『楽しい悲鳴』   作:悦の煮浸し

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さあさあ! 始まってまいりました『悲鳴』!
今回は記念すべき初放送ですよぉ~! ほらほらボーっとしてないで拍手拍手!

うぉ~い!いぇ~い!サンキュー!

というわけでして番組の説明をいたします前にぃ? あれ、どうしました?
ふむふむ…『説明なんて面倒な事よりさっさと愉悦に浸らせてくれ』ってぇえええ?

そ~んな欲張りなお客様はあなたが初めてでございます!

さぁさ、たのし~い悲鳴を~~~


一人目『タイムリーパー』

 

 

─────────────どうしようも無く、あなたのことが好きでした。

なんで、あなたのことが好きなのかも、もう忘れてしまった。

わたしは頭が悪いから、よくお母さんに言われてたっけ。

 

『もし大事なことを忘れてしまったら、思い出せる一番最初の記憶から今までを辿っていくの。』

『そうすればきっと………』

 

大事なことを、思い出せる。

きっと、過去を紐解いていけば、あなたの事ももっと思い出せるでしょうか。

 

あなたは私の生まれた村で、一番の悪童でしたね。

あなたは人と一緒にいる事が苦手で、誰も近寄らせない人でした。

村の外には危険な魔獣がいて、大きな町からこの村の護衛に来ている大人だって、魔獣とは戦いたがらなかったのに。

 

あなたは村の外で、魔獣の死体をよく漁っていましたね。

学校にも通っていなかったのに小さいころからとても頭が良かったあなたは、村の大人たちでも思いつかないような方法で、村を襲ってきた魔獣たちを追い返していましたね。

あの頃の私は、あなたがとてもすごい人に見えていました。

私と同じくらいしか生きていないのに、大人に認められていて、とてもすごい賢人のような人だなと、思っていました。

 

でも、私は見てしまったんです。

あなたが魔獣の死体を命の危険に震えて、泣きながらも決して研究をあきらめない姿を。

力がないのに、魔獣に襲われていた人を背負って逃げていた姿を。

私と顔を合わせた後は、必ず一人で泣いてしまう背中を。

私はあなたが決して強い人ではないことを知りました。

 

私の目が、弱いあなたを捉えてから、幾年の時が過ぎたでしょうか。

あなたは何年も、魔獣、盗賊、貴族から、村の人が思いつかないような奇策で村を守ってくれました。

 

あなたは成人して、村を出ていく選択をしましたね。

私にとても酷い約束をして。

 

あなたがいない時は、過ぎて行くのがとても長く感じました。

生まれた子供には、あなたと私の名前からとって、あなたとの約束通りに付けました。

子供が大きくなって、村の人に手伝ってもらいながら、世話に掛かり切りだった私が、再び一人になったころ、あなたは帰ってきてくれました。

 

そして、私を縛り付けたとても酷い約束を、きちんと果たしてくれました。

 

あなたは、ようやく過去を振り切って、私に会いに来てくれました。

そうでしたね、あなたがまだ一人の子供だったとき、私とは一度も話をしてくれませんでした。

いつも泣きそうで、苦い顔をするあなたは、とても辛そうでした。

私も、あなたのそんな顔を見ると、訳のわからないまま、胸が苦しくなって、あなたを抱きしめてあげたくなるんです。

 

あなたの変わらないその表情は、今でも胸が苦しくなってしまうけど。

あなたと一緒になれた、これからは、きっと、今度こそ、あなたにそんな顔はさせないから─────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、あいつ何がしたかったんだろうな」

「しらねぇよ、興味もねぇし。」

「だって気になるじゃねぇか、俺たちのアジトに着た途端に自害するとかよぉ」

「お前も随分暇になったんだなぁ。昔は一人のガキで遊ぶのにご執心だったくせによ」

「ばっ、おまっ、それは言うなよ~それなりに思い出したくねぇ思い出なんだからよぉ」

「なんでだ? あん時はお前『それなりに楽しかったわ~w』つってただろうよ」

「いや、それがな? いい女で遊ぶか~って拉致ったらそのガキが助けてくれるってずっと喚いてよぉ…あんま泣かねぇし、萎えた時があったんだよぉ」

「そりゃお前www完全に負けてんじゃねぇかwwwうわ~、おもちゃに男として負けるとかwwwwwww」

「おぉ~いぃ~! わ~ら~う~な~よぉ~!!!」

「今度飲み会でネタにしてやんよwww安心しなwww」

「おいてめぇ~~~!」

 

 

 

 

 

二人の男はアジトの中へと歩いて宵闇へと消えてった。




さぁさ! 楽しめましたでしょうか!!??

本日の楽しい悲鳴は以上で~す!!!

え? なに? 悲鳴がないって???
そんなん俺に言うなよ! これ撮って来てんのスタッフだから! 俺じゃねぇし!

え? なんだよスタッフ? えー? なんだよそれぇ!
事実が悲惨だったからって悲鳴を上げた判定になるわけねぇだろ!!! あたまおかしいんじゃないんですかぁ!?

視聴者のみんなもこんなスタッフ消しちまえ! 抗議の声をあげるんだよっ! ハリアップ!

じゃあ俺の意見をだせって?
そりゃあもちろん今の二人をもっと情緒的に編集してぇ、二人で天国に行くかと思ったらぁ~……地獄で絶対に心が壊れないまま相手が一生寝取られるのがいいなぁ~!!!

……は? 長いうえにそれはただのエロ漫画だろって?

うるせぇ知るか!!! 俺はこれで銭ころもらって生きてんだよっ!!!!!!

じゃあしゃべる事がなくなったんで、また来週~~~~!!!!
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