幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「さてさて、冬休みも終わった訳だけど、学園離れていた間もちゃんと鍛えていたみたいで感心感心」
正月太りしてる選手もおらず、冬休み明けの練習が始まってからも、選手達の動きはキレッキレ。
相変わらず勇者は打球を場外に飛ばすし、投手陣も冬なのにある程度の出力が出せていた。
「はい、選手の皆注目」
赤星さんが俺達を呼び集めると、新しい練習の指示を出された。
「冬はどうしても故障リスクが上がる季節だからね。それ故に故障リスクが少ない練習を考えてきました!」
連れてこられたのは室内練習場。
その一角にゴルフシミュレーションみたいな装置が3台置かれていた。
「ゴルフの打つ動きって、投球や打撃の際の下半身の連動と似ているんだよね。プロ野球選手が冬にゴルフをやるのは趣味の一環でもあるんだけど、楽しみながら下半身を鍛えていたりするんだよね。もっともゴルフはグリップの持ち方とか実際に打つ上半身の動きは違うから、下半身を鍛える、腰の回転運動を意識するのにちょうど良いんだよね!」
と、赤星さんが説明するが、それだけじゃただのゴルフ練習だからとリストバンドを腕に装着された。
「テッテレーパワー増強リストバンド!」
彼女によると、リストバンドから電流が流れることで、筋肉の破壊と超回復を促し、腕をより太く、手首をより強靭にする効果があるのだとか。
「とりあえずやってみようよ」
というわけで、練習開始。
このメニューは雨の日のメニューに組み込まれることになるが、リストバンドは風呂や洗濯する時以外は着用を義務付けられて、練習中や授業中、睡眠中も両手にリストバンドを付けていたのである。
2ヶ月すると効果を実感し、腕が2周りほど太く、大きくなってきて、投手の場合は手首で最後に押し込む感覚を強くなったことで、球威、球速、変化球のキレが格段に向上。
守備でも手首のスナップでコントロールすることで悪送球が減り、打撃に関しても打球速度が全員10キロから20キロ速くなるのであった。
そんなこんなで3学期も終わり、2年生となる。
入学式で、今年は男子が13人も入ってくれて、全員野球部に入ってくれた。
「じゃあ1年生自己紹介をしようか!」
顧問の及川先生も1年で多少は野球部監督らしくなってきたか……まぁボーナスかかってるから必死だわな。
「桜ボーイズ出身! 天堂陸斗です! ポジションは外野をやってました」
「次!」
「僧正ヶ谷中学出身星熊童子ですわ。よろしゅう!」
「次」
「専修寺中学出身……千賀大地です。よろしくお願いします」
スカウト組10人、一般入部3人。
そして早速入部したらマネージャー達がテストをして選手のデータを取っていく。
「あかり曰く中学で140キロ投げてた奴がいるらしいけど、故障してるって聞いてるから……投げてない奴だよな?」
「あいつじゃね千賀だったか?」
「何というか……冴えないな……」
スポーツ用の眼鏡を掛けているが、白黒写真で撮影したら出兵直前の日本軍人みたいな顔立ちをしている。
あと全体的にヒョロガリで、とてもじゃないが出力出るような肉付きはしてなかった。
1年生がテストを受けている間、マネージャー全員がそっちにかかりっきりになってしまうため、2年生メンバーはライトポールからレフトポール間をダッシュしながら、ちょくちょく1年生メンバーを眺めていた。
「でも良かったなぁ。これで一応人数はそろったやん。夏の甲子園予選から試合できるやんな」
服部こと忍者の言う通り、これでようやく人数が揃い1チームとして試合に出場することができる。
「天狗、お前のとこの後輩来てるって聞いたけど」
「あー、はい。僕のところから来てるんですけど……僕の方が先輩なんですが、種族的に立場が上なのはあちら……というか」
「そんなんあるの?」
「はい……」
天狗曰く、星熊童子という奴は妖怪でも最上位の鬼らしく、言ってしまうと家臣と殿様くらい身分に差があるらしい。
「居心地悪くなったりしないか? 大丈夫か?」
「ええ、彼は上司の中では開明派だったので身分の低い僕達にも比較的優しくしてくれるので……多分大丈夫ですし、甲子園に行くのだったら彼の力は必要になるでしょうし……」
「それってどういう」
俺がそう言いかけるとガキーンと勇者の打撃音みたいなとんでもない音がグラウンドに響きたり、俺達の頭上をボールがライナーで通過していき、場外に飛ばしていった。
「オラオラ! これが星熊様のバッティングやで!」
ガキーンと再び良い音が鳴り響く。
「すげぇパワーだな。勇者には劣るけど、めっちゃ飛ばすやん」
「彼の怪力は凄まじいので……500キロの大岩を10歳で軽々運んだ逸話がありますし」
「うへ……ヤバい後輩じゃないか……」
他にはどんな選手がいるかと思うが、スカウト組で過ごそうなのは鬼の星熊くらいで、あとは全員どっこいどっこい。
足がそこそこ速いのがいるくらいで、スカウト担当の黒星さんに後で聞いたところ、基本頑丈かつ伸び代重視でスカウトしたのとことで、他校に行ったら開花しないような選手を中心に取ってきたらしい。
「あと基礎はできてるような選手かな?」
1日かけて基礎データを取って、部屋割が発表される。
「天堂君は星野と同じ部屋ね」
「よろしく」
「よ、よろしくお願いします!」
ずいぶんとちっちゃい奴だなーと思いながらも、俺も入学当初は似たようなものかと思い、新入部員達は全員安眠枕と掛け布団をマネージャーから支給され、これで寝ろと指示された。
「あの、枕変わると寝れないのですが……」
「大丈夫、絶対寝れるから」
新入部員の1人がそういうのをあかりが封殺。
で、食事を食べて夜練をするが、新入部員達もちゃんと夜練に参加してくれて、早速マネージャー達が催眠トレーニングを施していた。
「俺達もやられたなー」
「だな」
そんなこんなで新入部員と共に聖球学園野球部2年目が始まるのであった。