『楽しい悲鳴』 作:悦の煮浸し
……あれ、拍手がございませんね? お忘れになってしまったんですかぁ……? 悲しいですっ、あんなに激しく求めたのにぃ!
おぉ! やはりお忘れになどなっていなかったんですね!
皆様ならこの番組の再開を心待ちにしていただけていると確信していましたとも! えぇ!
ではぁ? 前回し損ねてしまったこの番組『悲鳴』の解説をしていっきま~す!
え~、「本番組は、ご覧のスポンサーの影響で放送しております」
スタッフ~? このカンペなにぃ? あー、演出家がサボったからテキトーに書いといたぁ?
あ? 編集で何とかする? お前ら前回の映像の編集クソヘタクソだったじゃねぇか! いっち番信用できねぇよ!
御見苦しぃーい所をお見せしましたぁ~がぁ…!
では、たのしい悲鳴を~~~
物心がついたのは、お母さんに殴られた日だった。
でも一緒に嬉しかったこともあった。
お母さんに、見てもらえた。
僕は毎朝、お父さんがご飯を用意してくれるいい音と匂いで目が覚める。
ご飯を食べる机にはおいしそうな朝ごはんが並んでいて、ついつい何もしないで沢山食べたくなっちゃうけど……
「メディア様、本日もおいしい食材をありがとうございます!」
「よし、食べていいぞ」
「わーい!」
メディア様に感謝をお伝えしないと、お父さんに怒られちゃから、きちんと感謝しなきゃ!
お父さんはしんじん? のふかーい人で、つまりは教会の神父様!
この街で一番偉いんだ! あ、でもお貴族様よりは偉くないけど……でもお父さんの方がすごいし! おいしいご飯だって作れるもんね!
あれ、今日は何の日だったっけ……?
「あっ!」
「? どうかしたのか?」
「今日はお兄ちゃんと遊ぶんだった!」
「あぁ、孤児院の……」
「そう! 今週の愛の日に、楽観の日に遊ぼうって約束してたの!」
「そうか、気を付けるんだぞ。」
「うん!」
急いで朝ご飯を食べて、出かける準備をしなくちゃ
今日は何をして遊ぼうかな~なんて考えながら、お兄ちゃんのところに歩いていると変なおじいさんが話しかけてきた。
なにか言ってるけど、まぁ僕には手が届かないから無視してもいっか。
でも変だなぁ、最近この道で人に話しかけられるなんて事なかったのに。
あ! もしかして遊んでくれる人が欲しかったのかな?
ごめんね、今日はお兄ちゃんと遊ぶから………でも今度一緒に遊ぼうね! 僕もいっぱい頑張るから!
『お、来たか』
ありゃ、そんな事考えてる内についちゃったみたい。
「来たよー! 今日は何で遊ぶー?」
『そうだなー…今日はかくれんぼなんてどうだ?』
「えー、もうかくれんぼと鬼ごっこは飽きたよぉ」
『俺は好きなんだけどなー…お前は何で遊びたいんだ?』
「昨日あんまり眠れ無かったから、お兄ちゃんの腕を借りてお昼寝したい!」
『ここ最近そればっかりじゃねーか……お前ちゃんと寝れてんの?』
「うぅーん、だって深夜は体が勝手に動いちゃうんだもん!」
『だとしてももうダーメ。まだ日が上ったばっかりだし、そろそろやめないと習慣づいちゃうからな』
「ちぇっ。」
『ぼやいてもダメなもんはダメだからな。』
「じゃあーぁー……絵本読んで!」
『……背中で寝たりしないよな?』
「………お話が面白かったら寝ないにょ」
『嚙んでる上にめちゃくちゃ目ぇそらしてるじゃねぇか。今日は膝の上な』
「えー! やだぁー!」
『我慢しなさい。』
「………しょーがないなぁ。僕は寛大だから、許してあげるんだからね! もうっ!」
『はいはい、じゃあ何の絵本がいいんだ?』
「うーんとねぇ~」
「…………あれ? お兄ちゃん寝たの?」
目が覚めると窓からが夜空が見えて、お兄ちゃんが横で眠っちゃってた。
僕にあれだけ色々言っておきながら、どーせ自分も眠くて寝ちゃったんだ。
まったく。人にお昼寝はよくないって言うくせに自分はお昼寝してる………ずるい
次はこの事でお兄ちゃんを言い負かさなきゃね! お姉ちゃんかもしれないけど!
「じゃあ、今日はこの辺で帰るねぇ……と、耳元で囁いてみたりする」
でもお兄ちゃんは起きなかった。
「ただいまー」
「あぁ、おかえり」
「これ、今日の分」
「………問題ない。いつもすまないな」
「んーん? だって遊んでる時の感想でしょ? そんなのでよかったらいくらでも書くよ!」
「いや、これだけで十分だ。夜ご飯ができてるから、それを食べて寝なさい」
「はーい!」
「しかし、我が息子ながら末恐ろしいな」
血の斑点が
今日は隣街の孤児院から拉致してきた齢16の好青年を拷問してきたようだ。
八日間における絶食と絶水で死んでいるかと思っていたが、存外行き汚く放置された前回の少女を食い散らかして生きていたか。
「本当に面白いなぁ、このレポートは………」
私の生きがいであり、人生の全てになったこのレポート。
初めこそ息子を王国騎士団の詰所に突き出したが、すべての騎士団員を半殺しにして教会の地下牢へと押し込んだ。
まさか昔使われていた地下牢を私も知らない間に使っているなんて思いもよらなかった。
それ以降息子はより逞しく成長していった。
はじめはこの街の人を両若男女問わずに拉致、拷問、殺害を繰り返した。
次いで必ず朝に捌きたての人肉を調理するように頼んできた。
部屋には気に入ったのか数人の体の一部が切り取られて飾られている。
今ではこの街の人間に飽きたかのように隣街の住民を拉致している。
私の息子がこんなに立派に育つとは……………
「明日のレポートが楽しみだ」
は~い! 今日もな・ぜ・か! 悲鳴が入っておりませんでした~~~!!!
あのさぁ……スタッフ、なめてる? この仕事なめてんの?
お前らは自己満足で作ってたらいいかもしんねぇけどよぉ、俺の評価下がるじゃねぇか!
ふざけんなよマジで……視聴者の皆さん! 楽しんでくれていますか!? やっぱ悲鳴がないと楽しめませんよねぇ!?
次こそは用意させますんで!
それじゃあ、また来週~~~!