幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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夏の練習 秋季大会予選の始まり

「決め球……決め球かぁ……」

 

 中学生達が見学をして数日後……俺達は地獄の練習が行われていた。

 

「へいへい! 守備力もっと上げないと点数取られまくるぞー」

 

「ファースト、速い球でも避けちゃ駄目! 体で受け止めないと!」

 

『すみません! もう1球お願いします!』

 

「よし来た!」

 

 東南高校の助っ人外国人メンバーも2週間近く一緒に練習していれば、徐々に上手くなるもので、勿論うちの設備も全部使ってトレーニングを行なっていた。

 

 彼らにマネージャー達が求めるのは守備力であり、打撃力はフォーム矯正をしたら、あとは結構自由にやらせていた。

 

 聖球のメンバーは重力室で筋トレをやったり、トレーニングルームでウエストをしたり、酸素濃度調整マスクをして走り込みをしたり……何なら最近は更に下半身を鍛えるためとタイヤを紐で繋ぎ、それを引っ張って走るタイヤトレーニングも積極的に行われていた。

 

 あと夏ということでプールトレーニングも解禁! 

 

 聖球学園では室内温水プールがあり、基本女子水泳部が使っているが、野球部も一部を使わせてもらっていた。

 

『むほほ、水着女子が見放題……東南に女子水泳部は無いので、眼福眼福』

 

『キム、それよりも聖球の顧問の先生がヤバい。水着がムチムチではち切れんばかりになってる』

 

『むほほ! 堪りませんなぁ!』

 

 東南のメンバーのほうが大興奮していたが、勿論聖球メンバーもマネージャー陣の水着をみて興奮はしていた……ただ、聖球メンバーはマネージャー陣からプールトレーニングは故障の心配がほぼ無いからと滅茶苦茶負荷をかけられていたのである。

 

「ほら! 50メートルプール往復×200! 20キロ遠泳終わるまで休むなー」

 

「死ぬ死ぬ! 死ぬから!」

 

 なお忍者が遠泳をいきいきとこなしており、彼いわく実家で夏はほぼ毎年もっと厳しいのやらされていたから特に問題はないとのこと。

 

 勇者でもおぼれかけていたのに……化け物が……。

 

 何なら泳げるようになってくると、今度は重りを付けられて水中歩行をして負荷をかけられる始末……。

 

 まぁでもそんな超ハードメニューをこなした結果、体力は滅茶苦茶付き、それに食べないとどんどん痩せてしまうので、とにかくご飯をかき込んでいく。

 

 そして夏休みが終わる頃には、聖球のメンバーはバッキバキの肉体を手に入れているのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんな猛特訓をしていたある日……俺がいつものようにキャッチャー役のあかりにブルペンで投球練習をしていた時、投げる瞬間に引っかかる感じを覚えた。

 

 するとボールはあかりの構えた位置よりも少し上で捕られた。

 

「今の球もう1球投げられる?」

 

「同じの? ……ああ」

 

 特に球速が出ている訳でもなく、こっちから見ると普通のストレートなのだが、あかりがカメラを設置して球筋を映像で見てみると、驚くべき事が起こっていた。

 

「浮き上がってる?」

 

「アンダースロー特有の低いリリースポイントからストライゾーン高めにいつもより回転数を重視した球を投げ込むと……ボールが浮き上がった様に見えるよね」

 

 ソフトボールのライズボールと似た原理である。

 

 勿論ソフトボールのライズボールも浮き上がっているわけではないが、下から斜め上に投げ込んでいる様に見えるため、ほぼ直線的な球の動きがするのである。

 

 野球ボールではソフトボールより球が小さいので、空気抵抗が少なくなり、変化が小さくなる傾向が強いが、ふわっと浮いているように思えるのである。

 

「このストレートはライズボールって言っていいよ……キャッチャー視点だと浮き上がってるように思えるからね」

 

「これなら勇者を抑えることもできるか?」

 

「試してみようか」

 

 というわけで、野手陣全員と3打席勝負を行った結果、ライズボール主体の投球に、ちょくちょく変化球を織り交ぜることでバッターばクルクル空振りを量産していく。

 

 勇者もバットになかなか当てることができなくて驚いていた。

 

「これは大きな武器になるよ……球速は130キロ程度だけど、ここから伸ばしていけば問題ないだろうし」

 

 うちの野手陣を9割抑え込めたというのは凄く嬉しい。

 

 握力をもっと強くできれば、更に球のスピン量は多くできるだろうし、そうなれば本当に浮き上がる球ができるかもしれない。

 

「このライズボールを投球の組み立てにしていけば、強豪校にも勝てるかもしれない!」

 

 そう思わずにはいられない俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな連合チームが結成し、8月中旬……千葉県秋季大会予選が始まろうとしていた。

 

 この大会はちょっとルールが複雑なので軽く説明すると、まず県大会予選が8月中に行われ、甲子園出場校は県大会からの参加になる。

 

 で、まずは予選が行われる。

 

 これは3回勝てば県大会に出場できる様になり、例え負けてしまったとしても敗者復活戦があるので、夏の甲子園大会の様に1度負ければ終わり……というわけでもない。

 

 都道府県によっては予選はグループ戦になっているところもあるが、千葉県は敗者復活戦ありのトーナメント制。

 

 これを勝ち抜くと、代表選抜が待っており、そこでも3回勝ち抜くと、千葉県大会本戦が待ち構えている。

 

 ここで3回勝つとベスト4となりベスト4に入ると今度は関東大会への出場権を得られる形になっている。

 

 実質3回大会があるようなものである。

 

 それを8月から9月までの期間で行い、10月からある関東大会に出場する形になる。

 

 関東大会では東京以外の関東エリアから40校近くが集まり、またトーナメントで試合をして、5位以内に入れば春の甲子園の出場権が、優勝をすると神宮大会への出場権が得られることになる。

 

 神宮大会は11月で、神宮大会に優勝した高校のエリアは追加で1枠春の甲子園出場枠が与えられるって感じである。

 

 ね、めっちゃ複雑だろ。

 

「とりあえず予選を突破しないことには始まらないから、聖球東南連合で1つでも多く勝つよ!」

 

「「「「おう!」」」」

 

 気合を入れて……いざ予選に出場するのだった。

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