幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
最近身長伸びが著しい今日この頃……マネージャー達が新しい練習道具を作ってきた。
「さて今回作ってきたのはこちら!」
テッテレートレーニングローラー!
「ただのローラー!?」
見た目はグラウンド整備とかに昔使われていそうな金属製のローラー……正式名称は整備ローラーという物で、練習効果はほぼ無い代物であるのだが、マネージャー陣はグラウンド整備も練習にしてしまおうと思いついたらしい。
ちなみに整備ローラーは押して使うもので、決して引いて使うものではなく、アニメの影響で間違った使い方が広まってしまい、注意喚起がなされている。
「で、整備ローラーでどんな練習を?」
「とりあえず押してみて」
赤星に言われるがまま、ツッコミ役が定着した謙信がローラーを押してみる。
するとコロコロと金属製のローラーとは思えない速度……人が歩くのと同じくらいの速度で動いていく。
結構潤滑に回るんだな……。
すると謙信が内野をローラーで転がしていくと、3往復くらいして元の位置に戻ってきて、手を離すと、滝のような汗が流れ出した。
「うわ、なんだこれ……押している間は全然疲れないのに、押し終えた瞬間に疲れが一気にきた」
「ふっふっふ……これがトレーニングローラーの威力だよ」
トラックや車を押す筋トレ方法があるのを知っているだろうか……それのローラーバージョンかつ、押している間は疲労を感じにくくする手のツボを自動的に押すようにしていて、怪我に繋がりそうなほど押すと、自動で止まるようになっているらしい。
なのでグラウンド整備の際は1人10往復までとのこと。
「このローラーを使うことで下半身の筋肉と大胸筋、三角筋、上腕三頭筋……そして体幹を鍛えることに繋がるからね。それらの筋肉は打撃でも投球でも大切な筋肉だから鍛えておいて損はないよ」
「なるほど……」
「そして今回は他にもアイテムを作りました!」
テッテレーゲーミングトンボ!
「なんか七色に光り輝いてる!」
なんじゃこりゃと謙信がさっそくツッコミを入れるが、これは練習器具ではなく純粋にグランド整備用のトンボらしい。
ボタンが幾つか付いていて、ボタンを押すと散水したり、吸水したりする機能が付いてる。
あと純粋にグランド整備の補助をしてくれる機能が付いているのだとか。
「これを使えばより綺麗にグランドを整備できるからね!」
何なら外野の芝にトンボのボタンを押してならすと、芝が生えてきたり、自動で適切な長さに草刈りをしてくれる機能も付いていた。
「グランドの整備が行き届いてないと怪我に繋がるからね!」
よくもまあそんなにポンポンと凄い技術力のアイテムを作り出すこと……。
もうここまでやられると俺もあかり達が宇宙人であることに否定的な考えには至らなくなり、受け入れてしまった。
そんなこんなで6月が終わっていくのであった。
7月は大多数の高校球児達には最大のイベント……夏の甲子園予選が始まる。
1回でも負けたら3年生は引退のトーナメント戦であり、千葉県は160チームが参加し、20日間の日程で勝負が決まる。
千葉県予選を勝ち抜き、全国大会の甲子園に行くには最大8試合勝つ必要がある。
そんな予選が行われており、俺達も練習が終わってからダイジェストで様子を確認していた。
「やっぱり八千代総合はしっかり3回戦を突破か……1軍は強いんだな」
「部員数100人近く居ればそれだけいい選手も揃うだろう。俺らも負けてないけど」
「まだ1軍のメンバーには届かないんじゃないか? 勇者は1軍ピッチャーでも打ち込めそうだけど」
順調に成長しているとはいえ、まだ実際に大会に出てよい成績を残せるかと言えば微妙と言わざる得ない。
勇者だけは現状太刀打ちできるかもしれないが、他のメンバーの実力はまだ足りてないと思っていた。
「偵察行ってきたよー、今日は習野高校と成多高校の投手と野手データ引っ張ってきたから」
甲子園予選が始まってマネージャー達は各校のデータ収集に奔走し、強い高校の試合を中心に記録して周り、そのデータを催眠トレーニングに組み込むことで、イメージ上で対戦を繰り返していた。
正直実際の相手選手とイメージ上とはいえ対戦経験を得れる……というのはとても有り難く、試合経験と同じ効果を得られるとマネージャー達も言っていた。
「良い選手は様々な相手と対戦することで経験という引き出しを作り出す。それによって対戦したことの無い相手でも引き出しの多さによって類似点を見いだし攻略していくからね」
と、赤星さんが言う。
「まぁイメージトレーニングだけでもあれなので、ピッチングマシーンを作ってみました! 名付けてエース君です!」
ああ、今日も発明品が飛び出すのか……とマネージャー達を眺めていると、遠くの物置からガシャンガシャンとザ・ロボットって感じの人型マシーンが登場した。
『ボクエース君よろしく下民共』
「だいぶ口が悪いぞこのロボット!?」
「あれ~思考設定間違えたかな? まぁ性能は問題ないから安心して」
赤星さんが言うには、各校の投手の投球映像からデータを抽出し、それをこのエース君にインプットしたらしい。
何ならプロ野球選手のデータも入っているのだとか。
「せっかくだからプロ野球選手と対決してみようか」
赤星さんがそんなことを言い出し、皆で1打席勝負が始まった。
投手である俺や豊、謙信も投球練習だけでなく、打撃練習もしてきたので、球をかすらせることくらいはできるだろう……と思っていたが、プロで先発3番手(プロチームで3番目に良い投手)のデータでもきりきり舞い。
俺と謙信は空振り三振、豊は当てられたもののキャッチャーフライだった。
続いて野手陣が挑戦したが、4人全員当てることができたが、勇者でも外野フライに打ち取られてしまい、プロとの壁を実感する結果となる。
まぁ野口はちゃっかりポテンヒットを打っていたが……。
「絶対次打ってやる! プロの投手はどれぐらいデータ入ってるの?」
「一応直近1ヶ月で登板した投手のデータは入ってる。プロは皆には難易度高いんじゃないかなー」
ニヤニヤとあかりが皆を煽るので、俺含めてやる気になり、今日は全員エース君に投げてもらって打撃練習に集中するのだった。
殆ど打てなかったので、ミート力を鍛える必要性を痛感し、そうなると脳の神経伝達速度を鍛える重力トレーニングが最適で……。
「ぐぎぎぎぎ」
俺は投手としてのスタミナを鍛えながら重力トレーニングで脳も鍛える練習と、トスバッティングや催眠トレーニングを使いながらの素振りをして鍛え続けるのであった。