンという国に住むドワーフ族です」

 

「分かった。私が直接ドワルゴンに行ってみる。リグルドは村長としてこの村をお願い」

 

「お任せください!」

 

「ヴェルドラはこの村の防衛、大賢者さんはもし村に入りたいという希望者がいた場合の対応をお願い」

 

「クハハ!防衛なら任せておけ!」

 

「かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ琴音様」

 

方針が決まると琴音はリグル、ゴブタ達四人と嵐牙狼族(テンペスト・ウルフ)から四匹を選抜する。ドワルゴンまでは嵐牙狼族(テンペスト・ウルフ)の背に乗って向かう事にした

 

「それじゃあ、行ってきます!」

 

「いってらっしゃいませ!」

 

琴音はランガの背に飛び乗り、みんなからの見送りを受けながら琴音達はドワルゴンに向けて出発した

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