幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
打撃練習に導入されたエース君が好評だったことで、更にもう1体エース君2号がマネージャー達によって作られ、いつもの練習で2箇所のゲージバッテングが行われるようになった。
打席に入るメンバーが7人しかいないので、とにかく打順が直ぐに回ってくる。
『オラオラ雑魚ども! 俺の球を打ってみろ!』
『ガハハ、打ち損じ打ち損じ』
めっちゃ煽ってきて腹立つ……が、負けじと打撃練習を続けていく。
このエース君の導入によってうちのメンバーの打撃力が急速に上がって、俺や豊、謙信が実戦形式の投打練習をするとパカパカ打たれてしまう。
俺自身球速も球威も球質も良くなってきていると思うのに、仲間からパカパカ打たれると自身が無くなる。
「それに忍者と天狗はミート力がどんどん良くなっていってるからなぁ」
特に服部こと忍者は、自身が器用な打撃ができるのと足の速さを組み合わせて、内野安打や内野の頭を少し越えるようなヒットを打つ走り打ちと長打を狙うフルスイングを投球カウント(ストライクの数やボールの数)や塁上にいる選手の有無で切り替えることができる様になり、更に打撃の引き出しを広げることができる様になっていた。
「なんていうか純粋な能力としてのミート力って感じより特殊能力とか技って感じのヒットを打つよな……忍者」
「うちの場合勇者みたいなパワーはないやんか。となると技術力で勝負するしかないやん。ポテンでも内野安打でもヒットはヒット。あとは出塁したら足で引っかき回して、浅い当たりでも本塁に帰ってくる。それがうちの仕事やと思うんよね」
「まぁ確かにそれがベストだな」
守備力もグングン伸びてきているし、頼りになるショートだ。
伸びているといえば野口もそうだ。
身長が一気に伸び始めて、筋肉を付けるトレーニングもしているので、少しずつパワーも付き始めていた。
野口曰く、捕手は投手の能力を最大限引き出して、盗塁を刺す肩力、そこそこの打撃力があればドラフトにかかる確率が出てくるから、とにかく弱肩を強くしないとスタートラインにも立てないと語る。
「でも野口の打撃力は良くなってきてるじゃん」
「まーな」
転生前はバリバリ1軍のプロ野球選手が頭脳そのままで鍛え直せばそりゃ強くなるわな。
ミート力……バットコントロールは勇者でも野口に敵わないし……。
でもだからといって俺の投球の9割をヒットにされると、こう……心に来るものがある。
「じゃあ球児も頑張って強くなるしかないな」
「そりゃそうなんだけど……」
夏の甲子園予選が終わり、合同練習をした八千代総合はベスト4で敗退していた。
優勝は習野高校で、今年は珍しく春夏甲子園連続出場になっていた。
習野高校は今年の春の甲子園で準優勝していたので、夏の甲子園でも勝ち進んでくれることを期待する。
さてさて、夏の甲子園予選が終わったことで多くのチームは新チーム作りが始まる。
で、赤星さんと監督が千葉県高校野球の総会に出席し、連合チーム結成の話し合いで県立の東南高校さんと組む事に決まった。
東南高校さんは野球部の新規受け入れが既に終わっていて、今年の夏の甲子園予選で3年生10人が引退。
残った2年生は皆留学生で、日本語も堪能とは言い難いらしい。
それぞれ台湾人、韓国人、インド人らしい。
「野球のルールは分かっているのか?」
「それは大丈夫、あと日常会話程度なら片言で喋れるらしい。まぁ宇宙人や天狗が居るような人外パラダイスのうちと比べれば誤差誤差!」
そんなわけで、夏休みが始まった直後に東南高校の選手達がうちの学校にやってくるのだった。
「コンニチハ、ボク、キム・イジュンとイイマス! ヨロシク」
「ボク、チン・ジンジューヨロシク」
「ラジ・イーサンヨロシク」
「「「「「よろしく!」」」」」
会って少し会話をしてみると、本当に少ししか日本語が話せないことが判明し、あと彼らは来年の春にはそれぞれ祖国に帰るらしい。
高校野球の最近の留学生出場ルールは1年間野球部に在籍していることで、彼ら3人はそれを満たしているので出場することは可能。
で、連合チームになるので3人は夏休みの期間の朝練以降から夕方の17時まで聖球のグラウンドで練習し、それぞれの下宿先に帰る生活になる。
で、こんな片言状態だとろくにコミュニケーションが取れないことを危惧したマネージャー陣はさっそく自動翻訳装置のマスクを作り出して装着させた。
『おお、凄い! 流石日本の技術力! マスクをするだけで言葉が母国語に翻訳されて聞こえてくる!』
『僕らの言葉もそっちには日本語で聞こえているのか?』
「ああ、日本語で聞こえているよ。マネージャー曰く10枚セットを贈るから、毎日使い終わったら洗濯して干せばまた使えるらしいから」
『はぇ~便利な道具もあるんだね』
「そのうち耳が慣れて日本語を話せるようになるらしいから夏休みの期間はつけておいてくれるとうれしい」
『わかりました』
『じゃあさっそく野球やりましょう! 先輩達が引退してからろくな練習ができてなかったので!』
「うちの練習はスパルタだから頑張れよ」
『望むところでーす』
というわけで助っ人外国人こと東南高校野球部の3人が加わって練習が始まったが、案の定、人数が少ないことによる濃密な練習に直ぐにダウンしてしまったが、彼らは楽しそうである。
『いや、なんですかあのピッチングロボット! 漫画から飛び出してきたマシーンじゃないですか!』
『いっぱい打てるの楽しいです!』
『キムさん核ミサイル打法炸裂させますよ!』
打撃を見ていたが、まぁチグハグした動きをしていて、打撃の形が決まってなさそうで、マネージャー達が直ぐに彼らの打撃フォームの修整に取り掛かった。
催眠スマホも用いて修整すると見違えるように良くなり、トスバッティングでは金属バット特有の甲高い音を響かせまくっていた。
『うっひょー打つの楽しー』
『滅茶苦茶スイング速度速くなりました!』
『教えるの上手です!』
本人達もノリが良くて、うちの感じに直ぐに馴染んでくれたし、ちゃっかりマネージャー達にナンパして撃沈していた。
その後守備練習をするが、最低限の基礎はできているが、入学したての俺らより少し上手い程度の守備力しかなく、みっちりマネージャー陣にしごかれて守備力が上達した俺達に比べると劣っていた。
なので打撃練習と守備練習中心にやらされてマネージャー陣にしごかれていたが、楽しそうだった。
夏休み期間中にある程度使える戦力にするため、マネージャー陣は外国人助っ人部隊を徹底的に鍛えるが、俺達も巻き込まれて地獄みたいな練習量になり、マッサージマシンが無ければぶっ倒れてるくらいのハードトレーニングをやっていくのだった。