『楽しい悲鳴』   作:悦の煮浸し

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さぁさぁ! 今週も始まりました『悲鳴』のお時間ですよぉ~!

え? 先週より客席のノリが悪いから盛り上げろって? そりゃあそうだろ!
前回どころか前々回にも悲鳴が収録されてねぇんだよ! これじゃあタイトル詐欺ってぇイチャモンつけられても知らないからなぁスタッフぅ!

そでじゃあお決まりの如く皆様ご一緒にぃ?


たのしい悲鳴を~~~!


三人目『自警団』

 

 

「おはよーございます! 今日もお手伝いに来ましたー!」

 

僕の朝は、いつもお手伝いから始まる。

 

「おや、また来たのかい坊主。毎朝悪いねぇ」

 

「いいんだよおじちゃん! おじちゃんがいないと水が詰まっちゃって大変だもん!」

 

おじいちゃんはもうお孫さんもいるお年なのにお仕事頑張りすぎだから僕が自警団として手伝ってあげないとね!

でも僕はまだまだ子供だからおじいちゃんみたいにはできなくても、僕なりに側溝を浚っていく。

 

「ほら、見て! 今日は全然詰まってない!」

 

「はは、そりゃ坊主が汚れるのも厭わず毎日来るからだろうさ。まぁ最近雨が降ってねぇってのもあるが...手伝ってくれてあんがとよ。助かった」

 

まぁ? 僕は街の自警団だし? そう考えればご近所で困ってる人を見捨てられないから当たり前だけど? 感謝は受け取るべきだよね!

 

「まぁね! え、えへへ...」

 

褒められるとうれしいけど誰かの役に立てるともっと嬉しいし、これこそ自警団の本懐だよねぇ!

 

「だから毎朝こうして街を散策してるわけだけど……あ! パン屋さーん! 荷運び手伝いますよ!」

 

「あら、今日も手伝ってくれるのかい? ありがとうねぇ」

 

「自警団として当たり前だよ!」

 

パン屋さんのおばあさんも朝の買い出しが大変そうだったから荷物を持ってあげて。

肉屋さんでは牧畜小屋でお牛さんと触れ合いながら掃除をお手伝いして。

洗濯屋では川から清潔な水を歩いて汲むお手伝いをして。

 

「うーん、朝はこんな感じかなー…パン屋さんで朝ごはん買いに行こーっと!」

 

困っている人を見つけたら、必ず助けるのが自警団!

 

「僕は自警団だから、周囲のみんなを助ける義務があるの!」

 

「でも毎日毎日大変じゃないのかい? まだ7,8歳だろ?」

 

パン屋の女主人が焼きたての端切れを渡しながら言う。

 

「僕はへーきだよ!」

 

やっぱりこーゆーのは堂々と誇りを持たないとね!

 

「僕、自警団だから!」

 

「ははっ、そりゃ頼もしいねぇ」

 

「でしょー!」

 

うんうん、みんな今日も笑ってる!

やっぱりみんな笑ってたほうが幸せそうだし、元気そう!

今日も僕、ちゃんとみんなを笑顔にできたよ!

 

「母さん...」

 

今日もお貴族のところにいるのかな。

笑顔で…いられないよね。お貴族に無理やり連れていかれたんだから。

 

でも、僕は頑張るよ! あの日みたいなことになっても今度こそみんなを守って見せるから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、どうして食べてくれないのかなぁー...」

 

最近食べ物があんまり育たなかったみたいで、食べ物をたくさん食べることが難しくなっちゃったみたい。

ぜいきん? も凄く高くなって...とりあえずお貴族が悪いらしい。

街の一部の人たちがお貴族に交渉しにいってみんながおなか一杯になって帰ってきてから、お貴族にかかわろうとする人はいなくなっちゃったけど、みんなお腹がすいて嫌な気持になったりするくらいなら、お貴族が教えたとおりにすればいいのに。

なのにみんな自分のことで精いっぱいなんだろーけど、怒り出す人とか泣き出す人ばっかりで誰もみんなのために行動しなかった。

僕は子供だから気づけなかったけど、大人のみんなはわかってたのに行動しないのは許せないよ!

僕は自警団だけど独りぼっちだったからみんなの分は難しかったけど、僕の周りの人たちだけでもお腹を空かせることがない量の食べ物を準備したのに!

 

「今日はスープにすれば食べてくれるかな...前も食べてくれたのは汁物だったし、今日はスープにしよう!」

 

みんな何でかお腹いっぱいまで食べない!

数日に一回、本当に死んじゃうか死なないかのギリギリじゃないと食べてくれない...なんでたくさん食べないの?

 

「おはよー、パン屋のおばさん。ちゃんと生きてる?」

 

「あ......ぁ......」

 

「あぁ、また昨日の分捨てちゃったの? そろそろ食べないと本当に餓死しちゃうよ...」

 

「う......うぅ...」

 

「すぐに今日の分も作るから、安静にしててね?」

 

すっかりやせ細っちゃって...早く作らないと!

今日持ってきた食材を軽く切り分けて、小鍋の中に切った食材と自宅で育てている香草をいくつか入れて煮込んで、沸騰したら火を止めて香草を取って、幾ばくかの少量のパンを入れてふやけたら...完成!

 

「おばさん、できた...よ?」

 

「おばさん!...おばさん!?」

 

「......もう。だから食べてって、言ったのに」

 

また一人、笑顔にできなかった人が増えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近入ったあの団員、本当に末恐ろしい才能ですよ。剣技、統率力、判断能力……いずれ私すら超えるでしょうな」

 

「ほぉ、団長の御主がべた褒めか。この国も安泰じゃのう」

 

「ですが、不思議な男です。貴族粛清後の飢饉に陥った保護区出身とは思えぬほど身体能力が高い...まぁおそらく生存本能の賜物でしょうな」

 

「ふむ……考えれば考えるほど、斯様な男が男爵とはいえ貴族足りえたのか不思議で仕方ないのぉ」

 

「私腹を肥やし、果てには飢饉をきっかけに領地を崩壊させたのちに人肉愛好家(カニバリスト)となった落伍者でしたか。」

 

「そうじゃ。現在(いま)でこそ綺麗に掃除されておるが、当時は私兵を使って領地の者を無差別に殺しその死体を食しておる形跡が大きく残っておったからの。果てには身内まで食す食べっぷりじゃ......どれだけの人間があの肥えた腹に変換されたのかなど、知りたくないのぉ」

 

「まったくですな。そう言う貴方も公務にかかり切りで贅肉が付き始めていますが。」

 

「よせ、何年他国に足を掬われずにこの国の不祥事を解決してきたと思ってるんじゃ。貴様のようにいつまでも前線にいられるわけじゃないんじゃ、現役のように痩せたままいられるわけあるまい。」

 

「その割に国の治安が良くなっている気はしないのですが?」

 

「この国もまだまだ若いんじゃ。治安維持だけで手一杯、この国はいつでも人手不足なんじゃ」

 

「……」

 

「儂も全てを救いたいが、国内の膿ばかり見ておれば、今度は外から喰われる。難儀なものよ」

 

騎士の様な男は静かに頷いた。

 

窓の外では、訓練中の騎士たちの声が響いている。

 

その中でも、一際明るい声があった。

 

誰より元気よく。

誰より人当たり良く。

誰より仲間想いな青年の声が。




はい、よーいスタート
それじゃあ先ずはミナミコマンドを……ん? なんだよ今撮影中なのが見てわかんねーのかよ?

あ? これもうカメラ戻って来てんの!? 言えよ! こっちは今からRTAの動画撮ってんだからよぉ!
つーか三回にわたって悲鳴がないってことは何なんだ? もうこの番組のコンセプトはき違えてるよな? これ誰かの人生鑑賞会じゃねぇんだからよ。
…………はぁ、もういいよ揚げ足取りは。コンセプトは説明してないからOKとはならねぇから。
つーか俺、この前この収録のせいで一つほかの取れたはずの別枠マネージャーに蹴られたんだぞ? ただでさえ俺みたいなマイナーはこれ以上仕事減ったらマズいってのに……もういい。お前らの給料から割合で盗んどくから。


はい、タイムストップ(では、また次週~~~)
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