幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
テンポ重視!
破竹の3連勝で予選を突破した俺達は寮の中でも広い共有スペースで祝勝会が行われていた。
「予選突破を祝して乾杯!」
「「「乾杯!」」」
聖球学園の校長も上機嫌で、顧問にこれで英気を養ってくれと数万円くれたらしいので、その金を使って焼肉大会である。
全員で焼肉屋に行ってもよかったが、それだったら安い肉でも沢山たべたい……という要望が部員から多かったので、外出ではなく寮内で焼肉をホットプレート借りてきて焼くことに。
「強豪……いや、古豪とか中堅ってレベルだったけど何とかなったな」
「3試合全部5回コールドで終わらせたから、投手陣も疲労少なく済んだのが一番大きかったんじゃないかな? 僕達が攻撃している間は休憩できたし」
「あんまり攻撃が長いと肩が冷えちゃうよ……でも次の県大会からはそうも言ってられないと思うけどな……天狗」
「と、思うじゃん」
肉を焼いていた赤星さんが話に割り込んできて、タブレットを見せてくる。
県大会のトーナメントも発表されて、俺も抽選会に行ったが、今回はそこまで強豪校とは当たることは無かった。
「次のブロックだけど、そこまで強い高校は無いね。それで力を抜けるほどうちの高校も戦力があるわけでも無いけどね。でも予選を見に来ていた中学生とかは興味をそそったのは間違いないね。野球部に見学したいって問い合わせが4件も来たよ」
「おお! それはなかなか」
「県大会を突破したら次は決勝トーナメントが始まるから、それでベスト4に入れば……関東大会進出だよ」
「「「おお!」」」
正直現状の戦力だと厳しいと思っていた。
うちの東南高校側と連合を組む条件として東南高校の選手全員をスタメンで起用するという縛りがあり、10人ギリギリでやっている為、先発投手が崩れるとDH制解除という手順を踏まなければならない。
それをやると投手も打席に立てるようになるが、DHの選手が試合出場できなくなる……という弊害があり、おいそれと使えないため、先発で投げる俺達3人はマネージャー陣から完投(試合最後まで1人で投げ抜く)を求められていた。
そして疲労が蓄積しないように、1試合投げたら次の試合は休みのローテーションが組まれていたのである。
俺達投手陣の弱点はスタミナ。
今まで行なってきたスタミナトレーニングでだいぶ全力投球できる投球回数も増えてきてはいるが、3人とも100球を超えた当たりで握力が落ちてきて、制球力と変化量がガタ落ちする欠点を抱えていた。
ただ皆のお陰で5回ゴールドで多くても60球前後しか投げなくて良いため、他校にはスタミナ不足は露呈していないはずである。
「県大会初戦は球児から行くよ。で、もし5回コールドじゃなかったら謙信を中継ぎで投入してDH解除の練習もするから。先発は豊と球児の2人で回して、謙信は中継ぎ3連投覚悟しておいて」
まぁあかり曰く、5回コールド2回起こったら3回戦は謙信が投げることになるらしいが……。
正直東南高校の助っ人外国人部隊が思ったよりもヒットを打ってくれるので、打線に切れ目が少なくなって活躍できていた。
このままもしかしたらもしかしたで……関東大会行けたりしないかなーと思う俺であった。
『聖球東南連合、決勝ブロック進出!』
・秋季大会千葉県大会にて決勝ブロックまで圧勝に継ぐ圧勝で連勝し、決勝ブロックまで駒を進めた聖球東南連合チーム。
本特集ではチームデータを元に戦力評価を行っていく。
投手力 B
投手登録されているのは3名。
星野球児君、郷田豊君、杉浦謙信君で、それぞれ特徴のある投げ方をしており、打ち崩すのは難しいと言わざる得ない。
ただ今のところ公式戦6試合を3人でローテーションを行なって投げているため、全員1年生ということでスタミナ面に不安ある可能性が高い。
成長力も加味してB評価とさせていただく。
打撃力 A
現在チーム打率は0.659というとてつもなく高い数字を残しており、4番でサードを守っている主砲上林勇者君は6試合で15本のホームランを既に放っている。
何より彼はまだ1度もアウトになっておらず、打率は1.000、ホームラン15本は大会記録更新中でもある。
ちなみにこちらで計算したところ打撃の指標に使われているOPS(攻撃における選手の貢献度 0.8あれば一流、1あればチームでは神として扱われる 甲子園で1超えていればドラフト上位で指名される)の数値は4.167を記録し、1人で凄まじい成績を残していた。
彼が強豪校と当たった時にも輝き続ければ、千葉のスターとして本記者もプッシュしていく所存である。
機動力 B
B評価をつけさせてもらっているが、1番打者の蔵馬北斗君、2番の服部二郎君は素晴らしい脚力をもっており、毎試合盗塁を記録していた。
他の選手の盗塁が少ない為Bであるが、2人はS評価を与えても良い選手である。
守備力 B
連合チーム及び大多数が1年生ということを考慮すると守備力が平均以上のBは大げさかもしれないが、現状目立ったミスもなく、守備範囲が広い選手も多いのでB評価とさせてもらった。
総合評価 B+
1年生主体のチームでB以上の評価を得れている時点でこのチームの異常性が際立つ。
強豪校と当たった時に真価が見られるであろう。
9月20日……千葉県秋季大会決勝トーナメント。
予選及び敗者復活戦を勝ち抜いた48チームが関東大会に出場できる4枠を掛けて争う。
「聖球東南連合……11番」
(1回戦シードとはいかなかったか……シードだったら2回戦スタートで3回勝てば関東大会進出だったが……となるとなるべく楽なグループと当たりたいけど……)
「習野高校……10番」
「球児のくじ運ヤバいね。ことごとくエグいブロック引くじゃん」
赤星さんに茶化されるが、1回戦、夏の大会甲子園出場校の習野高校、2回戦仙台松戸(直近十年最多甲子園出場校)と確実に当たる死のブロックに入り込まれた。
「ここでどこまで戦えるかで、チーム力が浮き彫りになるから……全力でぶち当たれ!」
「うっす」
というわけでとんでもないブロックで戦う羽目になるのだった。